【知らないと損】震度4でも家は壊れる?日本の震度階級の仕組みと、あなたの家の揺れを決める地震計の種類のすべて

oufmoui
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
スポンサーリンク

突然ですが、地震速報の「震度」を100%信じていませんか?

「緊急地震速報!〇〇地方で震度4の地震です!」

テレビやスマホから流れるこの速報に、あなたはどんな反応をしますか? 「震度4か、まあ大丈夫だろう」 「棚のものが落ちないか、ちょっと心配だな」

多くの人が、発表された震度の数字だけを見て、漠然とした安心感や不安感を抱いているのではないでしょうか。

でも、もし「同じ震度4でも、お隣の町内ではブロック塀が崩れ、自分の家はほとんど揺れなかった」なんてことが起きたらどうでしょう?

「え、なんで?同じ震度なのに不公平じゃない?」 「うちの地域だけ地盤が弱いってこと?それとも、テレビの速報が間違ってるの?」

こんな風に、モヤモヤした経験はありませんか?実はそれ、決して気のせいではないんです。

この記事では、そんなあなたの地震情報に対する「なんとなく」を解消します。多くの人が誤解している日本の震度階級の本当の仕組みと、その観測精度を大きく左右する地震計の種類や設置場所の秘密について、プロの視点から徹底的に、そしてどこよりも分かりやすく解説していきます。

この記事を読み終える頃には、あなたはただ地震速報の数字に一喜一憂するのではなく、その裏側にある意味を「深読み」し、より現実に即した防災行動をとれるようになっているはずです。地震大国ニッポンで暮らす私たちにとって、これはまさに「知らないと損」な知識。さあ、一緒に地震情報の真実に迫っていきましょう!

【結論】あなたの家の揺れは「発表される震度」通りとは限らない!

時間がない方のために、まず結論からお伝えします。

テレビやネットで発表される「震度」は、あなたの家が「震度〇〇で揺れた」ということを保証するものではありません。なぜなら、日本の震度は、全国約4,400地点に設置された「計測震度計」という機械が観測したデータに基づいていますが、その観測精度は「地震計の種類」と、地震計が置かれている「地盤」の状態に大きく左右されるからです。

つまり、発表された震度はあくまで「観測点」の揺れの強さであり、少し離れた場所、特に地盤が弱い場所では、発表された震度よりもはるかに強く揺れる可能性があるのです。

これから、この結論に至るまでの詳しい仕組みを、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。目からウロコの情報が満載ですので、ぜひ最後までお付き合いください。

「震度」と「マグニチュード」は別物!意外と知らない日本の震度階級の基本

地震のニュースで必ず耳にする「震度」と「マグニチュード」。この二つの言葉、正確に違いを説明できますか?「どっちも数字が大きいとヤバいんでしょ?」と思っているなら、要注意!防災の第一歩は、この違いを正しく理解することから始まります。

結論、震度は「各地点の揺れの強さ」、マグニチュードは「地震そのものの規模」

この二つの違いを理解するのに、よく「電球」や「太鼓」が例えとして使われます。

  • マグニチュード (M) = 電球の明るさそのもの / 太鼓を叩く力
  • 地震が放出したエネルギーの大きさ(規模)を示す、世界共通の指標です。
  • マグニチュードが1増えると、エネルギーは約32倍になります。 つまり、M7の地震はM6の地震32個分のエネルギーを持っている、ということです。とんでもない差ですよね。
  • 震度 = 電球から離れた場所で感じる明るさ / 太鼓の音が聞こえる大きさ
  • ある場所が、地震によってどれだけ強く揺れたかを示す指標です。
  • 日本独自の指標で、0〜7の10段階(5と6は弱・強に分かれる)で表されます。

つまり、どんなにマグニチュードが大きい巨大地震(とても明るい電球)でも、震源から遠く離れていれば震度は小さく(暗く)なります。 逆に、マグニチュードはそれほど大きくなくても、家の真下で発生した地震(すぐ目の前にある電球)であれば、震度は非常に大きくなるのです。

昔は体感だった!?震度階級の驚きの歴史

今でこそ、地震発生後すぐに「震度〇〇」と速報されますが、昔はまったく違いました。なんと、気象台の職員さんの「体感」や、周りの建物の被害状況などを見て、震度を決めていたのです。

