「なんで1時間は100分じゃないの？」子供の頃の素朴な疑問、大人になっても答えられますか？

「ねぇ、お母さん。なんで1時間はピッタリ100分じゃないの？その方が計算しやすいのに！」

子どもの頃、親にこんな質問を投げかけて、困らせてしまった経験はありませんか？かくいう私も、時計の読み方を習いたての頃、この疑問が頭から離れませんでした。だって、お金は100円で繰り上がるし、長さも100cmで1mになる。世の中のほとんどがキリの良い「10進法」でできているのに、なぜか時間だけが「60」という中途半端な数字で区切られている…。

この長年のモヤモヤ、実はあなただけではありません。SNSでもこんな声が溢れています。

> X (旧Twitter) の声:
> 「仕事で『75分』って書くか『1.25時間』って書くか一瞬迷うのアタマ悪いと思われそうで嫌だ…。なんで1時間100分にしなかったんだ昔の人！

素朴な疑問」

> Instagramの声:
> 「子供に『なんで1時間は60分なの？』って聞かれて答えられなかった…。パパの威厳が…。誰か分かりやすく教えてください（泣）

子育ての悩み #パパ友募集」

そう、多くの人が「そういうものだから」と受け入れているだけで、その明確な理由を知らないのです。

この記事を読めば、あなたは「1時間が60分である理由」を誰にでも分かりやすく説明できるようになります。それだけではありません。

• 古代人の驚くべき知恵と発想力に触れ、歴史の面白さに目覚める
• 日常に潜む「当たり前」の裏側を知り、世界がもっと面白く見えるようになる
• 飲み会や雑談の席で「おっ！」と言わせる、知的なうんちくを語れるようになる

この記事は、単なる知識の詰め込みではありません。あなたの日常を豊かにする、知的な冒険への招待状です。さあ、一緒に4000年以上もの時を遡り、「1時間が60分である理由」の謎を解き明かす旅に出かけましょう！

【結論】答えは4000年前のメソポタミアにあり！「60進法」という超便利システムが起源だった

早速、核心からお伝えします。「1時間が60分である理由」は、今から約4000年以上前、現在のイラクにあたる地域で栄えた古代メソポタミア文明（特にシュメール人やバビロニア人）が使っていた「60進法」に由来します。

私たちが普段使っている、0から9までの10個の数字で位が上がる「10進法」に対し、「60進法」は60ごとに位が上がる数の数え方です。 この古代の超便利システムが、天文学の発展とともにギリシャやエジプトに伝わり、形を変えながら現代の私たちにまで受け継がれているのです。

「え、なんで60？10の方が分かりやすいじゃん！」

そう思いますよね。しかし、古代メソポタミアの人々にとって、「60」という数字は私たち現代人が思う「10」よりも、はるかに合理的で便利な魔法の数字だったのです。次の章から、なぜ彼らが「60」という数字に魅了されたのか、その驚くべき理由を詳しく解説していきます。

なぜ「10」ではなく「60」が選ばれたのか？古代メソポタミア人の恐るべき合理性

私たちが「キリがいい」と感じる「10」という数字。これは両手の指の数が10本であることから、ごく自然に生まれた考え方です。 ではなぜ、古代メソポタミアの人々は、より複雑に見える「60」という数字をあえて選んだのでしょうか。その理由は、大きく分けて2つあります。

理由1：とにかく「割りやすい」！驚異的な利便性

最大の理由は、「60」という数字が驚くほど多くの数で割り切れることにあります。 ちょっと数学的な話になりますが、難しくないので安心してくださいね。

60を割り切れる数（約数）を書き出してみましょう。

【60の約数】

1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 15, 20, 30, 60 （なんと12個！）

一方で、10の約数はどうでしょうか。

【10の約数】

1, 2, 5, 10 （たったの4個…）

この差は歴然ですよね。「割りやすい」ということは、モノを分けたり、時間を区切ったりする際に非常に便利だということを意味します。

例えば、1時間＝60分なら、半分（30分）、1/3（20分）、1/4（15分）、1/5（12分）、1/6（10分）と、整数でキレイに分割できます。 もし1時間が100分だったら、1/3は約33.33…分となり、割り切れません。ピザやケーキを分ける時を想像してみてください。3等分や4等分、6等分しやすい方が圧倒的に便利ですよね。

