最新動向！2025年版 [地震 速報] の進化と備えを徹底解説

はじめに

近年、日本列島は活発な地震活動に見舞われ、特に2024年の能登半島地震は、私たちの防災意識を改めて高めるきっかけとなりました。そんな中で、地震の被害を軽減するために重要な役割を担うのが「緊急地震速報」です。地震発生直後に揺れの到達を予測し、私たちに避難行動を促すこのシステムは、日々進化を続けています。本記事では、2025年における緊急地震速報の最新動向、その仕組み、そして私たちがどのように活用していくべきかについて、詳しく解説していきますね。

能登半島地震から学ぶ緊急地震速報の教訓と進化

2024年1月1日16時10分頃に発生した能登半島地震（M7.6、最大震度7）では、発震からわずか6.0秒後に緊急地震速報（警報）が発表されました。この迅速な発表は、多くの人々に揺れへの備えを促し、被害の軽減に貢献したと考えられます。気象庁が実施したアンケート調査によると、緊急地震速報を受信した人の約78%が携帯電話・スマートフォンのエリアメールや緊急速報メールで情報を受け取っています。また、居住者と来訪者で大きな違いはなく、ともに約6割が何らかの行動をとることができました。眠っていた人の約8割が速報で目覚め、身構えたり、情報収集を行ったりしたことも明らかになっています。

しかし、能登半島地震の事例から、緊急地震速報の課題も浮き彫りになりました。特に、極めて短時間に同じ場所で複数の地震が連続して発生した場合、マグニチュードの過大予測や、震源の分離が困難になるケースが報告されています。これにより、実際よりも広い範囲で、かつ過大な震度予測で速報が発表されることがありました。

こうした課題を受け、気象庁は緊急地震速報の精度向上に向けた技術的改善を継続的に行っています。2023年9月26日からは、震源推定手法を改善し、揺れの過大予測の低減を図る運用が開始されました。これは、複数の震源推定手法を併用していた従来の方式から、改良を加えた「IPF法（Integrated Particle Filter法）」に一本化することで、同時に複数の地震が発生した場合でも震源をより正確に推定できるようにするものです。

さらに、2023年2月1日からは、緊急地震速報の発表基準に「長周期地震動階級」が追加されました。これは、高層ビルなどで大きくゆっくりと揺れる長周期地震動による被害軽減を目的としたものです。長周期地震動階級3以上が予想された場合に緊急地震速報（警報）が発表されるようになり、これにより、より多様な地震動に対応できるようになりました。

緊急地震速報の仕組みと種類

緊急地震速報は、「予知」ではなく「予測」のシステムです。地震が発生すると、まず初期微動である「P波」が到達し、その後、より大きな揺れをもたらす「S波（主要動）」が到達します。気象庁は、全国に設置された約1,000箇所（気象庁の地震計・震度計約690箇所と防災科学技術研究所の地震観測網を合わせた数）の地震計がP波を検知したごくわずかな時間で、震源や地震の規模（マグニチュード）、予測される揺れの強さ（震度や長周期地震動階級）、S波の到達時刻を自動で計算し、速報を発表する仕組みです。電気信号の伝達速度が地震波より速いことを利用して、S波が到達する数秒から数十秒前に情報を提供することが可能となっています。

緊急地震速報には、大きく分けて二つの種類があります。

1. 一般向け緊急地震速報（警報）

一般の私たちに広く伝えられるもので、テレビ、ラジオ、携帯電話（緊急速報メール/エリアメール）、防災行政無線などを通じて報知されます。
* **発表条件:** 地震波が2点以上の観測点で観測され、最大震度が5弱以上、または最大長周期地震動階級が3以上と予想された場合に発表されます。誤報を防ぐため、2点以上の観測データが必須です。
* **発表内容:** 地震の発生時刻、震源の推定値、震央地名、そして強い揺れ（震度5弱以上または長周期地震動階級3以上）が予想される地域名、震度4が予想される地域名が伝えられます。具体的な予測震度や猶予時間は発表されません。
* **特別警報:** 一般向け緊急地震速報（警報）のうち、特に震度6弱以上、または長周期地震動階級4の揺れが予想される場合は「特別警報」に位置付けられます。

2. 高度利用者向け緊急地震速報（予報）

特定の企業や個人向けに提供されるもので、一般向けよりも低い発表基準で、より迅速に詳細な情報（震度や主要動到達予想時刻など）が提供されます。これにより、工場設備の自動停止やエレベーターの制御、新幹線の減速など、様々な防災行動に活用されています。
* **発表条件:** 地震のマグニチュードが3.5以上、または最大予測震度が3以上、長周期地震動階級が1以上の場合に配信されます。
* **発表内容:** 地震の発生時刻、震源の推定値、マグニチュードの推定値、そして予測される最大震度、予測長周期地震動階級、主要動到達予測時刻などが提供されます。
* **キャンセル報:** 1点の観測点のみの処理結果で速報を発信した後、一定時間経過しても2観測点目の処理が行われなかった場合は、雷などのノイズと判断し、数秒から10数秒程度でキャンセル報が発信されることがあります。

