知らないと100万円損する!?相続と遺贈の決定的違いをプロが徹底解説!
「相続」と「遺贈」、何が違うの?——そのギモン、この記事がスッキリ解決します!
「親が亡くなったら、財産は子どもが“相続”するものだよね?」 「遺言書に『友人に“遺贈”する』って書いてあったけど、相続と何が違うの?」 「ぶっちゃけ、どっちがお得なの?」
大切な家族が遺してくれた財産。その受け取り方には、大きく分けて「相続」と「遺贈」の2つの方法があります。この2つ、似ているようでいて、実は財産をもらえる人、手続き、そして何より「税金」が全く違います。
この違いを知らないままでいると、本来払わなくてよかったはずの税金を何十万、何百万円も払うことになったり、家族や親族との間で思わぬトラブルに発展してしまったり…なんてことも少なくありません。
でも、ご安心ください。
この記事では、そんな複雑で分かりにくい「相続と遺贈の違い」を、まるで親しい友人に話すように、どこよりも分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読めば、あなたは次のことを手に入れられます。
- 「相続」と「遺贈」の言葉の意味が、腹の底から理解できる!
- 税金で損しないための、賢い財産の渡し方・もらい方がわかる!
- 面倒な手続きをスムーズに進めるための具体的なステップがわかる!
- 「うちの場合はどっちがいいの?」という疑問に、自信を持って答えられるようになる!
法律の専門家ではない、ごく普通の方々が本当に知りたい情報を、具体的なエピソードやプロの視点を交えながら、余すところなくお伝えします。さあ、一緒に「知らなかった」から「知っててよかった!」へと変わる旅に出かけましょう!
【結論】一目でわかる!相続と遺贈の最大の違いはコレだ!
細かい話は抜きにして、まずは一番大事な結論からお伝えします。「相続」と「遺贈」の最も大きな違いは、「誰が」「何を根拠に」財産を受け取るか、という点にあります。
この違いが、手続きや税金など、あらゆる面に影響してくるのです。まずは、この比較表で全体像をガシッと掴んでしまいましょう!
比較項目 | 相続 | 遺贈 |
---|---|---|
根拠 | 法律(民法) | 遺言書 |
財産をもらえる人 | 法律で決まった相続人(法定相続人) のみ | 誰でもOK(友人、お世話になった人、法人など) |
意思表示 | 故人の意思は不要(法律で自動的に決まる) | 故人の強い意思(遺言書)が必要不可欠 |
不動産の税金① (不動産取得税) |
かからない(非課税) | かかる場合がある(特に相続人以外がもらう場合) |
不動産の税金② (登録免許税) |
税率 0.4% | 税率 2.0%(相続人以外がもらう場合) |
いかがでしょうか?
「え、不動産をもらうとき、税金がこんなに違うの!?」と驚かれた方もいるかもしれません。そうなんです。この違いを知っているか知らないかで、手元に残る金額が大きく変わってしまうこともあるのです。
それでは、ここからはそれぞれの項目について、具体的なエピソードも交えながら、じっくりと深掘りしていきましょう。
まずは基本の「き」!「相続」と「遺贈」って、そもそもどういう意味?
