知らないと損!仕事がデキる人の思考法「抽象と具体の違い」を3分で完全理解する7つのトレーニング
「話が分かりにくい」と言われた経験、ありませんか?デキるあの人との決定的な違い
「で、結局何が言いたいの?」 会議で発言した後、上司からこう返されて、頭が真っ白になった経験はありませんか?あるいは、一生懸命説明しているのに、相手がポカンとした顔をしている…。そんな時、「自分は説明が下手なんだ」と落ち込んでしまいますよね。
一方で、あなたの周りにはいませんか?どんな複雑な話でも、スッと頭に入ってくる説明をする人。会議で誰もが納得する的確な意見を言う人。彼らと自分との間には、一体どんな抽象と具体の違いがあるのでしょうか。
実は、彼らは特別な才能を持っているわけではありません。彼らが無意識のうちに使いこなしているのが、物事の本質を捉え、分かりやすく伝えるための思考法、「具体と抽象の行き来」なのです。
この記事を読めば、あなたもその思考法をマスターできます。
- 抽象と具体の違いが、誰にでも分かるように理解できる
- なぜ、この思考法が現代のビジネスで「最強のスキル」と言われるのかが分かる
- 明日から実践できる、具体的なトレーニング方法が手に入る
- 会議やプレゼン、日常のコミュニケーションで、あなたの評価が劇的に変わる
もう、「話が分かりにくい」なんて言わせません。思考の解像度を上げ、仕事と日常を豊かにする「知のOS」を、この記事でインストールしていきましょう!
【結論】「抽象と具体の違い」は、視点の高さの違い。デキる人はこれを自在に使いこなす
早速結論からお伝えします。
抽象と具体の違いとは、一言でいえば「物事をどの視点から見るか」の違いです。
思考 | 視点 | 特徴 | 例えるなら |
---|---|---|---|
抽象 | 鳥の目(空から全体を眺める) | 物事の共通点を見つけ、本質を捉える。「まとめる」思考。 | 森全体を見る |
具体 | 虫の目(地面から細部を観察する) | 個々の事象を詳しく、はっきりと捉える。「細かくする」思考。 | 木の一本一本を見る |
仕事がデキる人は、この「鳥の目」と「虫の目」を、まるでカメラのズーム機能のように、話す相手や状況に応じて瞬時に切り替えています。全体像(抽象)を示して方向性を合わせ、次に個別の詳細(具体)を説明して納得感を得る。この思考の行き来こそが、彼らの分かりやすさの正体なのです。
【超入門】そもそも「抽象と具体の違い」って何?世界一わかりやすく解説します
「視点の違いと言われても、まだピンとこない…」という方もご安心ください。ここでは、専門用語を一切使わずに、抽象と具体の違いをさらに噛み砕いて解説します。
「抽象」とは?一言でいうと「まとめる」こと
抽象とは、いくつかの具体的なものに共通する性質を抜き出して、一つの言葉で「まとめる」ことです。 「要するに?」「一言でいうと?」と問われた時に使う思考がこれにあたります。
例えば、
- 「犬」「猫」「ハムスター」に共通する性質を抜き出すと「ペット」や「動物」になります。これが抽象化です。
- 「おにぎり」「サンドイッチ」「カレーパン」をまとめると「軽食」や「パン・米類」となります。
抽象化することで、物事の全体像や本質を捉えることができます。 しかし、抽象的すぎると、話がぼんやりして分かりにくくなるというデメリットもあります。
「具体」とは?一言でいうと「細かくする」こと
具体とは、抽象的な言葉を「例えば?」と問いかけ、個別のハッキリとした形あるものに「細かくする」ことです。 アクションに落とし込めるレベルまで分解していくイメージです。
例えば、
- 「動物」という抽象的な言葉を具体化すると、「シベリアンハスキー」「三毛猫」「ジャンガリアンハムスター」といった、個々の存在になります。
- 「会議の準備をする」という抽象的な指示を具体化すると、「明日の10時の会議までに、A社向けの提案資料を3部印刷し、プロジェクターの設置を完了させておく」となります。
具体化することで、話が分かりやすくなり、すぐに行動に移せるようになります。 しかし、具体的すぎると、話が細かくなりすぎて全体像が見えなくなり、「木を見て森を見ず」の状態に陥りがちです。
日常生活にあふれる「抽象と具体」の例
実は私たちは、日常生活の中で無意識に抽象と具体の違いを使い分けています。
- 友人との会話
- 抽象: 「最近、なんか良いことないかな〜」
- 具体: 「週末、新しくできたカフェの限定パフェを食べに行かない?」
- ニュース
- 抽象: 「政府は経済対策を発表しました」
- 具体: 「国民一人あたりに10万円の特別定額給付金を支給することが決定しました」
- 料理のレシピ
- 抽象: 「野菜をいい感じに切る」
- 具体: 「にんじんを5mm幅のいちょう切りにする」
このように、私たちは相手や状況に応じて、無意識に抽象と具体のレベル(抽象度)を調整しているのです。
よくある勘違い:「抽象=難しい、具体=簡単」は間違い!
