みちのく記念病院における入院患者殺人事件と病院側の対応に関する報道
2023年3月発生:みちのく記念病院入院患者殺人事件の概要
2023年3月12日深夜、青森県八戸市にあるみちのく記念病院(413床)の精神科病室で、入院中の高橋生悦さん(当時73歳)が、同室の佐々木人志被告(当時59歳)によって殺害されました。佐々木被告はアルコール依存症などの治療で入院しており、歯ブラシの柄で高橋さんの顔面を何度も突き刺し、脳にまで達する重傷を負わせました。佐々木被告は殺人容疑で逮捕され、懲役17年の実刑判決が確定しています。事件当夜、看護師が物音を聞き病室を訪れ、血を流して倒れている高橋さんを発見しました。翌朝、高橋さんの死亡が確認されました。事件後、病院側は警察に通報せず、遺族には「転んで容体が急変した」と電話で連絡、死亡診断書では死因を「肺炎」と記載しました。妻が遺体を確認した際、顔は包帯で巻かれ、血のようなものがにじんでいたと証言しています。死亡診断書には発病から死亡まで1日間とあり、肺炎の原因は記載されていませんでした。しかし、病院の対応に疑問を持った職員が県警に通報。警察による司法解剖の結果、死因は「頭と顔の損傷」による他殺と断定されました。CT画像にも肺炎の影は見られませんでした。
病院側の対応と犯人隠避容疑
病院側は事件発生後、警察に通報せず、遺族に虚偽の説明を行い、死因を「肺炎」とする死亡診断書を交付しました。これらの行為は、事件の隠蔽を図ったと県警はみており、犯人隠避容疑で詰めの捜査を進めています。病院側は、読売新聞の取材に対し、「回答しない」としています。 病院が警察に通報したのは事件から約1日後の午後6時過ぎで、これは病院職員からの内密の通報によるものでした。遺族は病院の対応に疑問を感じており、「警察が捜査をしていなかったら、遺体をそのまま火葬していた」と憤っています。 県警は2023年4月、刑法の虚偽診断書作成などの容疑で病院を捜索し、その後、高橋さんの家族への「転んだ」という説明や、「肺炎」とした死亡診断書の交付などが犯人隠避容疑に該当する可能性があると判断しました。
みちのく記念病院と運営法人杏林会
みちのく記念病院は1990年に開設され、精神科や内科など複数の診療科目を有しています。運営母体は医療法人杏林会(本部・東京都目黒区)で、ホームページによると、みちのく記念病院以外にも東京都、岩手県、神奈川県に病院を運営し、東北、関東、東海地方で20以上の介護老人保健施設などを展開しています。
死亡診断書の内容と事件の経緯に関する報道
死亡診断書には死因が「肺炎」と記載され、「病死及び自然死」に印が付けられていました。発病から死亡まで1日間と記載され、肺炎の原因は記載されていませんでした。事件当夜、高橋さんはベッドで寝ており、顔面を歯ブラシの柄で何度も突き刺されたとされています。翌日、死亡が確認され、同室の佐々木被告が逮捕されました。遺族は、病院からの連絡が「転んだ」というものであったこと、顔面が包帯で覆われていたこと、死因が肺炎とされたことなどから、病院側の対応に疑問を抱いていました。
関連報道機関の報道内容
複数の報道機関(読売新聞、TBS NEWS DIG、NHK、朝日新聞、東奥日報、芸能人アイドルファンファン)が、この事件と病院側の対応について報道しています。報道内容には、事件の概要、佐々木被告の判決、病院側の隠蔽工作、遺族の怒り、警察の捜査状況などが含まれています。 特に、病院側の対応が事件の隠蔽に当たるとの指摘や、犯人隠避容疑での立件の可能性が強調されています。 一部報道では、死亡診断書を作成した医師の認知症の可能性にも言及されています。
市民団体からの要望
市民団体「市民の人権擁護の会日本支部」は、八戸市保健所と青森県に対して、みちのく記念病院における実態解明を求める要望書を提出しました。要望書では、病院側の問題点として、必要な医療行為の怠慢、事件の通報遅延、死亡診断書の偽造、不当な身体拘束の横行などを指摘し、虐待の事実があれば刑事告発を求めています。
この報道内容からは、みちのく記念病院で起きた入院患者殺人事件と、それに伴う病院側の隠蔽行為が、医療機関の信頼性を大きく損なう深刻な問題であることがわかります。今後、警察による捜査の進展と、病院側の責任追及が注目されます。