古代の人々は、商取引や土地の分割、共同作業の時間配分など、生活のあらゆる場面でこの「割りやすさ」の恩恵を受けていたのです。

> プロの視点：失敗談から学ぶ「割り切れる」ことの重要性

> 私が新人マーケターだった頃、あるキャンペーンの残り時間を表示する際に、こんな失敗をしました。「残り1.5時間です！」と書くべきところを、感覚的に分かりやすいかと思い「残り1時間と30分！」と書いたのです。しかし、システム上は「90分」と入力しなければならず、表示にズレが生じてしまい大混乱。「1.5時間 = 90分」という単純な計算ミスが、いかに大きな問題を引き起こすかを痛感しました。もし1時間が100分だったら、「1.5時間 = 150分」と直感的で間違いにくかったかもしれません。しかし、チームで作業時間を「3等分」するような場面を考えると、「100分 ÷ 3 = 33.33…分」となり、逆に不便だったでしょう。古代人が60を選んだのは、こうした実用面でのメリットを深く理解していたからに他なりません。

理由2：天文学との深い関わり

もう一つの重要な理由が、天文学の発達です。 古代メソポタミアの人々は、夜空の星々を観察し、天体の動きから季節の移り変わりや時間を読み取っていました。

彼らは、太陽が1年かけて天球上の同じ位置に戻ってくる周期が約360日であることを発見しました。 そして、この「360」という数字を基準に、円を360度に分割するという考え方を生み出したのです。

ここで「60」との関係が見えてきます。

360 ÷ 6 = 60

つまり、「360」という天体の運行に基づいた神聖な数字と、「60」は非常に相性が良かったのです。円（天球）を6分割した扇形の角度が60度になるなど、幾何学的な計算においても60進法は力を発揮しました。

この天文学と数学の融合が、60進法をより強固なものにし、後の文明にも大きな影響を与えていくことになります。

> SNSでのリアルな声:
> 「『1時間が60分なの、約数が多いから便利なんだって』ってドヤ顔で話したら、理系の友達に『常識だよw』って言われた…。でも文系の私には目からウロコだった！古代人すごい！

豆知識 #60進法」

まさにこの「目からウロコ」感こそ、歴史を知る面白さですよね。私たちが当たり前に使っている時間の単位が、数千年も前の人々の合理的な判断によって成り立っていると知ると、なんだか感慨深いものがあります。

時間の単位はこうして世界に広まった！壮大な歴史の物語

メソポタミアで生まれた60進法。しかし、それがどうやって「1時間＝60分」「1分＝60秒」という形で、世界中の標準になったのでしょうか。ここからは、古代エジプト、ギリシャ、そして近代ヨーロッパへと続く、壮大な歴史のバトンリレーを追いかけてみましょう。

STEP1：古代エジプトが「1日24時間」の基礎を築く

メソポタミアから少し西、古代エジプト文明でも天文学は非常に重要視されていました。彼らは、1日を昼と夜に分け、それぞれを12分割するという方法を考案します。

• 昼の12分割: 日時計を使い、太陽の影の動きをもとに時間を区切りました。
• 夜の12分割: 特定の星々が夜空を通過するのを観測して時間を測っていました。

こうして、「昼の12」と「夜の12」を合わせて1日＝24時間という概念の基礎が生まれたのです。 なぜ「12」という数字が使われたかについては、「1年が12ヶ月だから」という説や、「親指で他の4本の指の関節（3×4=12）を数える方法があったから」という説などがあります。

この時点ではまだ、メソポタミアの60進法とエジプトの24時間制は別々の場所で発展していました。この二つが融合するのは、次のギリシャの時代を待たなければなりません。

STEP2：古代ギリシャの天文学者が「分」と「秒」を導入する

古代ギリシャの天文学者たちは、メソポタミアやエジプトから天文学の知識を積極的に取り入れ、さらに発展させました。

紀元前2世紀の天文学者ヒッパルコスは、地球を経線によって360の領域に分割することを考案し、1日を等しく24時間に分けることを提案しました。

そして紀元150年頃、天文学者クラウディオス・プトレマイオスが、ヒッパルコスの考えをさらに推し進めます。 彼は、天文学の非常に細かい計算を行うために、バビロニア由来の60進法を用いて、角度の単位である「度」をさらに細かく分割したのです。

• 第1の小さい部分 (pars minuta prima): 1度を60分割した単位。これが英語の minute (分) の語源となりました。
• 第2の小さい部分 (pars minuta secunda): さらにそれを60分割した単位。これが英語の second (秒) の語源です。