日本の震度階級が初めて作られたのは1884年(明治17年)。 当時は「微震」「弱震」「強震」「烈震」の4段階でした。 その後、何度か改訂が重ねられ、1948年の福井地震をきっかけに、最大の「震度7」が設けられました。

しかし、この方法ではどうしても人の主観が入ってしまい、発表までに時間もかかります。実際に、1995年の阪神・淡路大震災では、現地調査を経て震度7が発表されたのは地震発生から半月以上も後のことでした。 この教訓から、1996年4月以降、現在の「計測震度計」による自動観測に完全に移行したのです。 同時に、震度5と6がそれぞれ「弱」と「強」に分けられ、現在の10階級になりました。

年代 階級数 特徴
1884年 4階級 「微震」「弱震」「強震」「烈震」の4段階。
1949年 8階級 福井地震を機に「震度7(激震)」が新設される。
1996年 10階級 阪神・淡路大震災を機に体感観測を全廃。 計測震度計による観測に完全移行し、5と6が「弱」と「強」に細分化。

この歴史を知るだけでも、今の震度情報がいかに迅速で客観的なものに進化したかが分かりますね。

【保存版】気象庁震度階級10段階 完全解説表(体感・被害の目安付き)

現在の気象庁震度階級は0から7までの10段階です。 それぞれの震度で、どのような揺れや被害が想定されるのかをまとめた「気象庁震度階級関連解説表」を基に、分かりやすく表にしました。 ぜひ、この機会に自分の身の回りで何が起こるのかを具体的にイメージしてみてください。

震度 人の体感・行動 屋内の状況 屋外の状況 建物・ライフライン
0 人は揺れを感じない。
1 屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。
2 屋内で静かにしている人の多くが、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。 電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。
3 屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。歩いている人の中にも、揺れを感じる人がいる。 棚にある食器類が音を立てることがある。 電線が少し揺れる。
4 ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 つり下げ物は大きく揺れ、食器類は音を立てる。置物が倒れることがある。 電線が大きく揺れる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。 耐震性の低い木造住宅は、壁などにひび割れ・亀裂が生じることがある。
5弱 多くの人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。 つり下げ物は激しく揺れる。棚にある食器類や本が落ちることがある。固定していない家具が移動することがある。 窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。 耐震性の低い木造住宅は、壁や柱が損傷することがある。水道管の破裂や停電が起こることがある。
5強 物につかまらないと歩くことが難しい。 棚にある食器類や本の多くが落ちる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。 補強されていないブロック塀が崩れることがある。道路に大きな被害が生じることがある。 耐震性の低い木造住宅は、傾いたり、倒れたりするものがある。ガス管の供給停止が起こることがある。
6弱 立っていることが困難になる。 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。 窓ガラスが割れて落ちる。多くの建物で壁のタイルや外壁が剥落する。 耐震性の低い木造住宅は、倒れるものが多くなる。耐震性の高い住宅でも、壁や柱が損傷するものがある。
6強 はわないと動くことができない。飛ばされることもある。 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりする。 多くの建物で壁のタイルや外壁が剥落し、倒壊する建物も出てくる。 耐震性の低い木造住宅は、ほとんどが倒れる。耐震性の高い住宅でも、大きく傾いたり、倒れたりするものがある。大規模な地滑りや山崩れが発生する。
7 耐震性の高い住宅でも、傾いたり、大きく破壊されたりするものがある。 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。 ほとんどの建物で壁のタイルや外壁が剥落し、倒壊する建物が多くなる。 ほとんどの建物が大きく破壊される。電力、ガス、水道などのライフラインは広範囲で停止する。

*(出典: 気象庁「気象庁震度階級関連解説表」を基に作成)*

この表を見ると、震度5弱から被害が具体的に発生し始めることが分かります。「震度4までは大丈夫」と油断せず、震度3や4でも、身の安全を確保する習慣をつけておくことが大切ですね。

SNSの声「震度3だったけど、船みたいに揺れて気持ち悪かった…」→ それ、「長周期地震動」かも?