多くの人が「抽象的な話は難しくて、具体的な話は分かりやすい」というイメージを持っています。 これは半分正解で、半分間違いです。
確かに、抽象的すぎる話は理解しにくいことがあります。 しかし、物事の本質を捉え、応用可能な法則を見つけ出す「抽象化」は、非常に高度な知的作業です。 逆に、ただ目の前の事象を述べるだけの「具体化」は、思考停止にも繋がりかねません。
重要なのは、どちらが優れているかではなく、両者をバランスよく使いこなし、自在に行き来することなのです。
なぜ今、「抽象と具体の思考」が最強のビジネススキルだと言われるのか?
VUCAと呼ばれる、将来の予測が困難な現代において、「抽象と具体を行き来する思考力」は、あらゆるビジネスパーソンにとって必須のスキルとなっています。 なぜなら、この思考法が以下の3つの強力なメリットをもたらすからです。
理由1:コミュニケーションが劇的にスムーズになる
仕事の悩みの多くは、人間関係、特にコミュニケーションのズレから生まれます。その根本原因の多くが、抽象と具体のミスマッチにあるのです。
【多くの人がやりがちな失敗談】
> 新人時代、僕も大きな失敗をしました。当時の上司から「例の件、いい感じに進めといて」と指示されたんです。僕は「いい感じ」を「とりあえず資料をたくさん集めて、体裁を整えること」だと解釈しました。徹夜で分厚い資料を作り上げ、意気揚々と報告したところ、上司から返ってきたのは「俺が言ったのはそういうことじゃない。なんで先に市場のリアルな声を聞きに行かなかったんだ?」という厳しい言葉でした…。
この失敗の原因は、上司の「いい感じに(抽象)」という指示を、僕が勝手な解釈で「資料作成(具体)」に落とし込んでしまったことにあります。この時、「『いい感じ』とは、具体的にどのような状態を指しますか?」と一言確認するだけで、悲劇は防げたはずです。
SNSでも、こんな声が見られます。
> 「上司の指示が『あれ、やっといて』とか『なるはやで』とか抽象的すぎてマジで動けない。それで『なんで終わってないんだ』ってキレられるの、本当に理不尽…。」
抽象と具体の違いを意識すれば、このようなコミュニケーションエラーを未然に防ぐことができます。 相手の話が抽象的だと感じたら「具体的にはどういうことですか?」と問いかけ、逆に自分の話が具体的すぎると感じたら「要するに、〇〇ということです」と抽象化してまとめる。 この一手間が、信頼関係を築き、仕事の効率を飛躍的に向上させるのです。
理由2:問題解決能力が爆上がりする
目の前で起きている問題(具体)に振り回され、場当たり的な対応に終始してしまう…。これは、問題解決が苦手な人の典型的なパターンです。
【プロならこうする、という視点】
> 優秀なコンサルタントは、クライアントが抱える個別の問題(例:「A商品の売上が落ちている」)を聞くと、すぐに解決策を探しません。まず、「なぜ売上が落ちているのか?」を深掘りし、「市場の変化」「競合の台頭」「ブランドイメージの陳腐化」といった、より高い視点から問題を抽象化して捉え直します。 > > この抽象化のプロセスを経ることで、個別の事象の裏にある「本質的な課題」が見えてくるのです。 そして、その本質的な課題に対して、最も効果的な打ち手(具体)を導き出します。このように、具体→抽象→具体という思考の往復運動が、的確な問題解決の鍵となります。
この思考法は、一つの成功事例を他のケースに応用する際にも役立ちます。 例えば、「A店で成功した顧客対応マニュアル」をそのままB店に導入しても、うまくいかないことがあります。しかし、A店の成功の本質を「顧客との信頼関係を築くための仕組み」と抽象化して捉えれば、B店の状況に合わせた具体的な方法論を再構築できるのです。
理由3:アイデア発想力が豊かになる(イノベーションの源泉)
