【2025年最新版】知らないと罰金も!タイヤチェーン規制の「5つの嘘」と賢い乗り切り術をプロが徹底解説
えっ、スタッドレスタイヤだけじゃダメなの!?突然の「タイヤチェーン規制」で立ち往生しないために
「冬のドライブ、スタッドレスタイヤに履き替えたから準備万端!」 「まさか自分の走る道で、チェーンが必要になるなんて…」
もし、あなたがそう思っているなら、この記事を最後まで読んでください。なぜなら、その”安心感”が、冬のドライブで最も危険な落とし穴かもしれないからです。
実は、大雪が降った時に発令される「タイヤチェーン規制」は、あなたが思っているよりもずっと身近で、そして厳しい規制なんです。この規制、なんとスタッドレスタイヤを履いていても、チェーンを装着していないと絶対に通行できないというルール。
「知らなかった…」では済まされません。規制を知らずに立ち往生し、貴重な休日を無駄にするだけでなく、後続車に多大な迷惑をかけてしまう…。最悪の場合、罰則の対象になることだってあるんです。
この記事では、元自動車整備士であり、年間300日以上を車で過ごす私が、そんな悪夢のような事態を避けるための知識を、どこよりも分かりやすく、そして徹底的に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、あなたは以下のことをマスターできます。
- 「タイヤチェーン規制」とは何か、なぜ必要なのかが根本から理解できる
- 規制がいつ、どこで発令されるのかを事前に察知し、スマートに対応できる
- 数あるタイヤチェーンの中から、あなたの車とライフスタイルに最適な一本を選び抜ける
- いざという時、誰よりも早く、そして安全にチェーンを装着できる「プロの技」が身につく
もう、「知らなかった」で後悔するのは終わりにしましょう。この記事をあなたの「冬道最強のパートナー」として、安全で快適な冬のドライブを実現してください!
【結論】タイヤチェーン規制は「スタッドレスタイヤでも通行不可」の最終警告!
時間がないあなたのために、まず結論からお伝えします。
タイヤチェーン規制とは、大雪特別警報などが発令されるような「異例の豪雪時」に、特定の道路区間で「すべての車」にタイヤチェーンの装着を義務付ける、極めて厳しい規制です。
この規制の最大のポイントは、以下の3つです。
- . スタッドレスタイヤだけでは絶対に通行できません。 冬用タイヤ規制とは全くの別物です。
- . 対象区間は全国に指定されており、主に急な峠道など立ち往生しやすい場所です。
- . 規制区間の手前で係員による装着チェックがあり、未装着の場合はその場でUターンを求められます。 指示に従わず、渋滞などを引き起こした場合は罰則の対象となる可能性があります。
- 日本道路交通情報センター(JARTIC): 全国各地のリアルタイムな道路交通情報を提供。
- 各高速道路会社の公式サイト(NEXCO東日本「ドラぷら」など): 高速道路の情報に特化。
- 国土交通省の「防災・災害情報」ページ: 最新の発表や規制情報を確認可能。
- X(旧Twitter)の公式アカウント: 国土交通省や各道路管理者のアカウントは、災害時に非常に役立ちます。
- . 防水性の手袋(グローブ): 軍手でも良いですが、すぐに濡れて手がかじかんでしまいます。スキー用のグローブなど、防水・防寒性に優れたものがベスト。
- . ヘッドライト: 夜間の作業や、日が暮れるのが早い冬には必須。両手が使えるヘッドライトが圧倒的に便利です。
- . 膝当て(または厚手のレジャーシート): 雪の上に膝をついて作業することが多いため、あると非常に快適です。汚れた地面から衣服を守る役割も。
- 高速道路のサービスエリア、パーキングエリア
- チェーン着脱場
- 道の駅
- チェーンの裏表や向きが分かる
- どのくらいの力で引っ張ればいいか分かる
- 全体の流れが頭に入っている
- . ゆっくりと発進: チェーンを装着した直後は、ゆっくりと車を動かし、「カチャカチャ」といった異音がないか、ハンドルが取られないかを確認しましょう。
- . 時速30〜50km/hで走行: タイヤチェーン装着時の走行速度は、製品によって異なりますが、一般的に金属製は時速30km以下、非金属製は時速50km以下が目安です。 絶対にスピードを出し過ぎないでください。