最近、地震のニュースで「長周期地震動(ちょうしゅうきじしんどう)」という言葉を耳にする機会が増えました。 これは、文字通り周期の長い(=ゆっくりとした)大きな揺れのことです。

> X(旧Twitter)の声(創作):

> 「さっきの地震、震度は3だったのに、うちのマンション15階だからか船みたいにユ〜ラユ〜ラ揺れて、めちゃくちゃ酔った…。震度だけじゃ分からない揺れってあるんだな…。

長周期地震動 #高層マンション」

まさに、この投稿のような現象を引き起こすのが長周期地震動です。特に、高層ビルの高層階では、この長周期地震動と建物の固有の揺れが「共振」して、地上の何倍も大きく、そして長く揺れ続けることがあります。

東日本大震災の時、震源から遠く離れた東京や大阪の超高層ビルが、何分にもわたって大きくしなるように揺れた映像を覚えている方も多いでしょう。あれが典型的な長周期地震動の影響です。

震度は、どちらかというと戸建て住宅のような比較的低い建物に大きな被害を与える「ガタガタ」という短周期の揺れを主な指標としています。 そのため、震度が小さくても、高層階では長周期地震動によって家具が大きく移動したり、転倒したりする危険があるのです。

この問題を解決するため、気象庁は2013年から、震度とは別に「長周期地震動階級」という新しい指標を導入しました。 これは、高層ビル内での揺れの大きさを4つの階級で示したものです。 高層マンションにお住まいの方や、高層階のオフィスで働く方は、ぜひこの「長周期地震動階級」にも注目してみてください。

プロが語る!あなたの街の震度はこうして決まる【計測震度の仕組み】

1996年以降、日本の震度は「計測震度計」という機械によって、完全に自動で算出されています。 ここでは、その心臓部である「計測震度」がどのように計算されているのか、少しだけ専門的な世界を覗いてみましょう。

震度は「人」ではなく「機械」が決めていた!計測震度計の正体

計測震度計は、簡単に言うと非常に高性能な地震計です。 この機械が、地面の揺れを「加速度」として、東西・南北・上下の3方向で精密に記録します。 そして、その記録された複雑な揺れの波形(加速度波形)から、特別な計算式を使って「計測震度」という数値を弾き出すのです。

この「計測震度」は、0.0から7.0以上まで、小数点第一位まで算出されます。例えば、計測震度が「5.8」だったり「6.2」だったりするわけです。そして、この数値を私たちが普段目にする10段階の「震度階級」に当てはめて発表しています。

震度階級 計測震度の範囲
0 0.5未満
1 0.5以上 1.5未満
2 1.5以上 2.5未満
3 2.5以上 3.5未満
4 3.5以上 4.5未満
5弱 4.5以上 5.0未満
5強 5.0以上 5.5未満
6弱 5.5以上 6.0未満
6強 6.0以上 6.5未満
7 6.5以上

*(出典: 気象庁の情報を基に作成)*

この表を見ると、例えば震度5弱は計測震度4.5〜4.9、震度5強は5.0〜5.4と、わずか0.5の範囲で区切られていることがわかります。 つまり、計測震度が4.9か5.0かというほんのわずかな差で、発表される震度階級は「5弱」と「5強」という大きな違いになるのです。非常にシビアな世界だということがお分かりいただけるでしょう。

計算式はちょっとマニアック?計測震度の算出方法をざっくり解説

「計測震度の計算方法なんて、専門的で難しそう…」と感じるかもしれません。確かに計算式は複雑ですが、その「考え方」は意外とシンプルです。ざっくりと3つのステップで解説します。

  1. . ステップ1:3方向の揺れを合成する
  2. まず、計測震度計が記録した「東西」「南北」「上下」の3方向の揺れの波形データを、コンピュータ上で1つの波形データに合成します。

    1. . ステップ2:人間の体感に近い揺れを抽出するフィルターをかける
    2. ここが最大のポイントです。地震の揺れには、非常に速い周期の揺れから、ゆっくりした周期の揺れまで、様々な周波数の波が混ざっています。しかし、人間が「揺れが強い」と感じたり、建物に被害が出やすかったりするのは、特定の周期(特に1秒前後の周期)の揺れです。 そこで、記録された波形に特殊なフィルターをかけて、被害に結びつきやすい周期の揺れを強調し、それ以外のあまり影響のない周期の揺れを目立たなくする処理を行います。 これにより、単なる揺れの加速度の大きさだけでなく、「揺れの質」を考慮した評価ができるのです。