最初はあくまで角度を細かく計算するための単位でしたが、この考え方が時間の分割にも応用され、「1時間＝60分」「1分＝60秒」という概念が誕生したのです。

ただし、これはあくまで天文学者たちが計算上で使う専門的な単位でした。一般の人々の生活に「分」や「秒」が登場するのは、まだずっと先のことになります。

STEP3：機械式時計の登場で「分」と「秒」が日常になる

中世までの人々の生活では、日の出や日没、教会の鐘の音などでおおよその時間が分かれば十分でした。しかし、14世紀頃にヨーロッパで機械式時計が発明されると、時間の精度は飛躍的に向上します。

当初の機械式時計には、時間を示す短針しかなかったと言われています。 しかし、時計の精度が上がるにつれて、より細かい時間を知りたいというニーズが高まっていきました。

• 16世紀後半: 分を示す分針（長針）を持つ時計が登場。
• 17世紀以降: 秒を示す秒針も追加されるようになります。

そして、大航海時代や産業革命を経て、鉄道の運行など、社会全体で正確な時刻を共有する必要性が高まります。こうして、天文学者の計算道具だった「1時間＝60分、1分＝60秒」という時間の区切り方が、世界中の人々の生活に浸透していったのです。

このように、私たちが何気なく使っている「時間」の単位は、数千年にもわたる文明の交流と技術の進歩の結晶なのです。

もしも1時間が100分だったら？10進法の世界をシミュレーション！

歴史を学んだところで、少し想像力を働かせてみましょう。もし、フランス革命期に一部で提唱されたような「十進化時間（1日が10時間、1時間が100分、1分が100秒）」が採用されていたら、私たちの生活はどうなっていたでしょうか？

メリット：時間の計算が圧倒的に楽になる！

最大のメリットは、何と言っても計算のしやすさです。

• 勤務時間の計算: 「7時間30分勤務」は「7.5時間」と、小数点に直すのが簡単になります。もう「30分 ÷ 60分 = 0.5時間」なんて計算は不要です。
• 料理のレシピ: 「25分茹でる」は「0.25時間」。「150分煮込む」は「1.5時間」と、単位変換がスムーズになります。
• 時速の計算: 「時速60kmで90分走った距離」を求めるのに、いちいち「90分 = 1.5時間」と変換する必要がなくなります。「時速60kmで150分（=1.5時間）走った距離」なら、暗算も楽々です。

> SNSでの共感の声:
> 「アルバイトの勤怠入力、毎回『15分は0.25』『45分は0.75』って変換するの地味にめんどい。1時間100分だったら秒で終わるのに…！

アルバイトあるある」

この面倒さから解放されるのは、大きな魅力と言えるでしょう。

デメリット：生活リズムや感覚とのズレ？

一方で、デメリットも考えられます。

• 生活感覚との不一致: 昔から「お昼休みは1時間」と言いますが、もし1時間が今の86.4分（24時間÷10時間×60分）に相当する長さになったら、少し短く感じるかもしれません。逆に1日の時間は変わらないので、1分や1秒の長さは短くなります。
• 割り切れない問題: 60進法の最大のメリットだった「割りやすさ」が失われます。「3人で均等に分ける」といった場面で、33.33…分のような端数が出てきてしまいます。
• 歴史との断絶: これまで人類が60進法で築き上げてきた天文学の記録や、歴史的な文献との互換性がなくなり、大きな混乱を招いたでしょう。

フランス革命で十進化時間が普及しなかったのは、人々が長年慣れ親しんだ時間の感覚を変えることが、いかに難しいかを示しています。 メリットはあっても、それを上回るほどの変更コストと社会的なコンセンサスの壁があったのです。

【もしもシミュレーション】60進法 vs 10進法

結局のところ、どちらが良いというわけではなく、それぞれのシステムに一長一短があると言えそうです。しかし、歴史が60進法を選び、それが現代まで続いているという事実そのものが、60進法の持つ合理性と普遍性を物語っているのかもしれません。

世界にはこんなにあった！ユニークな時間の数え方

「1日24時間、1時間60分」が世界標準となる前は、各地でユニークな時間の数え方が存在しました。そのいくつかを紹介することで、私たちの「当たり前」がいかに特殊なものであるかが見えてきます。

日本の「不定時法」：お日様の動きに合わせた柔軟な時間

江戸時代までの日本では、「不定時法（ふていじほう）」という非常にユニークな時間法が使われていました。 これは、1日を昼と夜に分け、それぞれを6等分するという考え方です。

【不定時法の特徴】

• 日の出から日没まで（昼）と、日没から日の出まで（夜）を基準にする。
• 昼と夜をそれぞれ6つの「刻（とき）」に分ける。
• 季節によって昼夜の長さが変わるため、一刻の長さも季節によって変動する。

