エジプトはなぜうざい国と言われるのか
エジプトは、ナイル川の恵みを受けて古代文明が栄えた国として知られています。ピラミッドやスフィンクスなどの壮大な遺跡は、世界中から多くの観光客を魅了しています。しかし、その一方で、エジプトは「うざい国」というネガティブなイメージを持たれることもあるのです。
一体なぜ、エジプトはうざいと言われてしまうのでしょうか。その理由を探るべく、本記事ではエジプトの歴史や文化、観光地としての側面、国民性や社会問題などを多角的に分析していきます。エジプトのイメージを形作る様々な要因を明らかにし、うざいと感じる人々の声に耳を傾けながら、この国の真の姿に迫ります。
エジプトの歴史と文化
エジプトの歴史は、紀元前3000年頃まで遡ります。ナイル川の定期的な氾濫がもたらす肥沃な土壌を活かし、古代エジプト人は農業を発展させました。そして、強力な王朝を築き上げ、ピラミッドやスフィンクスなどの巨大建造物を建設したのです。古代エジプト文明は、数学や天文学、医学などの分野でも高度な知識を持ち、世界に大きな影響を与えました。
しかし、紀元640年にアラブ人がエジプトを征服して以降、イスラム教が国教となり、社会や文化に大きな変化が生じました。現在、エジプト国民の90%以上がイスラム教徒であり、日常生活や慣習にもイスラムの教えが色濃く反映されています。
エジプトでは、男尊女卑の傾向が強く、女性の社会進出は限定的です。女性は家庭内での役割を重視され、外出時には肌の露出を控えめにするなどの服装規範が求められます。こうした文化的背景から、エジプトは保守的でわかりにくい国だと捉えられることもあるのです。
観光地としてのエジプト
エジプトは、観光資源に恵まれた国です。ギザのピラミッドをはじめとする古代遺跡は、世界遺産にも登録されており、歴史ファンの心を魅了します。また、紅海沿岸には美しいリゾートが点在し、ダイビングやシュノーケリングを楽しむ人々で賑わいます。
しかし、観光地としてのエジプトには、マイナスのイメージもつきまといます。その一つが、現地の人々による強引なセールスです。観光客が歩いていると、土産物屋の店員やタクシー運転手が寄ってきて、執拗に商品の購入や車の利用を勧めてきます。「ノー」と言っても簡単には引き下がらず、時にはつきまとわれることもあります。また、サービスを受けた後に法外な「バクシーシ(チップ)」を要求されるケースも少なくありません。
さらに深刻なのが、女性観光客へのセクハラです。街中を歩いているだけで、現地の男性から口笛を吹かれたりボディタッチされたりすることがあります。中には、執拗に付きまとってくる者もおり、女性にとって居心地の悪い思いをすることも珍しくありません。こうした観光客へのハラスメントは、エジプトのイメージを大きく損ねる要因となっているのです。
エジプトの観光地
エジプトには、古代文明の遺産から美しい海岸リゾートまで、多彩な観光スポットがあります。歴史や文化に触れながら、エジプトならではの魅力を満喫することができるでしょう。
1. ギザのピラミッド
- 世界最古の世界遺産
- クフ王のピラミッド、カフラー王のピラミッド、メンカウラー王のピラミッドの3基が有名
- スフィンクスも必見
2. ルクソール
- 古代エジプトの首都・テーベがあった場所
- ルクソール神殿、カルナック神殿が有名
- 王家の谷には多くのファラオの墓が存在
3. アスワン
- ナイル川の美しい景観が楽しめる
- 未完成のオベリスクや、イシス神殿で知られるフィラエ島が人気
4. アブ・シンベル神殿
- ラムセス2世が建設した大神殿
- ナセル湖の建設に伴い、現在の場所に移築された
5. アレクサンドリア
- 地中海に面した港町
- 古代アレクサンドリア図書館跡や、要塞跡が見所
6. シャルム・エル・シェイク
- 紅海に面したリゾート地
- ダイビングやシュノーケリングが人気
7. カイロ
- エジプトの首都
- エジプト考古学博物館には貴重な遺物が多数展示されている
- イスラム地区やハーン・エル・ハリーリ市場も見所
エジプトの通貨
エジプトの通貨は「エジプト・ポンド(Egyptian Pound, EGP)」です。補助通貨単位として、1ポンド=100ピアストル(Piastre)が使われています。紙幣は、5、10、20、50、100、200ポンドの6種類が流通しており、硬貨は、25ピアストル、50ピアストル、1ポンド、2ポンドの4種類が使われています。
物価
エジプトの物価は、総じて日本や欧米諸国と比べると安い部類に入ります。ただし、観光地では物価が高めに設定されていることが多いので注意が必要です。
食費
- 街中の食堂:30~100ポンド程度
- 高級レストラン:200~500ポンド程度
- ファストフード:50~100ポンド程度
- 水(500ml):5~10ポンド程度
交通費
- タクシー(市内):20~50ポンド程度
- 地下鉄(カイロ):3~7ポンド程度
- バス(市内):2~5ポンド程度
宿泊費
- ゲストハウス:100~300ポンド程度
- 3つ星ホテル:400~1,000ポンド程度