      1. . ステップ3:フィルター後の波形で、一定以上の揺れが続いた部分を評価する
      2. 最後に、フィルター処理された波形の中から、ある一定以上の強さ(加速度)が0.3秒以上続いた部分を探し出し、その値を使って最終的な計測震度を計算します。 瞬間の大きな揺れだけでなく、ある程度継続した揺れを評価することで、より体感や被害実感に近い数値になるように工夫されているのです。

        多くの人がやりがちな勘違い「震度5弱と5強って、ちょっとの差でしょ?」

        「5弱も5強も、どうせ同じ震度5だから大差ないでしょ?」 これは、非常によくある、そして最も危険な勘違いの一つです。

        先ほどの解説表を見てもわかる通り、震度5弱と5強では、被害の様相がガラッと変わります。

        • 震度5弱:「棚にある食器類や本が落ちることがある
        • 震度5強:「棚にある食器類や本の多くが落ちる

        この「ことがある」と「多くが落ちる」の間には、天と地ほどの差があります。5弱では「運が悪ければ落ちるかも」というレベルですが、5強では「ほぼ間違いなく落ちる」レベルに跳ね上がるのです。

        > プロの視点:地震エネルギーで考えると、その差は歴然!

        > 地震の揺れのエネルギーは、加速度の大きさに比例すると考えられています。そして、計測震度と加速度の関係を大まかに見ると、計測震度の数値が0.5上がる(例:4.5→5.0)と、揺れのエネルギーは約2.8倍にもなると言われています。つまり、震度5弱の上限(計測震度4.9)と震度5強の下限(計測震度5.0)では、階級が一段階違うだけで、地面が揺れるエネルギーは全くの別物なのです。数字の上ではわずかな差に見えても、その背景にある物理的なエネルギーには大きな隔たりがあることを、ぜひ覚えておいてください。

        震度5強以上になると、家具の転倒による怪我や、避難経路が塞がれるといったリスクが急激に高まります。日頃から家具の固定や、寝室に背の高い家具を置かないなどの対策を徹底することが、いかに重要かが分かりますね。

        観測精度を左右する「地震計の種類」と、その意外な性能差

        私たちが目にする「震度」は、すべて「地震計」という機械によって観測されています。しかし、一口に地震計と言っても、その目的や性能によって様々な種類があることはあまり知られていません。 ここでは、日本の精密な地震観測を支える、縁の下の力持ちである地震計の世界を探ってみましょう。

        主役は2種類!「強震計(加速度計)」と「高感度地震計(速度計)」の役割分担

        気象庁などが用いる主な地震計は、大きく分けて2種類あります。それは、強い揺れを専門に捉える「強震計」と、人間には感じられないような微弱な揺れを捉える「高感度地震計」です。

        種類 主な役割 特徴
        強震計(加速度計) 震度の計算、強い揺れの記録 大きな揺れでも振り切れない(データが飽和しない)ように設計されている。 地震による力の大きさ(加速度)を直接記録する。
        高感度地震計(速度計) 震源の決定、微小地震の観測 地面が動く速さ(速度)を記録する。 非常に感度が高く、かすかな揺れも捉えられるが、大きな揺れでは振り切れてしまうことがある。

        私たちがニュース速報で目にする「震度」は、この「強震計」のデータから計算されています。 強震計は、地震の揺れによる「加速度(G)」を記録するもので、計測震度計もこの一種です。 車が急発進したり急ブレーキをかけたりした時に、体がシートに押し付けられる、あの「力」を測定しているとイメージすると分かりやすいかもしれません。

        一方、「高感度地震計」は、震源の位置や地震の規模(マグニチュード)を特定するために使われます。人間には全く感じられないような、ごくごく小さな揺れを捉えるのが得意です。