「相続」と「遺贈」、どちらも「亡くなった人の財産を受け継ぐ」という点では同じです。しかし、そのプロセスが全く異なります。身近な例で考えてみましょう。
「相続」とは?——法律が定めた、財産引き継ぎの”王道”ルート
「相続」とは、亡くなった人(被相続人)の財産を、民法という法律で定められた人(法定相続人)が引き継ぐことを指します。 簡単に言えば、「遺言書がなくても、法律に基づいて自動的に財産を引き継ぐ権利がある人がもらう」のが相続です。
【創作エピソード:山田家の場合】
山田さん(父)が亡くなりました。山田さんには妻と長男、長女がいます。山田さんは特に遺言書を遺していませんでした。この場合、法律(民法)に基づいて、妻、長男、長女の3人が「法定相続人」として、山田さんの預貯金や不動産といった財産を相続することになります。具体的に誰が何をどれだけもらうかは、3人での話し合い(遺産分割協議)で決めていきます。
このように、遺言書がなくても、家族が財産を引き継げるように国がルールを決めてくれているのが「相続」という制度なのです。
「遺贈」とは?——故人の想いを届ける、オーダーメイドの贈り物
一方、「遺贈(いぞう)」とは、亡くなった人が遺言書によって、特定の人や団体に無償で財産を譲り渡すことを指します。 こちらは法律ではなく、故人の「遺言書」がすべての根拠となります。
【創作エピソード:鈴木さんの場合】
一人暮らしだった鈴木さんは、長年、身の回りのお世話をしてくれた隣人の田中さんに深く感謝していました。鈴木さんには遠方に甥と姪がいますが、日頃の感謝を形にしたいと考え、「私が亡くなったら、この自宅マンションは田中さんに遺贈する」という内容の遺言書を作成しました。鈴木さんが亡くなった後、この遺言書に基づいて、田中さんはマンションを譲り受けることになります。
このように、「遺贈」を使えば、法定相続人ではない人、例えば友人、内縁の妻、お世話になった介護士さん、あるいはNPO法人や母校といった団体にも、自由に財産を渡すことができるのです。 まさに、故人の想いを実現するためのオーダーメイドの贈り物と言えるでしょう。
ちなみに、「遺贈」には大きく分けて2つの種類があります。
- 特定遺贈:「A銀行の預金1000万円を長男に」「世田谷の土地を友人のBさんに」というように、特定の財産を指定して渡す方法です。
- 包括遺贈:「全財産の3分の1を長女に」「財産の半分をNPO法人Cに」というように、財産の割合を指定して渡す方法です。
特に注意が必要なのは包括遺贈です。これは預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も指定した割合で引き継ぐことになります。 もし「財産の半分を遺贈する」と書かれた遺言書があり、後から多額の借金が見つかった場合、その半分の返済義務も負うことになるので注意が必要です。
【超重要】財産をもらえる人が全然違う!「相続人」と「受遺者」の決定的違い
「相続」と「遺贈」の最も本質的な違いは、「誰が財産を受け取れるのか」という点にあります。
「相続」でもらえるのは「法定相続人」だけ!
相続によって財産を受け取れるのは、法律で定められた「法定相続人」に限られます。 誰が法定相続人になるかは、民法で厳格なルールと順位が決められています。
順位 | 法定相続人 | 備考 |
---|---|---|
常に相続人 | 配偶者(夫または妻) | 法律上の婚姻関係にあることが必要。内縁関係は含まれない。 |
第1順位 | 子(またはその代襲相続人である孫など) | 実子、養子、認知した子など。子が先に亡くなっている場合は孫が相続(代襲相続)。 |
第2順位 | 直系尊属(父母、祖父母など) | 第1順位の相続人がいない場合に相続人となる。 |
第3順位 | 兄弟姉妹(またはその代襲相続人である甥・姪) | 第1順位も第2順位の相続人もいない場合に相続人となる。 |
【プロの視点:知られざる相続人トラブル】