画期的なアイデアやイノベーションは、既存のものの組み合わせから生まれることがほとんどです。そして、この「組み合わせ」を生み出す強力な武器が、抽象化思考なのです。
【意外な発見】
> 例えば、「テント」という言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?多くの人は「キャンプで使うもの」という具体的なイメージを持つでしょう。 > > しかし、これを「人を保護するシェルター」や「自分だけのプライベートな空間」と抽象化して捉え直すとどうでしょうか? すると、「アウトドア」という文脈から解放され、「オフィスで集中するための個室」や「災害時の避難場所」といった、全く新しい用途のアイデアが生まれてきます。 実際に、こうした発想から「一人用の室内テント」というヒット商品が生まれました。
このように、一見すると全く関係のないもの同士でも、抽象度を上げることで共通点が見つかり、新しい結合が生まれるのです。 普段から物事を抽象化して考える癖をつけておくと、誰も思いつかないような斬新なアイデアを生み出すことができます。
あなたはどっち?思考のクセを自己診断!「抽象化思考」と「具体化思考」
人にはそれぞれ、思考の「クセ」があります。自分がどちらのタイプかを理解することで、抽象と具体の違いをより意識的に使いこなせるようになります。
「抽象化思考」が得意な人の特徴(鳥の目タイプ)
物事の全体像を捉えたり、本質を見抜いたりするのが得意なタイプです。
長所 | 短所 |
---|---|
✓ 全体像を把握するのが早い | ✗ 話が壮大で、現実味に欠けることがある |
✓ 物事の本質を見抜く力がある | ✗ 細かい作業や実行計画を立てるのが苦手 |
✓ 応用力が高く、前例のないことにも対応できる | ✗ 「で、具体的にどうするの?」と言われがち |
✓ 新しいアイデアを出すのが得意 | ✗ 足元が見えておらず、現実離れした発言をすることも |
「具体化思考」が得意な人の特徴(虫の目タイプ)
目の前のタスクを確実にこなしたり、詳細な計画を立てたりするのが得意なタイプです。
長所 | 短所 |
---|---|
✓ 実行力が高く、着実に物事を進められる | ✗ 全体像が見えず、木を見て森を見ずになりがち |
✓ 細かい点によく気がつき、ミスが少ない | ✗ 応用が効かず、マニュアル通りにしか動けないことがある |
✓ 現実的で、地に足のついた考え方ができる | ✗ 「そもそも、何のためにこの作業をやってるんだっけ?」となりがち |
✓ 説明が丁寧で分かりやすい | ✗ 前例のないことや、急な変化に対応するのが苦手 |
【診断表】あなたは鳥の目?虫の目?思考タイプチェックリスト
以下の10個の質問に「はい」「いいえ」で答えて、自分の思考タイプをチェックしてみましょう。
- . □ 会議では、まず全体像や目的から話すことが多い
- . □ 「要するに」「つまり」という言葉をよく使う
- . □ 未知の課題に対して、過去の経験から応用して解決策を考えるのが得意だ
- . □ 物事の背景にある「なぜ?」を考えるのが好きだ
- . □ 複数の情報から、共通のパターンを見つけ出すのが得意だ
- . □ 「例えば」「具体的には」という言葉をよく使う
- . □ ToDoリストを作って、タスクを一つずつこなしていくのが好きだ
- . □ マニュアルや手順書を読むのが得意で、その通りに実行できる
- . □ 人に何かを説明する時、具体的な例をたくさん挙げる
- 0. □ 細かいデータや事実に基づいて判断することが多い
- 1〜5の「はい」が多い人: あなたは抽象化思考が得意な「鳥の目」タイプです。物事の本質を掴む力に長けていますが、時として実行段階での詰めが甘くなることも。意識的に「具体的には?」と自問自答する癖をつけましょう。