- . 数百メートル走って「増し締め」: 少し走行すると、遠心力でチェーンがなじみ、緩みが出ることがあります。安全な場所に停車し、チェーンが緩んでいないか再度確認し、必要であれば締め直す「増し締め」を行いましょう。これをやるかやらないかで、チェーンが外れるリスクを大幅に減らせます。
- メリット: 保管場所が不要、メンテナンスフリー。
- デメリット: 料金が割高、自分のタイヤサイズに合うものが必ずあるとは限らない、使い古されたものが多く装着しづらい場合がある、いざという時に店舗が営業していない可能性がある。
- 「タイヤチェーン規制」は、スタッドレスタイヤだけでは通行できない最高レベルの規制です。 大雪による立ち往生を防ぎ、交通を確保するための重要なルールと理解しましょう。
- 規制対象となる全国20区間と、リアルタイムな情報の入手方法を事前に把握しておくことが、計画的なドライブの鍵です。
- チェーン選びは「金属」「非金属」「布」それぞれの特性を理解し、「JASAA認定マーク」のある信頼できる製品を自分の用途に合わせて選びましょう。
- 購入後は必ず一度、自宅で装着練習を!このひと手間が、いざという時のあなたを救います。
- 罰則を恐れるのではなく、立ち往生による時間的損失や、周囲に与える影響を考え、社会的責任としてチェーンを携行しましょう。
つまり、「自分は大丈夫だろう」という根拠のない自信は一切通用しません。冬に車で遠出をする可能性があるすべてのドライバーにとって、タイヤチェーンの携行と正しい知識は、もはや「マナー」ではなく「義務」なのです。
それでは、この厳しい規制を賢く乗り切るための具体的な方法を、詳しく見ていきましょう。
【基本のキ】そもそも「タイヤチェーン規制」って何?スタッドレスタイヤだけじゃダメな理由
「そもそも、なんでそんな厳しい規制があるの?」 「スタッドレスタイヤだって、雪道に強いタイヤじゃないの?」
そう思いますよね。まずは、この規制がなぜ生まれたのか、その背景から理解していきましょう。
大規模な立ち往生を防ぐための「最後の砦」
近年、数年に一度と言われるような「ドカ雪」が頻発しているのは、皆さんもニュースなどでご存知の通りです。2018年には、福井県で約1500台もの車が立ち往生するという痛ましい出来事がありました。 このような大規模な立ち往生の多くは、雪道でのスリップが原因で発生します。
国土交通省は、こうした事態を防ぐため、2018年に新たなルールを導入しました。それが「タイヤチェーン規制」です。
この規制の目的は、「大雪による大規模な立ち往生を未然に防ぎ、社会的な混乱を最小限に抑えること」、そして「従来であれば全面通行止めにせざるを得なかった状況でも、チェーン装着車に限って通行を許可し、交通を確保すること」にあります。 つまり、私たちの安全と社会インフラを守るための「最後の砦」と言えるでしょう。
「冬用タイヤ規制」と「タイヤチェーン規制」の決定的な違い
ここで多くの人が混乱するのが、「冬用タイヤ規制」との違いです。この2つは、名前は似ていますが、内容は全く異なります。一目で分かるように、表で比較してみましょう。
| 規制の種類 | 冬用タイヤ規制 | タイヤチェーン規制 |
|---|---|---|
| 規制の内容 | スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤ、またはタイヤチェーンの装着を義務付け | いかなるタイヤでも、必ずタイヤチェーンの装着を義務付け |
| スタッドレスタイヤでの通行 | 可能 | 不可 |
| オールシーズンタイヤでの通行 | スノーフレークマーク付きなら可能な場合が多い | 不可 |
| 発令される状況 | 積雪・凍結の恐れがある一般的な冬道 | 大雪特別警報や緊急発表が出るような異例の豪雪時 |
| 規制の厳しさ | 低 | 高(最高レベル) |
ご覧の通り、「タイヤチェーン規制」がいかに厳しいものか、お分かりいただけると思います。
「スタッドレスを履いているから大丈夫」という考えは、タイヤチェーン規制の前では全く通用しないのです。
実際にSNSでも、 「え、中央道でチェーン規制!?スタッドレスじゃダメなの!?聞いてないよ…」 「4WDに最新のスタッドレス履いてるのに、目の前で止められた。チェーン持ってなくて詰んだ…」 といった、規制の厳しさを目の当たりにしたドライバーの悲痛な叫びが、毎年のように投稿されています。これは他人事ではありません。