緊急地震速報の限界と有効活用

緊急地震速報は、地震による被害軽減に大きな効果を発揮しますが、いくつかの限界もあります。
* **震源に近い場所では間に合わない可能性:** 震源の真上や震源に近い場所では、P波検知からS波到達までの時間差が非常に短く、速報が揺れに間に合わないことがあります。
* **予測の誤差:** 短時間で得られた少ない観測データに基づいて予測されるため、予測震度やマグニチュードに誤差が生じる可能性があります。
* **同時発生地震への対応:** 複数の地震が同時に、あるいは短時間で連続して発生した場合、震源の分離やマグニチュードの推定が難しくなることがあります。

これらの限界を理解した上で、緊急地震速報を最大限に活用することが重要です。

私たちがとるべき行動と日頃の備え

緊急地震速報を見聞きした際、最も大切なのは「周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保すること」です。
* **屋内にいる場合:**
* 頭を保護し、大きな家具からは離れて、丈夫な机の下などに隠れましょう。
* 慌てて外へ飛び出さないでください。
* 火を使っている場合は、その場で消せるなら火の始末を。火元から離れている場合は無理に消しに行かないようにしましょう。
* 扉を開けて避難路を確保することも大切です。
* **屋外にいる場合:**
* 街中では、ブロック塀の倒壊や看板、割れたガラスの落下に注意し、ビルから離れましょう。丈夫なビルのそばであれば、ビルの中に避難するのも選択肢です。
* 山やがけ付近では、落石やがけ崩れに注意が必要です。
* 自動車を運転中の場合は、慌てて急ハンドルや急ブレーキをかけず、緩やかに速度を落とし、ハザードランプを点灯して周りに注意を促し、道路の左側に停止しましょう。

**日頃からの備えも不可欠です。**
* **家庭での防災対策:** 家具の固定、非常持ち出し袋の準備、家族との安否確認方法の確認などを行いましょう。
* **避難訓練への参加:** 自治体や学校、職場などで実施される緊急地震速報を活用した訓練に積極的に参加しましょう。2025年6月18日には、全国的な緊急地震速報訓練が予定されており、Jアラートを通じて住民への情報伝達訓練や避難訓練が実施されます。
* **情報源の確認:** 緊急地震速報は、テレビ、ラジオ、携帯電話の一斉同報機能（緊急速報メール/エリアメール）などで広く伝達されます。普段からこれらの情報源を確認できるようにしておきましょう。
* **AIツールの活用:** 近年では、AIを活用した災害情報アプリも増えています。Yahoo!防災速報のように、地震や津波警報を即時に通知し、避難所の情報も確認できるアプリもありますので、活用を検討してみてください。

緊急地震速報の今後の展望

気象庁は、緊急地震速報の精度向上と迅速化に向けた取り組みを継続しています。具体的には、震源推定手法の改善、複数地震の識別精度の向上、そして巨大地震時の広域に及ぶ地震動の把握などが研究・開発されています。

例えば、「PLUM法（Propagation of Local Undamped Motion）」と呼ばれる新たな予測手法の導入も進められています。これは、震源や規模の推定を行わず、地震計で観測された揺れの強さから直接震度を予測する手法で、広い震源域を持つ巨大地震においても精度良く震度を予測できると期待されています。

また、AI技術の進展は、地震速報の分野にも大きな可能性をもたらしています。地震波の解析や、被害予測、避難経路の最適化など、様々な場面でのAI活用が期待されます。

まとめ

2025年を迎えるにあたり、緊急地震速報は、能登半島地震の教訓を踏まえ、より高精度で信頼性の高い情報提供を目指して進化を続けています。長周期地震動階級の追加や震源推定手法の改善など、技術的な進歩は目覚ましく、私たちを守るためのセーフティネットは日々強化されています。

しかし、どんなに優れたシステムでも、その真価を発揮するのは、私たちが適切に情報を受け取り、行動に移してこそです。緊急地震速報が鳴った際には「周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する」という基本行動を忘れずに、日頃から防災訓練への参加や家庭での備えを怠らないようにしましょう。

地震はいつどこで起こるか予測できませんが、緊急地震速報を正しく理解し、適切に行動することで、被害を最小限に抑えることができます。私たち一人ひとりの防災意識の向上が、未来の安全な社会を築く上で最も重要だと言えるでしょう。

雑談力向上委員会

編集部