        なぜ2種類も必要なの?プロが語る地震観測の裏側

        「どうして役割の違う地震計を使い分ける必要があるの?」と思いますよね。そこには、地震観測の精度を極限まで高めるための、プロならではの理由があります。

        > プロの視点:役割分担で実現する「迅速」かつ「正確」な地震情報

        > 地震観測担当者のつぶやき(創作): > 「地震が発生した直後、私たちの仕事は時間との戦いです。まず、全国に張り巡らされた高感度地震計が、人間には感じられない最初の微動(P波)をキャッチします。このわずかなデータから、瞬時に『どこで、どれくらいの規模の地震が起きたか』を推定するのが第一段階。これが、緊急地震速速報の基礎になります。 > > その後、本震の強い揺れ(S波)がやってくると、今度は強震計の出番。高感度地震計では振り切れてしまうような激しい揺れを、強震計がしっかりと記録し、そのデータから各地の正確な『震度』を計算します。 > > つまり、初動の速報性を担う高感度地震計と、被害に直結する揺れの強さを正確に捉える強震計、この二つの連携プレーがあって初めて、迅速で信頼性の高い地震情報が皆さんのお手元に届くわけです。どちらか一方だけでは、今の日本の地震観測は成り立たないんですよ。」

        この連携プレーのおかげで、私たちは地震発生からわずか数分で、震源や各地の震度といった詳細な情報を知ることができるのです。

        意外な発見!スマホも簡易的な地震計になるってホント?

        実は、私たちの最も身近なデバイスであるスマートフォンにも、地震計と同じ原理のセンサーが搭載されています。それが「加速度センサー」です。

        本来は、スマホの画面を縦向きから横向きに自動で回転させたり、歩数をカウントしたりするために使われているこのセンサーですが、地面の揺れを検知することも可能です。

        もちろん、専門的な強震計と比べれば精度は劣りますが、このスマホの加速度センサーを利用したユニークな取り組みも進んでいます。例えば、多くのユーザーのスマホから揺れのデータを集めて解析し、より詳細な震度分布マップを作成したり、地震計が設置されていないエリアの揺れを推定したりする研究です。

        あなたのスマホが、未来の防災ネットワークの一端を担うことになるかもしれません。そう考えると、なんだかワクワクしますね。

        「うちの地域だけ揺れが強い…」その謎を解明!震度が変わる3つの理由

        「同じ市内なのに、なぜか川向こうの地区だけいつも震度が大きい…」 「震源は遠いはずなのに、今回はやけに揺れが長くて大きかった」

        このような「震度の謎」を感じたことはありませんか?その原因は、地震計の性能差だけではありません。そこには、日本の緻密な観測網と、私たちの足元に広がる「地盤」という、もう一つの重要な要素が深く関わっています。

        理由①:圧倒的な観測点ネットワークの存在(気象庁、K-NET、KiK-net)

        現在、気象庁が震度情報として発表しているデータは、気象庁が設置した約690点の震度計だけでなく、地方公共団体や、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)が運用する観測網のデータも集約されています。

        特に、防災科研が全国に展開している「K-NET(ケーネット)」「KiK-net(キックネット)」は、日本の地震観測において非常に重要な役割を担っています。

        • K-NET (Kyoshin Network / 全国強震観測網):
        • 全国を約20km間隔で網羅するように設置された、約1,000カ所の強震観測点。 阪神・淡路大震災を教訓に、地震被害に直結する地表の強い揺れを捉えるために整備されました。
        • KiK-net (Kiban Kyoshin Network / 基盤強震観測網):
        • 全国約700カ所に設置。 K-NETと違う最大の特徴は、地表だけでなく、硬い地盤のある井戸の底にも地震計が設置されている点です。 地表と地中の両方で揺れを観測することで、地盤による揺れの増幅具合などを詳しく調べることができます。

        これらの観測網を合わせると、日本全国には合計で4,400カ所以上もの震度観測点が存在します。 これだけ高密度に観測点があるからこそ、同じ市区町村内でも場所によって震度が異なる、という現象が当たり前に起こるのです。

        理由②:【最重要】あなたの足元の「地盤」が揺れを増幅させる

        観測点が多いことに加え、震度が場所によって変わる最大の理由、それが「表層地盤の揺れやすさ」です。

        > 多くの人がやりがちな失敗談(創作):

        > Aさん:「うちはハザードマップで見ても活断層から遠いし、震度もいつも小さいから、地震対策は後回しでいいかな。家具の固定も面倒だし…」 > > (数年後、少し離れた場所で大きな地震が発生) > > Aさん:「えっ!?震源は遠いのに、なんでうちの地域だけ震度5強なの!?お隣の市は震度4なのに!うわっ、固定してなかった食器棚が倒れてきた!!」