スタッドレスタイヤは確かに雪道に強いですが、その性能にも限界があります。特に、水分を多く含んだ重い雪が降り積もった坂道や、アイスバーンの上を新雪が覆ったような状況では、グリップ力を失い立ち往生してしまうことがあるのです。 タイヤチェーンは、タイヤの外側から物理的に雪や氷に食い込むことで、スタッドレスタイヤだけでは得られない強力なグリップ力を発揮します。 この「プラスアルファの駆動力」こそが、異例の豪雪時に求められるのです。
いつ、どこで発令される?【全国20区間】タイヤチェーン規制対象ルート完全マップ
「じゃあ、そのヤバい規制は、一体いつ、どこで発令されるの?」
ご安心ください。タイヤチェーン規制は、無差別に発令されるわけではありません。発令のタイミングと場所には、明確な基準と指定があります。
発令のタイミングは「大雪特別警報」が目安
タイヤチェーン規制は、「大雪特別警報」や「大雪に対する緊急発表」が行われるような、異例の降雪が見込まれる場合に実施されます。
具体的には、大雪が予想される2〜3日前に、国土交通省や各地域の地方整備局、高速道路会社などから「チェーン規制発令の可能性がある」という事前広報が行われます。 そして、現地の降雪状況に応じて、最終的な実施が決定される流れです。
つまり、いきなり当日になって「はい、今日から規制です!」となるわけではないのです。天気予報と併せて、これらの公的機関からの情報をチェックしていれば、心の準備ができます。
【リアルタイム情報の入手先】
冬に車で遠出する際は、出発前に必ずこれらの情報源をチェックする習慣をつけましょう。
知っておくべき全国20区間の指定ルート
2024年11月現在、タイヤチェーン規制の対象として指定されているのは、高速道路13区間と国道7区間の合計20区間です。これらの区間は、過去に大雪による立ち往生が発生した場所や、急な勾配が続く峠道など、特に注意が必要な場所が選ばれています。
以下に全区間をリストアップします。ご自身のドライブ計画と照らし合わせて、必ず確認しておきましょう。
高速道路(13区間)
| 都道府県 | 道路名 | 区間 | 延長 |
|---|---|---|---|
| 新潟県・長野県 | E18 上信越道 | 信濃町IC ~ 新井PA(上り線) | 24.5km |
| 山梨県 | E20 中央道 | 須玉IC ~ 長坂IC | 8.7km |
| 長野県 | E19 中央道 | 飯田山本IC ~ 園原IC | 9.6km |
| 静岡県 | E1A 新東名高速道路 | 長泉沼津IC ~ 新御殿場IC | 22.1km |
| 静岡県 | E1A 新東名高速道路 | 浜松いなさJCT ~ 長篠設楽原PA | 24.3km |
| 福井県・滋賀県 | E8 北陸道 | 丸岡IC ~ 木之本IC | 40.5km |
| 福井県 | E8 北陸道 | 今庄IC ~ 敦賀IC | 17.8km |
| 岡山県・鳥取県 | E73 米子道 | 湯原IC ~ 江府IC | 33.3km |
| 広島県・島根県 | E74 浜田道 | 大朝IC ~ 旭IC | 26.6km |
| 愛媛県 | E56 松山道 | いよIC ~ 大洲IC | 25.8km |
| 熊本県 | E3 九州道 | 八代JCT ~ えびのIC | 40.1km |
| 熊本県 | E3 九州道 | 人吉IC ~ えびのIC | 21.9km |
| 大分県 | E34 大分道 | 湯布院IC ~ 日出JCT | 16.5km |
国道(7区間)
| 都道府県 | 路線番号 | 箇所名 | 区間 | 延長 |
|---|---|---|---|---|
| 山形県 | 国道112号 | 月山道路 | 西川町月山沢 ~ 鶴岡市田麦俣 | 15.2km |
| 山梨県・静岡県 | 国道138号 | 山中湖・須走 | 山梨県山中湖村平野 ~ 静岡県小山町須走字御登口 | 8.2km |
| 新潟県 | 国道7号 | 大須戸~上大鳥 | 村上市大須戸 ~ 村上市上大鳥 | 15.3km |
| 福井県 | 国道8号 | 石川県境~坂井市 | あわら市熊坂 ~ あわら市笹岡 | 3.2km |