「うちは子供もいないし、両親も亡くなってるから、財産は全部妻にいくはず」と思い込んでいる方は意外と多いです。しかし、このケースでは第3順位である「兄弟姉妹」も法定相続人になります。もし、長年疎遠だった兄弟姉妹がいる場合、遺産分割協議のために連絡を取る必要が出てきます。中には、被相続人の戸籍を遡って調査したら、誰も知らなかった異母兄弟が判明し、話し合いが難航する…なんてケースも実際にあります。遺言書がないと、こうした思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。
「遺贈」なら誰にでも渡せる!——想いを自由にカタチに
一方、遺贈のすごいところは、財産を渡す相手(受遺者)を自由に選べることです。
- 長年連れ添った内縁の妻や夫
- お世話になった友人や隣人
- 可愛い孫(相続人である子が健在の場合)
- 息子のお嫁さん
- 応援したいNPO法人や公益団体
- お世話になった病院や母校
法定相続人であるかどうかは一切関係ありません。故人が「この人に財産を渡したい」と願えば、遺言書に記すことでその想いを実現できるのです。
【SNSの声(創作)】
> 「うちの父、ずっと可愛がってくれた息子の嫁(私の妻)に『いつもありがとう』って、遺言で少しだけど財産を遺贈してくれた。妻、号泣。金額じゃないんだよね。その気持ちが本当に嬉しかった。遺言書って、最後のラブレターなんだなと実感。」
このように、遺贈は法律の枠を超えて、個人の感謝や愛情を伝えるためのパワフルなツールになり得るのです。
手続きはどっちが楽?面倒?「相続」と「遺贈」の流れを徹底比較
財産を受け取るまでの手続きの流れも、相続と遺贈では大きく異なります。どちらがスムーズに進むかは、ケースバイケースです。
「相続」の手続きの流れ——山場は「遺産分割協議」
遺言書がない場合の相続手続きは、一般的に以下のような流れで進みます。
- . 死亡届の提出(7日以内)
- . 遺言書の有無の確認
- . 相続人の調査・確定(戸籍謄本などを集めて誰が相続人かを確定させる)
- . 相続財産の調査・確定(預貯金、不動産、借金など全財産をリストアップ)
- . 遺産分割協議(相続人全員で、誰が何をどれだけ相続するかを話し合う)
- . 遺産分割協議書の作成
- . 各種名義変更・払い戻し手続き(不動産、預貯金、株式など)
- . 相続税の申告・納付(相続開始を知った日から10ヶ月以内)
- . 死亡の連絡
- . 遺言書の発見・検認(自筆証書遺言などの場合、家庭裁判所の「検認」が必要)
- . 遺言執行者の就任(遺言書で指定されているか、家庭裁判所で選任される)
- . 受遺者への連絡
- . 遺言内容の執行(遺言執行者が中心となり、名義変更や財産の引き渡しを行う)
- . 相続税の申告・納付(受遺者が行う)
- . 配偶者や親子以外の人が財産をもらうのは、偶然性が高いと考えられるから。
- . 本来なら「親→子」「子→孫」と2回かかるはずの相続税を、一代飛ばして「祖父母→孫」に渡すことで1回にできてしまう(課税逃れ)のを防ぐため。
- 長男が相続した場合の納税額は1000万円
- 弟や孫が遺贈で受け取った場合の納税額は1200万円(1000万円 × 1.2)
- 相続で不動産を取得した場合:不動産取得税はかかりません(非課税)。
- 遺贈で不動産を取得した場合:原則として不動産取得税がかかります。
- 相続人が特定遺贈で不動産を取得した場合 → 非課税
- 相続人かどうかに関わらず、包括遺贈で不動産を取得した場合 → 非課税
- 相続を原因とする名義変更:税率は固定資産税評価額の0.4%
- 遺贈を原因とする名義変更:税率は固定資産税評価額の2.0%
- 相続人が少なく、関係も非常に良好で、話し合いで円満に分けられる自信がある人
- 財産の分け方について特に希望がなく、法律の定めに従うのが一番公平だと考えている人
- 内縁の妻や長男の嫁など、法定相続人ではないけれど財産を渡したい人がいる人
- 特定の事業や家業を継ぐ子どもに、多くの財産を集中させたい人
- 子どもたちの間で相続争いが起こらないように、親として道筋をつけておきたい人
- 社会貢献のために、財産の一部をNPO法人などに寄付したい人
