エヌビディア(NVDA)株価の急落とその背景
1月27日のNY市場におけるエヌビディア株価の急落
1月27日のニューヨーク株式市場において、エヌビディア(NVDA)の株価は前日比16.96%(24.20ドル)下落し、118.42ドルとなりました。終値は120.18ドルで、前日比1.48%(1.76ドル)の上昇となりましたが、時間外取引では大幅な下落を記録しました。当日の取引高は801,009,732株に上りました。この急落は、中国の新興AI開発企業「ディープシーク」の台頭による懸念が市場に広がったことが主な要因とされています。 特に、ディープシークが開発したAIモデル「DeepSeek」が、米国製のAIと比較して安価である点が市場の警戒感を高めたと見られています。 1月24日には142.62ドルであった終値と比較すると、数日で大きな変動が見られました。 52週高値は153.13ドル、52週安値は53.56ドルと、株価の変動幅は大きくなっています。時価総額は、1月24日時点で3,492,763,800,000ドルとされていますが、今回の急落によって大幅な減少が見られました。 予想PERは50.00倍、予想配当利回りは0.05%となっています。
ディープシークの台頭と市場への影響
中国のAI開発企業であるディープシーク社は、米国製のAIモデルと比較して安価なAIモデルを開発しました。このディープシーク社のAIモデルの登場は、米国市場、特にエヌビディアを始めとするAI関連企業の株価に大きな影響を与えました。 一部の報道では、ディープシークのAIモデルが米国製AIの優位性を揺るがす可能性があると指摘されており、この懸念が投資家の売りに繋がり、エヌビディア株価の大幅な下落に繋がったと考えられます。 トランプ前大統領はDeepSeekを「安価なのはよいこと」と評価する発言もしており、この発言も市場心理に影響を与えた可能性があります。 しかしながら、エヌビディア社自身は、ディープシークの技術進歩を「優れたAIの進歩」と評価する声明を出しており、市場の反応と企業側の見解にずれが生じている状況です。
エヌビディアの企業概要と事業内容
エヌビディアは、画像処理用のGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を開発し、主にゲーム向けやデータセンター向けとして製造・販売する半導体メーカーです。1999年にPCゲーム市場向けにGPUを発明して以来、コンピュータグラフィックス(CG)処理の向上や並列コンピューティングに革新をもたらしました。「Turing」、「Ampere」、「Hopper」など新アーキテクチャを発表し、製品性能を向上させています。近年は、GPUによるディープラーニングが人工知能(AI)開発の起爆剤となり、PCに加え、ロボット、自動運転車などの中枢にも製品が採用されています。 M&Aで業容を拡大しており、2020年4月には通信機器大手メラノックスを約70億ドルで買収しました。 生成AIブームはエヌビディアにとって追い風となっており、2023年にはクラウドサービス企業(CSPs)向け製品の販売が急増しました。
ダウ平均株価への影響と今後の見通し
エヌビディア株価の急落は、ニューヨーク株式市場全体にも影響を与えました。 ナスダック総合指数は大幅な下落を示し、ダウ平均株価も一時的に下落しましたが、終値では289ドル高と反発しました。 しかし、エヌビディア株価の今後の動向は、ディープシーク社のAIモデルの市場浸透度や、エヌビディア社の今後の対応策、そしてAI市場全体の動向に大きく左右されるものと予想されます。 2024年11月には、ダウ平均株価の構成銘柄からインテルが外れ、エヌビディアが採用されることが発表されており、これは半導体業界におけるエヌビディアの勢力拡大を示唆する出来事と言えます。 しかしながら、短期的にはディープシークの台頭による影響が継続する可能性も否定できません。
エヌビディアの決算情報と市場予想
エヌビディアの2024年10月期第3四半期決算では、収益が350.82億ドル(前年比93.61%増)、純利益が193.09億ドル(前年比108.90%増)と好調な結果となりました。純利益率は55.04%に達しました。 しかし、今後の成長については市場の予想が分かれており、成長の鈍化を懸念する声もあります。 2024年11月19日には、翌20日の決算発表後に株価が8.5%変動するとの予想がオプション市場で示されました。 これは時価総額で約3000億ドルの変動に相当する規模です。