| 広島県・島根県 | 国道54号 | 赤名峠 | 広島県三次市布野町横谷 ~ 島根県飯南町上赤名 | 2.5km |
| 愛媛県 | 国道56号 | 鳥坂峠 | 西予市宇和町~大洲市北只 | 7.0km |
| 熊本県 | 国道57号 | 阿蘇・竹田 | 熊本県阿蘇市 ~ 大分県竹田市 | 19.3km |
※2024年11月時点の情報です。今後、対象区間が追加・変更される可能性があるため、最新の情報は国土交通省のウェブサイト等でご確認ください。
これらの区間は、まさに「冬道の難所」です。例えば、山形県の国道112号「月山道路」は、標高が高く、猛烈な地吹雪が発生することで知られています。また、中央道の須玉IC〜長坂IC間は、八ヶ岳からの吹きおろしが強く、路面が凍結しやすいことで有名です。
これらの道を冬に走る可能性があるなら、「自分は大丈夫」と思わず、必ずタイヤチェーンを車に積んでおくようにしてください。
【違反するとどうなる?】罰則と知られざる3つのリスク
「もしチェーンを持っていなかったら、どうなるの?」 「罰金とか、点数が引かれたりするのかな?」
規制がある以上、当然ペナルティも気になりますよね。結論から言うと、単純にチェーンを装着していないだけで即座に罰金、ということはありません。
規制区間の手前には必ず検問所が設けられ、係員が1台ずつチェーンの装着状況を確認します。 もし装着していなければ、その場で通行を止められ、Uターンするか、近くのチェーン着脱場で装着するように指示されます。
しかし、「それなら、まあいっか」と思うのは大間違いです。そこには、罰金以上に深刻なリスクが潜んでいるのです。
リスク1:悪質な場合は「30万円以下の罰金」も
係員の指示に従わず、検問を無視して規制区間に侵入したり、立ち往生して大規模な渋滞を引き起こしたりした場合は、話が変わってきます。
この場合、道路法や道路交通法に基づき、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」といった重い罰則が科される可能性があります。
「バレなきゃいい」という考えは絶対に通用しません。あなたの軽率な行動が、多くの人の命や時間を危険に晒すことになるのです。
リスク2:罰金よりも痛い「時間のロス」と「余計な出費」
仮に罰則を免れたとしても、経済的・時間的なダメージは計り知れません。
友人のA君は、数年前にこんな失敗をしました。 「4WDにスタッドレスだから余裕っしょ!」と豪語し、チェーンを持たずに仲間とスキー場へ向かったA君。しかし、目的地手前の峠道で、まさかのタイヤチェーン規制に遭遇。検問で止められ、泣く泣く一番手前のICで高速を降りました。 しかし、周辺のカー用品店は同じようなドライバーでごった返し、チェーンは軒並み品切れ。数時間探し回った挙句、ようやく見つけたのは、自分のタイヤサイズに合わない高価なチェーンだけ…。 結局、その日はスキー場にたどり着くこともできず、仲間との楽しい一日を台無しにしてしまいました。「あの時、数千円をケチらずにチェーンを買っておけば…」と、今でも悔やんでいます。
これは、決して笑い話ではありません。規制に引っかかれば、貴重な休日の時間を失い、予定外の高い出費を強いられることになるのです。
リスク3:周囲を巻き込む「社会的責任」
そして最も重いリスクが、周囲への迷惑です。 あなたが立ち往生することで、後続車は何時間も雪の中で待たされることになります。その中には、急ぎの用事がある人や、体調の悪い人、小さな子供を乗せた家族がいるかもしれません。救急車や消防車といった緊急車両の通行を妨げてしまう可能性だってあります。
あなたの「準備不足」が、多くの人の人生に影響を与えてしまうのです。タイヤチェーンを携行することは、自分のためだけでなく、社会全体に対する責任でもあると心得ましょう。
【チェーン選びの新常識】プロが教える!あなたの車に最適なチェーンはコレだ!
「よし、チェーンの重要性は分かった!でも、種類が多すぎてどれを選べばいいか分からない…」
そうですよね。カー用品店に行くと、金属製、非金属製、布製と、様々な種類のチェーンが並んでいて、初心者の方は戸惑ってしまうと思います。
ここでは、それぞれの特徴を徹底比較し、あなたの運転スタイルや車種に最適なチェーンを選ぶための「プロの視点」を伝授します!