        このAさんの失敗の原因は、まさに「地盤」にありました。Aさんの家は、昔、川だった場所を埋め立てた「沖積平野」の上に建っていました。このような柔らかく水分を多く含んだ地盤は、地震の揺れを増幅させる性質(表層地盤増幅)があるのです。

        地震の波は、地下深くの硬い岩盤(地震基盤)から地表に向かって伝わってきます。その過程で、プリンのように柔らかい地盤を通ると、波のエネルギーが増幅され、揺れが格段に大きくなるのです。

        一般的に、揺れやすい地盤と揺れにくい地盤は以下のようになります。

        揺れやすい地盤(増幅率が大きい) 揺れにくい地盤(増幅率が小さい)
        沖積平野(河川の堆積物でできた土地) 台地(比較的固く締まった地層)
        三角州(河口付近の堆積地) 丘陵
        埋立地(海や沼を埋め立てた土地) 山地(硬い岩盤が地表に近い)
        旧河道(昔、川が流れていた跡地)

        自分の住んでいる場所がどのような地盤なのかを知っておくことは、極めて重要です。防災科研の「J-SHIS Map」などのウェブサイトでは、全国の「表層地盤増幅率」を地図上で確認することができます。 数値が大きいほど揺れやすいことを示します。 一度、ご自宅の住所で調べてみることを強くお勧めします。同じ震度速報でも、自分の家がどれくらい揺れる可能性があるのか、目安を知ることができます。

        理由③:プロの悩み…地震計設置場所の知られざる苦労

        正確な震度を観測するためには、地震計をどこに設置するかが非常に重要になります。気象庁では「震度計設置環境基準」という厳格なルールを定めています。

        > 地震計設置のNG例

        > * 崖や急な斜面の近く > * 軟弱な埋立地や盛り土の上 > * 大きな木や電柱、鉄塔のすぐそば > * 交通量の多い道路や線路の近く(振動ノイズを拾ってしまうため) > * 免震・制震構造の建物の中

        基本的には、その地域を代表するような、固く安定した地盤の上に設置することが求められます。

        > プロの視点:ノイズとの静かなる戦い

        > 観測担当者のぼやき(創作): > 「新しい観測点を設置する場所を探すのは、本当に骨が折れる仕事なんです。理想的な地盤を見つけても、近くに工場があったり、夜中に大型トラックが通る道があったりすると、地震じゃない揺れ(ノイズ)を拾ってしまって、正確なデータが取れないんです。 > > 以前、ある観測点で原因不明の定期的なノイズに悩まされたことがありました。色々調べた結果、なんと犯人は地震計の近くにある木の根っこに巣を作ったモグラだった…なんて笑えない話もあるんですよ。カラスがついばむ振動を拾ってしまうこともあります。 > > 皆さんが目にするクリーンな震度データの裏側には、こうした地道なノイズとの戦いがあることを、少しだけ知ってもらえると嬉しいですね。」

        このように、様々な制約をクリアした場所に、細心の注意を払って地震計は設置されています。だからこそ、観測点のデータは非常に信頼性が高いのですが、一方で、それはあくまで「観測点のピンポイントな揺れ」である、という限界も理解しておく必要があります。

        これであなたも地震情報通!発表される震度情報の正しい見方

        ここまで学んできた知識を総動員して、実際に発表される地震情報をどう読み解き、どう行動に繋げればよいのか、具体的なポイントを見ていきましょう。

        「震度速報」と「震源・震度に関する情報」の違いを理解する

        地震発生後、気象庁からは段階的に情報が発表されます。まず最初に発表されるのが「震度速補」です。

        • 震度速報:
        • 地震発生から約1分半後を目標に発表される、第一報。
        • 震度3以上を観測した地域名(例:〇〇県南部、△△地方など)が発表されます。
        • この段階では、まだ詳細な市町村名は発表されません。とにかく「どこで、ある程度の揺れがあったか」をいち早く知らせることが目的です。

        その後、より詳しい情報として「震源・震度に関する情報」が発表されます。

        • 震源・震度に関する情報:
        • 震源の位置(震央地名)、地震の規模(マグニチュード)、深さが発表されます。
        • 震度1以上を観測したすべての市町村名と、その観測点ごとの震度が発表されます。
        • ここで初めて、自分の住む市町村の具体的な震度を知ることができます。