つまり、夏の昼の一刻は長く、冬の昼の一刻は短くなるのです。これは、太陽の動きに合わせて生活していた当時の人々にとって、非常に合理的で自然な時間感覚でした。 「まだ明るいから畑仕事は続けよう」「暗くなったから家に帰ろう」という、生活のリズムに即した時間法だったと言えます。

> 意外な発見！和時計の超絶技巧

> この不定時法に対応するため、当時の日本の時計職人たちは「和時計」という特殊な時計を開発しました。季節によって文字盤の間隔を調整したり、振り子の重りを自動で変えたりする驚くべき機構を備えていたのです。このことからも、日本人がいかに柔軟な発想で「時間」と向き合っていたかが伺えます。

明治時代に太陽暦が導入されると、この不定時法は廃止され、西洋式の定時法（1時間の長さが常に一定）に切り替わりました。 しかし、日の出とともに起き、日没とともに休むという自然のリズムは、私たちの体の奥深くに今も刻まれているのかもしれません。

フランス革命の「十進化時間」：合理性を追求した壮大な実験

先ほども少し触れましたが、フランス革命期には、度量衡を10進法で統一しようという動きの中で、時間も10進法で表そうという試みがありました。

• 1日 = 10時間
• 1時間 = 100分
• 1分 = 100秒

これは、あらゆるものを合理的に再構築しようとした革命の精神を象徴する、壮大な社会実験でした。 専用の時計まで作られましたが、結果として国民には全く普及せず、わずか12年あまりで廃止されてしまいました。

失敗の理由としては、やはり長年染み付いた生活習慣を変えることの難しさや、フランス以外の国との時間共有の問題などが挙げられます。 合理的であることが、必ずしも人々に受け入れられるとは限らない、という興味深い教訓を残した事例と言えるでしょう。

【プロの視点】なぜ私たちは「1時間が60分」に何の違和感もないのか？

ここまで「1時間が60分の理由」を歴史的、数学的に解説してきましたが、最後の疑問が残ります。それは、「なぜ私たちは、こんなに複雑な背景を持つ60進法を、ごく自然に受け入れているのか？」ということです。

その答えは、「社会的コンセンサス」と「身体知」にあります。

私たちは物心ついた時から、家の壁にかかった時計を見て育ちます。小学校で時計の読み方を習い、「長い針が12を指したらちょうどだよ」と教えられます。テレビ番組は正時や30分に始まり、電車の時刻表も分刻みで組まれています。

このように、社会全体が「1時間＝60分」というルールを大前提として動いており、私たちはその中で生活するうちに、無意識のうちにそのルールを身体で覚えていくのです。これを「身体知」と呼びます。

もはや、「なぜ60分なのか？」と考えるまでもなく、

• 「会議はあと15分で終わりだな」
• 「電車が来るまで5分あるからコーヒーを買おう」
• 「カップラーメンは3分待つのが一番おいしい」

といった感覚が、身体に染み付いているのです。

もしあなたが今日から突然、「1時間は100分です」と言われたら、計算上は便利かもしれませんが、これまでの生活で培ってきた全ての時間感覚をリセットしなければならず、途方もないストレスを感じるでしょう。

つまり、私たちが60進法に違和感を抱かないのは、それが論理的に優れているからという以上に、私たちの文化や生活、そして身体そのものに深く根ざしてしまっているからなのです。古代メソポタミア人が見出した数学的な合理性は、数千年の時を経て、私たちの無意識の領域にまで到達している。そう考えると、なんだか壮大なロマンを感じませんか？

まとめ

今回は、「1時間が60分である理由」という素朴な疑問を入り口に、壮大な人類の知恵の歴史を旅してきました。最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。

• 1時間が60分である理由は、古代メソポタミア文明で使われていた「60進法」が起源です。
• 「60」という数字は、1, 2, 3, 4, 5, 6で割り切れるため、モノや時間を分割するのに非常に便利でした。
• 古代エジプトで「1日24時間」の基礎が生まれ、古代ギリシャの天文学者が60進法を用いて「分」と「秒」の概念を確立しました。
• 機械式時計の発明と普及により、「1時間60分」という時間の区切り方が世界中の人々の生活に定着していったのです。

普段、何気なく見ている時計の針。その一刻み一刻みに、4000年以上にもわたる人類の試行錯誤と知恵のバトンリレーが詰まっていると知ると、これからの時間の見方が少し変わってくるかもしれません。

「当たり前」を疑ってみる。その小さな好奇心が、あなたの日常をより深く、豊かなものにしてくれるはずです。次に時計を見るときは、ぜひ古代メソポタミアの星空に思いを馳せてみてください。

雑談力向上委員会

編集部