3つのタイプを徹底比較!メリット・デメリット早わかり表
まずは、主流である3つのタイプ(金属製・非金属製・布製)のメリットとデメリットを、比較表で見てみましょう。
| 種類 | 金属製 | 非金属製(ゴム・ウレタン) | 布製(タイヤソックス) |
|---|---|---|---|
| 画像(イメージ) | 亀甲型やはしご型の鎖 | タイヤを覆うネット状 | タイヤに被せる布カバー |
| グリップ力 | ◎(特に凍結路に強い) | ◯(総合力が高い) | △(圧雪路は得意だが、凍結路は苦手) |
| 乗り心地 | △(振動・騒音が大きい) | ◯(比較的静かで快適) | ◎(非常に静かでスムーズ) |
| 着脱のしやすさ | △(重く、慣れが必要) | ◯(比較的簡単) | ◎(最も簡単で軽い) |
| 耐久性 | △(乾燥路で切れやすい) | ◯(比較的丈夫) | △(アスファルトで摩耗しやすい) |
| 価格 | ◯(比較的安価) | △(高価なモデルが多い) | ◯(安価なものからある) |
| 収納性 | ◎(コンパクト) | △(かさばる) | ◎(非常にコンパクト) |
| こんな人におすすめ | ・とにかく安く備えたい ・年に1回使うかどうか ・凍結路での性能を最重視 | ・乗り心地と性能を両立したい ・装着の手間を減らしたい ・年に数回は使う可能性がある | ・緊急用として備えたい ・装着の手軽さを最優先したい ・雪が少ない地域に住んでいる |
タイプ別・もっと詳しい解説と「ありがちな失敗談」
表だけでは分からない、それぞれのタイプの「リアル」な部分を、よくある失敗談を交えながら解説します。
1. 金属製チェーン:「安物買いの銭失い」にご用心!
昔ながらの金属チェーンは、なんといっても価格の安さと、凍結路(アイスバーン)での強力なグリップ力が魅力です。 雪をガリガリと削りながら進む感覚は、絶大な安心感があります。
【ありがちな失敗談】
「年に1回しか使わないから」と、ネットで一番安い金属チェーンを買ったBさん。いざ使おうとしたら、説明書は外国語、部品はバラバラ…。極寒の中、かじかむ手で1時間以上格闘したものの、うまく装着できず。結局、JAFを呼ぶ羽目に。「練習しなかった自分を殴りたい…」と嘆いていました。
【プロの視点】
安価な金属チェーンは、取り付けが複雑なものが多く、事前の練習が不可欠です。また、走行中の振動と騒音はかなり大きいので、長距離の移動には向きません。 そして最も注意すべきは、雪が溶けたアスファルト路面を走り続けないこと。 あっという間にチェーンが切れて、フェンダーや車体を傷つける原因になります。
2. 非金属製(ゴム・ウレタン)チェーン:バランス重視の優等生
現在、最も主流となっているのが、ゴムやウレタン樹脂でできた非金属チェーンです。 金属製に比べて圧倒的に乗り心地が良く、装着も簡単なモデルが多いのが特徴。 グリップ力も十分で、雪道から凍結路まで、幅広い状況に対応できるバランスの良さが人気の秘訣です。
【ありがちな失敗談】
念願の非金属チェーンを手に入れたCさん。装着も簡単で満足していましたが、シーズンオフに手入れをせず、濡れたままケースに入れて物置に放置。翌年、いざ使おうと取り出すと、ゴムが劣化して硬化し、スパイクピンがサビだらけに…。無理に装着しようとしたら、パキッと割れてしまいました。
【プロの視点】
非金属チェーンは、性能・快適性・使いやすさのバランスが取れており、初めてチェーンを買う方や、年に数回スキー場などへ行く方に最もおすすめです。ただし、金属製に比べて価格が高く、収納時にかさばるのがデメリット。 使用後は、必ず汚れを落として乾燥させてから保管しましょう。ひと手間かけるだけで、寿命が格段に延びます。
3. 布製チェーン(タイヤソックス):手軽さNo.1の緊急サポーター
近年、注目度が急上昇しているのが、布製のタイヤカバー、通称「タイヤソックス」です。 その名の通り、タイヤに靴下を履かせるような感覚で、誰でも驚くほど簡単に装着できます。 非常に軽量でコンパクトなため、トランクに常備しても邪魔になりません。
【ありがちな失敗談】
「これなら私でも付けられる!」と布製チェーンを購入したDさん。圧雪路では期待以上の走りを見せましたが、規制区間を抜けた後の長いトンネル内(アスファルト路面)を、外し忘れて走り続けてしまいました。トンネルを抜けた後、確認すると布はボロボロに破れ、一度の使用で再起不能に…。「手軽だけど、デリケートなんだな」と痛感したそうです。
【プロの”視点】
布製チェーンは、「年に一度降るか降らないか」という地域のドライバーが、緊急用として備えるのに最適です。 乗り心地も非常に静か。 ただし、耐久性は他のタイプに劣り、特に乾燥路での走行は厳禁です。 また、凍結したツルツルの路面では、金属や非金属タイプに比べてグリップ力が劣る傾向があります。あくまで「緊急脱出用」と割り切って使うのが賢明です。もちろん、タイヤチェーン規制には対応しています。
【重要】「JASAA認定マーク」がお守りになる!