- 5つ星ホテル:1,500~3,000ポンド程度
入場料
- ギザのピラミッド:200ポンド程度
- エジプト考古学博物館:200ポンド程度
- ルクソール神殿:160ポンド程度
これらはあくまで目安であり、実際の価格は場所や時期によって異なります。また、観光客向けの施設やサービスは、現地の人々が利用するものよりも割高になる傾向があります。
エジプト旅行の予算を立てる際は、これらの物価を参考にしつつ、余裕を持った計画を立てることをおすすめします。また、現地でのお買い物の際は、値段交渉が重要です。最初に提示された価格から半分程度まで下げることができることも珍しくありません。上手に交渉することで、旅行費用を節約することができるでしょう。
エジプト旅行の服装と注意点
エジプト旅行の際は、イスラム文化への理解と尊重を忘れずに、ルールとマナーを守ることが大切です。また、エジプト料理を楽しんだり、ユニークなお土産を見つけたりすることで、旅の思い出をより深いものにすることができるでしょう。
ただし、お土産の購入の際は、過度な値下げ交渉や強引な売り込みに注意が必要です。エジプトの物価を理解し、適正な価格で購入するようにしましょう。また、模造品や盗難品などの違法な商品に手を出さないよう、慎重に選ぶことが重要です。
服装
- イスラム教の国であることを踏まえ、露出の多い服装は避ける
- 女性は、肩や膝を覆うような服装が望ましい
- 男性は、半ズボンや tank top などの露出の多い服装は避ける
- モスク内では、男女ともに肌の露出を控え、女性はスカーフ等で髪を覆う
注意点
- 断食月(ラマダン)中は、日中の飲食を控える
- 公共の場でのアルコール飲酒は控える
- 同性愛に対して非常に厳しい国なので、同性愛者は注意が必要
- 写真撮影の際は、人物を無断で撮らないように気をつける
- 軍事施設や警察官の撮影は禁止されている
エジプト料理
- フール(ソラマメのペースト)
- タメイヤ(ファラフェル)
- コシャリ(豆、パスタ、米などの混ぜご飯)
- ムルーヒーヤ(モロヘイヤを使ったスープ)
- ウム・アリ(パイ生地のプディング)
- 紅茶やコーヒーを濃い目に煮出した「カルカデ」や「アフワ」も人気
エジプトのお土産
- パピルス紙の絵画
- 模造のツタンカーメンのマスク
- ガラス製品(ランプシェードなど)
- 香水瓶
- ナイルの水(花崗岩でできた小瓶に入っている)
- スパイスセット(クミンやコリアンダーなど)
- ヒエログリフ付きのキーホルダーやマグネット
エジプト人の国民性
エジプト人は、陽気で親しみやすい国民性を持っていると言われます。家族や友人を大切にし、コミュニティの絆を重視する傾向があります。外国人に対しても、歓迎の意を示し、自国の文化を積極的に紹介しようとする姿勢が見られます。
しかし、その一方で、エジプト人にはいくつかの特徴的な面もあります。まず、時間にルーズだと指摘されることが多いのです。約束の時間を守らなかったり、急な変更を平気で行ったりすることがよくあります。イスラム教の考え方である「インシャアッラー(神の御心のままに)」が浸透しているため、計画通りに物事を進めるという意識が薄いのかもしれません。
また、エジプトは権威主義的な社会構造を持っています。年長者や地位の高い人を敬い、上下関係を重視する風潮があります。そのため、警察官や役人が横柄な態度を取ることもあり、一般市民は逆らえない雰囲気があるのです。
こうしたエジプト人の国民性は、外国人から見ると理解しがたい部分もあり、うざいと感じる要因の一つになっているようです。
エジプトの社会問題
エジプトには、様々な社会問題が存在します。その一つが、貧富の格差です。一部の富裕層が豊かな生活を送る一方で、大多数の国民は貧困に苦しんでいます。都市部には、スラム街が広がり、劣悪な住環境の中で人々が暮らしているのです。
また、教育制度の不備も指摘されています。非識字率が高く、学校教育の質も十分とは言えません。特に地方部では、学校に通えない子供たちも少なくありません。イスラム教の影響から、宗教教育に比重が置かれる傾向もあり、近代的な教育を受ける機会が限られているのです。
女性の地位の低さも、エジプトの大きな問題です。家庭内では男性優位の考えが根強く、女性は従属的な立場に置かれがちです。女性に対する差別や暴力も後を絶たず、社会進出の機会も限られています。こうした状況は、国際社会から批判の的となっています。
観光客から見ると、こうしたエジプトの社会問題は直接目にすることは少ないかもしれません。しかし、その背景にある様々な課題が、エジプトのイメージに影を落としていることは確かです。
メディアにおけるエジプトのイメージ
エジプトは、メディアにおいてもうざいイメージで描かれることが少なくありません。映画やドラマでは、ミイラの呪いにまつわる物語が繰り返し取り上げられてきました。『ミイラ』シリーズなどは、古代エジプトを舞台に、復活したミイラが人々を襲うという恐怖のストーリーを描いています。