- 6〜10の「はい」が多い人: あなたは具体化思考が得意な「虫の目」タイプです。着実な実行力がありますが、視野が狭くなりがちです。常に「何のために?(So What?)」と目的を問い直し、一段高い視点を持つことを心がけましょう。
- 「はい」の数が同程度の人: あなたはバランスの取れた思考ができています。状況に応じて、意識的に両方の視点を使い分けることで、さらに思考力を高めることができるでしょう。
- 具体: 「A商品の売上が落ちている」
- なぜ?① → 競合のB商品にお客様が流れているから
- なぜ?② → B商品は価格が安く、機能も充実しているから
- なぜ?③ → B商品は、顧客が本当に求める機能に絞り込み、コストダウンを実現しているから
- なぜ?④ → 顧客のニーズが「多機能」から「シンプルで使いやすい」に変化しているから
- なぜ?⑤ → ライフスタイルの変化により、顧客が商品に求める価値観が変わったから(本質・抽象)
- 具体: 「20代女性のSNS利用時間が、1日平均3時間を超えたというデータがある」
- So What? ① → 20代女性は、可処分時間の多くをSNSに費やしている。
- So What? ② → 彼女たちへのアプローチは、テレビCMよりもSNS広告の方が効果的かもしれない。
- So What? ③ → 企業は、マーケティング戦略におけるSNSの重要性を再認識する必要がある。(本質・抽象)
- 抽象: 「もっと顧客に寄り添ったサービスを提供しよう」
- 具体的には?① → 顧客アンケートを実施して、不満点を洗い出す。
- 具体的には?② → サポートセンターの応答時間を現状の半分に短縮する。
- 具体的には?③ → 購入後のフォローアップメールを、全員一律の内容ではなく、顧客の購入履歴に合わせてパーソナライズする。
- 抽象: 「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を用いてビジネスモデルや組織を変革することです」
- 例えるなら… → 「今まで人力でやっていた魚釣りを、魚群探知機や自動操縦の船を使って、もっと効率的に、もっとたくさんの魚を獲れるようにすることです」
- 具体: 「Aさんはリンゴが好き」「Bさんはみかんが好き」「Cさんはバナナが好き」「Dさんはハンバーガーが好き」「Eさんはピザが好き」
- 分類・ラベリング → 【果物好きグループ:Aさん、Bさん、Cさん】【ジャンクフード好きグループ:Dさん、Eさん】
- 具体(A): 「生態系の食物連鎖の仕組み」
- 抽象化: 「異なる要素が相互に依存し合い、一つのバランスを保っているシステム」
- 応用・具体(B): 「この仕組みを、自社のビジネスモデルに応用できないか?(例:複数の事業が互いに顧客を送り合い、エコシステムを形成する)」
- . 問題を分解(抽象→具体): 日本の面積、市街地とそれ以外の割合、電柱の間隔などを仮定する。
- . 計算(具体): 各要素を掛け合わせて、数値を算出する。
- . 検証(具体→抽象): 算出した数値が現実的か、他のデータと照らし合わせて妥当性を評価する。
- . 【抽象】はじめに結論と全体像を示す: 「本日は、売上を20%向上させるための3つの新戦略についてご提案します」
- . 【具体】詳細なデータや事例を説明する: 「戦略1は〇〇です。具体的には…。こちらのデータをご覧ください…」
- . 【抽象】最後に再度結論をまとめ、行動を促す: 「以上3つの戦略を実行することで、売上20%向上は十分に達成可能です。早速、来週からプロジェクトチームを立ち上げましょう」
- 意見がバラバラに出すぎて収拾がつかない時(発散しすぎ)
- → 抽象化でまとめる: 「皆さんから様々な意見が出ましたが、要するに論点は『コスト』と『スピード』のどちらを優先するか、ということですね?」と、議論の軸を明確にします。
- 議論が堂々巡りで先に進まない時(停滞)