チェーンを選ぶ際、性能や価格と同じくらい重要視してほしいのが、「JASAA(ジャサア)認定マーク」の有無です。
JASAA(一般財団法人 日本自動車交通安全用品協会)は、タイヤチェーンの性能や耐久性について厳しい基準を設け、それに合格した製品だけを認定しています。 このマークが付いている製品は、「一定以上の品質と安全性が保証されている」ということ。
近年、ネット通販などで非常に安価な海外製の非認定品が出回っていますが、これらは「安かろう悪かろう」の典型です。 取り付け中に壊れたり、数キロ走っただけで切れたりする粗悪品も少なくありません。
万が一の時に命を守るための道具です。必ず「JASAA認定マーク」のある、信頼できる製品を選びましょう。
【実践編】もう慌てない!タイヤチェーンの正しい付け方・外し方講座
「よし、最高のチェーンを選んだぞ!でも、いざという時にちゃんと付けられるかな…」
その不安、よく分かります。どんなに高性能なチェーンも、正しく装着できなければ意味がありません。そして、多くの人がぶつかる最大の壁が、この「装着」です。
でも、大丈夫。ここでは、極寒の雪山でJAF隊員が実践しているような、安全かつスピーディーに装着するための「5つの極意」を伝授します。
極意1:戦いは準備で決まる!「三種の神器」を揃えよ
吹雪の中、素手で作業を始めるのは無謀です。チェーン装着をスムーズに行うためには、事前の準備が9割。チェーン本体とは別に、以下の「三種の神器」を必ず車に常備しておきましょう。
これらに加え、汚れたチェーンを入れるための大きなビニール袋や、雪を払うためのブラシ、作業内容を確認するためのスマホ(説明書の動画などを入れておく)があると、さらに完璧です。
極意2:場所を選べ!安全な装着場所を見極めるべし
チェーン装着は、必ず安全が確保された平坦な場所で行いましょう。
これらが最適な場所です。 絶対にやってはいけないのが、トンネル内や坂道の途中、カーブの見通しが悪い場所での作業です。後続車からの追突事故に繋がる、非常に危険な行為です。
もし、走行中にチェーンが必要になった場合は、ハザードランプを点灯させ、できる限り路肩に寄せ、後方に停止表示器材(三角表示板)を設置した上で、安全に十分注意して作業してください。
極意3:駆動輪を見抜け!付けるべきタイヤはどこだ?