また、アガサ・クリスティの小説を映画化した『ナイルに死す』では、エジプトを退廃的な雰囲気で表現しています。豪華客船に乗り合わせた登場人物たちが、ナイル川をクルーズしながら殺人事件に巻き込まれていくのですが、その背景には、欧米人から見たエジプトのイメージが色濃く反映されているのです。
ニュース報道でも、エジプトはネガティブな文脈で取り上げられることが多いです。2011年の「アラブの春」以降、政情不安が続いており、デモや衝突の様子が頻繁に報じられてきました。また、イスラム過激派によるテロ事件との関連性も指摘されることがあり、治安の悪いイメージが定着しつつあります。
こうしたメディアにおける描写は、エジプトに対する人々の認識に大きな影響を与えています。ネガティブなイメージが先行し、うざい国という印象を助長しているのかもしれません。
エジプト旅行の注意点
エジプトを旅行する際には、いくつかの注意点があります。まず、衛生面での留意が必要です。現地の水道水は直接飲まないようにし、生野菜なども避けた方が無難でしょう。旅行者にありがちな「エジプト帰り」を防ぐためにも、手洗いやうがいを徹底することが大切です。
また、イスラム教の国であることを踏まえ、文化や習慣の違いに配慮することも求められます。ラマダン(断食月)中は、日中の飲食を控えるのがマナーです。モスクを訪れる際は、肌の露出を控えめにし、靴を脱ぐなどの礼儀を守りましょう。
観光地では、トラブルに巻き込まれないための心構えが必要です。現地の人との交流は楽しいものですが、過度な親近感を持たれては困ります。適度な距離を保ち、相手の言動に惑わされないようにしましょう。土産物屋などでの強引なセールスにも、毅然とした態度で臨むことが大切です。
こうした注意点を踏まえつつ、エジプトの魅力を存分に楽しむことが、充実した旅行体験につながるはずです。うざいと感じる部分もあるかもしれませんが、それを上回る発見や感動が待っているに違いありません。
うざいと感じる人々の声
実際にエジプトを訪れた人々の中には、うざいと感じる経験をした人も少なくありません。旅行サイトの口コミなどを見ると、様々な声が寄せられています。
「ピラミッドの近くで、土産物屋に騙されて高額な商品を買わされた」という人もいます。現地のガイドと結託した店員が、巧みな話術で観光客を丸め込むのだそうです。「タクシーの運転手が、メーターを稼働させずにぼったくりの値段を吹っかけてきた」というケースも報告されています。
長期滞在者の中にも、エジプトの社会システムにうんざりしている人がいます。「役所の手続きが非効率で、何時間も待たされた挙げ句、窓口で適当な対応をされた」といった声や、「男性中心の社会でビジネスがやりにくい。女性が会議に出ても発言を軽視される」といった嘆きも聞かれます。
こうした声は、エジプトのイメージを悪化させる一因となっていますが、一方的に批判するだけでは建設的ではありません。うざいと感じる部分を冷静に見つめ直し、その背景にある文化や社会構造を理解することが求められているのです。
エジプト側の反応
エジプト政府は、観光客のマイナス体験を重く受け止め、様々な対策に乗り出しています。観光地での安全確保のため、観光警察を設置し、パトロールを強化しています。トラブルを起こした土産物屋やタクシー運転手には、厳しい処分を下すことで、再発防止に努めているのです。
また、観光客向けの啓発キャンペーンも実施されています。現地のマナーやルールを分かりやすく説明したパンフレットを配布したり、観光地での注意事項を呼びかけたりすることで、トラブルの未然防止を図っているのです。
一般市民の中にも、エジプトのイメージ悪化を憂慮する声があります。「ほんの一部の人々の行動で、国全体が誤解されるのは残念だ」と嘆く人もいます。「観光はエジプトにとって重要な収入源。もっと大切にすべきだ」と訴える人もいるのです。
エジプト側の努力が実を結び、うざいイメージが払拭される日が来ることを期待したいものです。そのためには、政府や市民の取り組みに加え、観光客側の理解と協力も欠かせません。お互いの歩み寄りが、エジプトの真の魅力を引き出すことにつながるはずです。
まとめ
エジプトがうざいと言われる理由は、複合的な要因が絡み合っています。観光地としてのマイナス面、社会問題や国民性の特徴、メディアでの描かれ方などが、うざいイメージを作り上げているのです。
しかし、エジプトは本来、魅力的な文化や歴史を持つ国でもあります。古代文明の遺産は、人類の英知の結晶であり、現代に生きる私たちを魅了してやみません。イスラム文化が育んだ美しい芸術や建築、親しみやすい国民性も、エジプトの大きな魅力と言えるでしょう。
うざいと感じる部分を直視しつつ、エジプトの良い面にも目を向けることが大切です。一面的な見方に陥ることなく、多角的な視点からエジプトを捉えることが求められています。
もちろん、エジプト側の改善努力も欠かせません。観光客へのハラスメント撲滅や社会問題の解決に向けて、政府や国民が一丸となって取り組む必要があります。教育の充実や女性の地位向上、貧困対策などは、長期的な視点に立って着実に進めていかなければなりません。