- 遺留分が認められる人:配偶者、子(または孫)、親(または祖父母)
- 遺留分が認められない人:兄弟姉妹、甥、姪
- 遺留分の割合:
- 相続人が親(直系尊属)のみの場合 → 法定相続分の3分の1
- それ以外の場合 → 法定相続分の2分の1
- 「相続」は法律に基づく財産の引き継ぎで、財産をもらえるのは法定相続人のみ。遺産分割協議で揉める可能性がありますが、不動産取得時の税金は優遇されています。
- 「遺贈」は遺言書に基づく財産のプレゼントで、誰にでも自由に財産を渡せます。故人の想いをダイレクトに実現できますが、相続人以外が不動産をもらうと税金が高くなる点や、「遺留分」への配慮が必要です。
- 財産の渡し方・もらい方を決める際は、誰に渡したいのか、手続きの手間、そして税金の負担という3つの視点を総合的に考えることが重要です。
この中で最も時間と労力がかかり、トラブルになりやすいのが⑤の「遺産分割協議」です。相続人全員の合意が得られないと、財産の名義変更などが一切進まなくなってしまいます。
【多くの人がやりがちな失敗談】
「兄貴は長男だから多くもらうのが当然だ」「私は親の介護を一人でやったんだから、その分を考慮してほしい」「実家は私が継ぐから、他の預金は弟に」…など、相続人の間で感情的な対立が生まれ、何年にもわたって協議がまとまらないケースは後を絶ちません。一度こじれると、家族関係に深い溝ができてしまうことも少なくありません。
「遺贈」の手続きの流れ——「遺言執行者」がキーパーソン
遺贈の手続きは、遺言書の内容を実現することがゴールです。
遺贈の手続きで重要な役割を果たすのが「遺言執行者」です。 遺言執行者とは、その名の通り、遺言書の内容をスムーズに実現するために必要な手続きを行う権限を与えられた人のことです。 遺言執行者がいれば、相続人の協力が得られなくても、単独で預貯金の解約や不動産の名義変更手続きなどを進めることができます。
遺産分割協議がないため、相続人同士の争いは起こりにくいですが、遺言書の内容に不満を持つ相続人がいると、手続きへの協力を拒んだり、後述する「遺留分」を主張したりして、トラブルになる可能性はあります。
手続きの流れ 比較表
手続きのステップ | 相続(遺言なし) | 遺贈(遺言あり) |
---|---|---|
遺言書 | 不要 | 必須 |
話し合い | 遺産分割協議(相続人全員の合意が必要) | 原則不要(遺言の内容に従う) |
中心人物 | 相続人全員(または代表者) | 遺言執行者 |
トラブルの火種 | 遺産の分け方をめぐる相続人間の対立 | 遺言内容への不満、遺留分侵害 |
税金で大損!?知らないと怖い「相続」と「遺贈」の税金の違い【保存版】
さて、ここが最も重要で、皆さんが一番知りたい部分かもしれません。「相続」と「遺贈」では、かかる税金に大きな違いがあり、特に不動産を受け取る場合にその差が顕著になります。
1. 相続税:基本的な考え方は同じ、でも「2割加算」に注意!
まず、財産を受け取った時にかかる「相続税」ですが、基本的な計算方法は相続でも遺贈でも同じです。 ただし、遺贈の場合に注意したいのが「相続税の2割加算」というルールです。
これは、亡くなった人の配偶者と一親等の血族(子や親)以外の人が財産を受け取った場合、その人が納めるべき相続税額が2割増しになるという制度です。
【なぜ2割加算があるの?】
理由は2つあると言われています。
【2割加算の対象になる人・ならない人】
2割加算の対象になる主な例 | 2割加算の対象にならない主な例 |
---|---|
兄弟姉妹、甥、姪 | 配偶者 |
孫(代襲相続人でない場合) | 子(養子も含む) |
息子の嫁、内縁の妻など親族でない人 | 親 |
友人、お世話になった人 | 孫(子が先に亡くなって代襲相続人になった場合) |
例えば、同じ1000万円の相続税がかかる財産を受け取ったとしても、
となり、200万円もの差が生まれるのです。財産を渡す相手によっては、この2割加算を考慮しておく必要があります。
2. 不動産取得税:相続は「非課税」、遺贈は「課税」が原則!