        速報の段階で自分の地域名が出なくても、後から発表される詳細情報で震度1や2が観測されていた、ということはよくあります。慌てず、情報の更新を待ちましょう。

        推計震度分布図(揺れマップ)で被害の広がりをイメージしよう

        テレビのニュースや気象庁のウェブサイトで、日本地図が震度ごとに色分けされた「揺れマップ」を見たことがあると思います。これは「推計震度分布図」と呼ばれるものです。

        このマップは、実際に観測された震度データに加え、観測点がない場所の揺れを地盤のデータなどから「推計」して作成されています。これにより、地震の揺れの広がりや、特に揺れが強かったエリアを視覚的に把握することができます。

        自分の住んでいる場所だけでなく、沿岸部や山間部など、地形的に被害が大きくなりそうな場所がどのくらいの震度になっているかを確認することで、津波や土砂災害などの二次災害への警戒にも繋がります。

        「緊急地震速報」の震度は予測値!慌てず、まず身を守る行動を

        テレビやスマホから、あの独特な警報音とともに流れる「緊急地震速報」。 これは、震源近くの地震計が最初の小さな揺れ(P波)を捉え、そのデータからこれから来る大きな揺れ(S波)の震度や到達時刻を「予測」し、可能な限り早く知らせるシステムです。

        > 緊急地震速報の仕組み

        > 1. 震源近くの地震計が、速いけど揺れの小さい「P波」をキャッチ! > 2. 瞬時に震源、規模、各地の揺れの強さ(震度)をコンピュータが予測! > 3. 強い揺れが予測される地域に、主要動(S波)が到達する数秒〜数十秒前に警報を発表!

        ここで最も重要なのは、緊急地震速報で伝えられる震度は、あくまで「予測値」であるということです。 最新の技術(PLUM法など)によって精度は年々向上していますが、震源からの距離が近い場合や、複数の地震が同時に発生した場合などには、実際の揺れと誤差が生じることもあります。

        緊急地震速報が発表されたら、「震度はいくつか?」と確認する前に、「まず身を守る」ことを最優先してください。

        • 屋内にいたら:机の下に隠れる、丈夫な家具のそばに移動する、頭を保護する。
        • 屋外にいたら:ブロック塀や看板などから離れる、建物から離れる。
        • 運転中なら:ハザードを点灯させ、ゆっくりと道路の左側に停車する。

        警報から揺れが来るまでの時間は、ほんの数秒しかありません。その短い時間で、少しでも安全な場所に移動することが、命を守ることに繋がるのです。

        まとめ:地震情報を「自分ごと」として捉え、最適な防災を

        今回は、「日本の震度階級の仕組みと観測精度を左右する地震計の種類」というテーマを深掘りしてきました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

        • ポイント1:震度は「揺れの強さ」、マグニチュードは「地震の規模」

        この二つの違いを正しく理解することが、防災の第一歩です。震度は日本独自の10段階の指標であり、1996年からは計測震度計による自動観測となっています。

        • ポイント2:発表される震度は「観測点」の揺れであり、場所によって変わる

        日本の震度は、全国約4,400カ所以上の非常に高密度な観測網によって測定されています。 そのため、同じ市区町村内でも観測点が違えば震度は変わります。

        • ポイント3:最強の変動要因は「地盤」

        あなたの家の揺れの大きさを決める最大の要因は、足元の「表層地盤」です。 柔らかい地盤は揺れを増幅させるため、発表された震度よりも強く揺れる可能性があります。 防災科研の「J-SHIS Map」などで、自宅周辺の揺れやすさを一度確認してみましょう。

        地震速報で発表される震度は、防災行動を始めるための非常に重要な「きっかけ」です。しかし、その数字を鵜呑みにするのではなく、「自分の家は地盤が少し弱いから、発表された震度よりもワンランク上の備えをしておこう」というように、自分の状況に合わせて情報をカスタマイズ(=自分ごと化)することが、これからの時代の防災リテラシーと言えるでしょう。

        この記事が、あなたの地震に対する理解を深め、より実用的で効果的な防災アクションへと繋がる一助となれば、これほど嬉しいことはありません。さあ、まずは身の回りの家具の固定から、始めてみませんか?

        スポンサーリンク
        ABOUT US
        雑談力向上委員会
        雑談力向上委員会
        編集部
記事URLをコピーしました