- → 具体化で進める: 「では、仮に『スピード』を優先する場合、具体的にどんなアクションが考えられますか?」と、思考を前進させるための問いを投げかけます。
- 抽象的な課題(Why): 社会の動向や顧客のインサイトに基づき、「解決すべき本質的な課題」を提示する。「現代人は、常に情報過多でストレスを感じている」など。
- 具体的な解決策(How): その課題を解決するための、実行可能なレベルまで落とし込んだ具体的な商品やサービスを提案する。「必要な情報だけをプッシュ通知し、デジタルデトックスを促すアプリ『Calm』を開発する」など。
- 【報告】 まず「〇〇の件、無事契約完了しました(抽象)」と結論を伝えます。その上で、上司から「経緯を詳しく教えて」と求められれば、「先方が懸念されていたAという点について、Bという具体例を提示したところ…」と詳細(具体)を説明します。
- 【指示】 まず「〇〇プロジェクトの目的は、新規顧客層の開拓です(抽象)」と目的を明確に伝えます。その上で、「そのために、まずはインスタグラムでインフルエンサーを起用したキャンペーンを実施してください(具体)」と具体的なアクションを指示します。
- 抽象と具体の違いとは、物事を「鳥の目(全体・本質)」で見るか、「虫の目(詳細・個別)」で見るかの視点の違いです。
- この思考法を身につけることで、「コミュニケーション能力」「問題解決能力」「アイデア発想力」が飛躍的に向上します。
- 「なぜ?」「So What?」「具体的には?」といった問いかけを日常的に意識することで、誰でも思考力を鍛えることができます。
【診断結果】
【明日から使える】「抽象と具体」を行き来する7つの思考トレーニング
ここからは、抽象と具体の思考力を鍛えるための、具体的なトレーニング方法をご紹介します。どれも日常生活や仕事の中で、意識するだけで実践できるものばかりです。
トレーニング1:「なぜ?」を5回繰り返す(具体→抽象)
トヨタ生産方式で有名な「なぜなぜ分析」です。目の前の具体的な事象に対して「なぜ?」を繰り返すことで、根本的な原因、つまりより抽象度の高い本質にたどり着くことができます。
トレーニング2:「So What?(だから何?)」で本質を掴む(具体→抽象)
目の前の事実(具体)から、「結局、これは何を意味するのか?」「だから何が言えるのか?」を考えるトレーニングです。情報の本質的な意味合いを抽出するのに役立ちます。
トレーニング3:「具体的には?」と問いかける(抽象→具体)
上司の指示や会議での発言など、抽象的な言葉に出会った時に、「具体的にはどういうことですか?」と問いかける癖をつけましょう。これにより、認識のズレを防ぎ、行動レベルに落とし込むことができます。
トレーニング4:「例える」トレーニング(抽象→具体)
難しい概念や抽象的な話を、身近なものに「例える」ことで、相手の理解を助けるトレーニングです。 分かりやすい説明の達人は、この「例え話」が非常にうまいです。
トレーニング5:分類・ラベリングする(具体→抽象)
バラバラに散らかった情報(具体)を、共通点でグループ分けし、それぞれに名前(ラベル)をつけるトレーニングです。情報を整理し、構造を理解するのに役立ちます。
トレーニング6:アナロジー(類推)思考を使ってみる(抽象と具体の往復)
一見全く違う分野の構造や法則を、今考えているテーマに応用できないかと考える思考法です。これは、具体(A)→抽象(A’)→具体(B)という高度な往復運動です。
トレーニング7:フェルミ推定に挑戦する(抽象と具体の往復)
「日本全国に電柱は何本あるか?」のような、見当もつかない数を、論理的に概算する思考パズルです。これも、抽象的な仮説と具体的な計算を何度も行き来する、高度なトレーニングになります。
【シーン別】仕事で「抽象と具体」を使いこなす実践テクニック