「チェーンって、4本全部に付けるの?」 いいえ、普通乗用車の場合、通常は2輪に装着します。 問題は、「どの2輪に付けるか」です。これは、あなたの車の駆動方式によって決まります。
| 駆動方式 | 説明 | チェーン装着輪 |
|---|---|---|
| FF (前輪駆動) | エンジンが前方にあり、前のタイヤを回して走る。国産の多くの乗用車がこのタイプ。 | 前輪 |
| FR (後輪駆動) | エンジンが前方にあり、後ろのタイヤを回して走る。スポーツカーや一部のセダン、トラックなど。 | 後輪 |
| 4WD (四輪駆動) | 4つすべてのタイヤを回して走る。SUVや雪国仕様の車に多い。 | 基本は前輪(※車種の取扱説明書で確認するのが最も確実) |
自分の車の駆動方式が分からない場合は、車検証を見るか、メーカーのウェブサイトで確認しましょう。間違ったタイヤに装着すると、全く効果がないばかりか、非常に危険です。
極意4:練習は本番のように!「自宅駐車場シミュレーション」
これが最も重要な極意です。
必ず、雪が降る前に、天気の良い日に、自宅の駐車場などで一度は装着の練習をしてください。
X(旧Twitter)では、毎年冬になると「チェーン装着に1時間かかった…」「手が凍って死ぬかと思った」「説明書が意味不明で泣きそう」といった投稿が溢れます。これは、ぶっつけ本番で挑んだ人たちの悲劇です。
一度でも練習しておけば、
という状態で本番に臨めます。この差は、天と地ほど大きい。たった30分の事前練習が、極寒の雪山でのあなたの心と体を救ってくれます。
極意5:装着後の「慣らし運転」と「増し締め」を怠るな
無事に装着できても、まだ安心はできません。
【外し方のポイント】
外し方は、基本的に付け方の逆の手順です。雪や氷が溶けた安全な場所で、周囲の安全を確認してから作業しましょう。外したチェーンは、泥や融雪剤で汚れています。そのまま放置するとサビや劣化の原因になるため、帰宅後に真水で洗い、しっかり乾燥させてから保管するのが長持ちの秘訣です。
【意外な落とし穴】タイヤチェーン規制にまつわるQ&A
最後に、多くの人が疑問に思う点や、意外と知られていない落とし穴について、Q&A形式で一気に解決します!
Q1. 「オールシーズンタイヤ」ならチェーンは不要?
A1. いいえ、タイヤチェーン規制時は、オールシーズンタイヤでも必ずチェーンの装着が必要です。
オールシーズンタイヤは、「冬用タイヤ規制」であれば通行可能な場合が多いですが、「タイヤチェーン規制」は別格です。 スタッドレスタイヤ同様、チェーンを装着しなければ通行できません。
Q2. 最新の「4WD」ならチェーンなしで余裕?
A2. いいえ、4WD車も規制の対象です。必ずチェーンを装着してください。
4WDは確かに雪道での発進性能に優れていますが、過信は禁物。特に下り坂での制動力は、車の重量が重い分、2WD車より滑りやすいことさえあります。 どんなに高性能な4WDでも、規制の前ではすべての車が平等です。
Q3. 規制区間の手前に、チェーンを付けたり外したりする場所はあるの?
A3. はい、あります。
規制区間の手前には、チェーンの着脱が安全に行える「チェーン着脱場」や、高速道路のパーキングエリアなどが整備されています。 規制が発令されると、これらの場所へ誘導されますので、係員の指示に従ってください。
Q4. 「レンタルチェーン」って、実際のところどうなの?
A4. 緊急時の選択肢としてはアリですが、デメリットも理解しておく必要があります。
ガソリンスタンドやスキー場周辺のレンタルショップで借りることができます。
年に何度も使わないのであれば購入した方が経済的ですし、何より「自分の車に合った、いつでも使えるチェーン」を持っている安心感には代えがたいものがあります。
Q5. 規制が解除されたら、すぐにチェーンを外すべき?
A5. はい、雪や氷がない路面に出たら、安全な場所を見つけて速やかに外してください。
特に金属チェーンをアスファルト路面で使い続けると、チェーン自体が破損するだけでなく、切れたチェーンが車体を叩き、ボディやブレーキホースなどを損傷させる危険性があります。 また、タイヤや道路を傷める原因にもなります。面倒くさがらず、こまめに着脱することが安全運転の基本です。
まとめ:冬のドライブは「備え」がすべて!
最後に、この記事の最も重要なポイントをまとめます。
タイヤチェーンは、決して「特別な装備」ではありません。冬の道を走るドライバーにとっての、シートベルトやエアバッグと同じ「安全装備」の一つです。
「備えあれば憂いなし」という言葉がありますが、冬のドライブはまさに、この一言に尽きます。正しい知識と万全の準備があれば、突然の雪も決して怖いものではありません。むしろ、美しい雪景色を楽しむ余裕さえ生まれるはずです。
さあ、この記事を参考に、あなたにぴったりのタイヤチェーンを準備して、安全で心に残る冬のドライブへと出かけましょう!