思考のトレーニングができたら、次はいよいよ実践です。仕事の様々なシーンで、抽象と具体の違いを意識して使いこなすテクニックをご紹介します。
プレゼン・説明:「全体像(抽象)→詳細(具体)→まとめ(抽象)」の黄金法則
人を惹きつけ、納得させる説明には「型」があります。それが、「抽象→具体→抽象」のサンドイッチ構造です。
この流れで話すことで、聞き手は話の地図を持った状態で詳細を聞けるため、迷子になることなく、内容を深く理解できます。
会議・ファシリテーション:「意見が発散したら抽象化、停滞したら具体化」
会議をうまく進行させるファシリテーターは、抽象と具体の使い分けが非常に巧みです。
企画・提案書:「抽象的な課題」と「具体的な解決策」をセットで示す
説得力のある企画書は、「なぜやるのか(Why)」と「どうやるのか(How)」が明確です。
この二つがセットになっていることで、企画の意義と実現可能性の両方を伝えることができます。
上司への報告・部下への指示:「結論(抽象)から話し、必要に応じて具体例を添える」
ビジネスコミュニケーションの基本は「結論ファースト」です。これも抽象と具体の思考に基づいています。
目的(抽象)が共有されることで、部下は指示の意図を理解し、自律的に動くことができるようになります。
【プロの裏技】「抽象と具体」の思考力をさらに深める3つの習慣
最後に、抽象と具体を行き来する思考力を、無意識レベルで使いこなせるようになるための3つの習慣をご紹介します。
習慣1:異なるジャンルの本を読む・人に会う
自分の専門分野や興味のある分野だけに閉じこもっていると、思考のパターンが固定化してしまいます。意識的に全く異なるジャンルの本を読んだり、普段会わないような業界の人と話したりすることで、新しい視点や発想を得ることができます。
これは、アナロジー思考を鍛える絶好の機会です。例えば、生物学の本で読んだ「進化のメカニズム」を、自社の組織改革に応用してみる、といった思考のジャンプが生まれやすくなります。
習慣2:日常のあらゆるものを「抽象化」「具体化」してメモする
通勤電車の中吊り広告、カフェで隣の席の人が話している内容、テレビで見たニュースなど、日常のあらゆる情報にアンテナを張り、「これは要するにどういうことだろう?(抽象化)」「これを自分たちの仕事に応用するなら、具体的にどうなるだろう?(具体化)」と考える癖をつけ、メモしておきましょう。
この「思考の筋トレ」を続けることで、脳内に抽象と具体を行き来する高速道路が作られていきます。
習慣3:メタ認知を意識する(今、自分は抽象的に考えているか?具体的に考えているか?)
メタ認知とは、「自分自身を、もう一人の自分が客観的に見ている」状態のことです。
会議中や思考中、「今、自分は森を見ている(抽象)だろうか?それとも木を見ている(具体)だろうか?」「今の議論に必要なのは、もっと高い視点か?それとも、もっと細かい視点か?」と、常に自分の思考レベルを客観視する癖をつけましょう。
この習慣が身につけば、あなたは思考の迷子になることなく、常に最適な視点から物事を捉え、的確な判断を下せるようになります。
まとめ
今回は、仕事がデキる人の思考法の根幹にある「抽象と具体の違い」について、その意味から実践的なトレーニング方法まで、徹底的に解説してきました。
抽象と具体の違いを理解し、自在に行き来する能力は、もはや一部の優秀な人だけのものではありません。変化の激しいこれからの時代を生き抜くための、すべてのビジネスパーソンにとっての「思考のOS」です。
今日ご紹介したトレーニングは、どれもすぐに始められるものばかり。まずは一つでもいいので、明日からの仕事や生活で意識してみてください。その小さな一歩が、あなたの思考をより深く、より鋭くし、仕事の成果、そして人生そのものを、もっと豊かでクリエイティブなものに変えていくはずです。さあ、思考の冒険に出かけましょう!