ここが最も大きな違いの一つです。不動産取得税とは、不動産(土地や家)を買ったり、贈与されたりした時に、一度だけかかる都道府県の税金です。
ただし、遺贈には例外があります。
つまり、「法定相続人ではない人(友人、内縁の妻、孫など)が、特定の不動産を遺贈された場合」に不動産取得税が課税される、と覚えておきましょう。
税額は「固定資産税評価額 × 税率(原則4%)」ですが、土地や住宅には軽減措置があり、実質的には3%になることが多いです。仮に評価額3,000万円の不動産だとすると、約90万円もの税金が突然かかってくる計算になり、これは非常に大きな負担です。
3. 登録免許税:税率が5倍も違う!
登録免許税とは、不動産の名義変更(所有権移転登記)をする際に、法務局に納める税金です。この税率も、相続と遺贈で大きく異なります。
なんと5倍もの差があります。 ただし、こちらも例外があり、法定相続人が遺贈によって不動産を取得した場合の税率は、相続と同じ0.4%になります。
【具体例で比較!3,000万円の不動産をもらった場合】
評価額3,000万円の不動産を、法定相続人ではない友人が受け取ったケースで税金を比較してみましょう。
税金の種類 | 相続(そもそも友人は相続できない) | 遺贈 | 差額 |
---|---|---|---|
不動産取得税 | – | 約90万円(評価額×3%で計算) | 約90万円 |
登録免許税 | – | 60万円(評価額×2.0%) | 60万円 |
合計 | – | 約150万円 | 約150万円 |
もし、故人が友人に感謝を伝えたくて不動産を遺贈したとしても、受け取った友人には相続税とは別に、いきなり150万円もの税負担がのしかかってくる可能性があるのです。良かれと思ってしたことが、かえって相手を困らせてしまう結果になりかねません。
税金の違い まとめ表
税金の種類 | 相続 | 遺贈(相続人以外が受遺者の場合) |
---|---|---|
相続税 | 通常通り | 2割加算の対象になる |
不動産取得税 | 非課税 | 課税される(特定遺贈の場合) |
登録免許税 | 税率 0.4% | 税率 2.0%(5倍!) |
メリット・デメリットを丸裸に!あなたに合うのはどっち?ケース別診断
ここまで解説してきた内容を踏まえて、相続と遺贈のメリット・デメリットを整理し、どのようなケースでどちらの方法が適しているのかを見ていきましょう。
「相続(遺言なし)」のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・遺言書を作成する手間がかからない | ・財産を渡す相手や割合を自分で決められない |
・相続人が不動産を取得する場合、税金が安い | ・法定相続人以外には財産を一切渡せない |
・遺産分割協議で揉める可能性が高い | |
・相続人調査などで手間がかかることがある |
👉こんな人におすすめ
「遺贈(遺言あり)」のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・法定相続人以外にも財産を渡せる | ・法的に有効な遺言書を作成する手間と費用がかかる |
・自分の意思で財産の分け方を自由に決められる | ・相続人以外が不動産を取得すると税金が高くなる |
・遺産分割協議が不要なため、相続人間の争いを防げる | ・内容によっては「遺留分」を侵害し、トラブルになる可能性がある |
👉こんな人におすすめ
遺贈を選ぶなら要注意!知っておきたい「遺留分」と「遺言執行者」のこと
「よし、遺言書を書いて、全財産をお世話になったAさんに遺贈しよう!」 そう考えたあなた、少し待ってください。遺贈には、知っておかなければならない重要なルールが2つあります。それが「遺留分」と「遺言執行者」です。
1. 遺留分——相続人の”最低保証”の取り分
たとえ遺言書に「全財産を愛人に遺贈する」と書かれていても、残された家族(配偶者や子)の生活が困窮してしまっては大変です。そこで法律は、兄弟姉妹を除く法定相続人に、最低限の財産の取り分を保障しています。これを「遺留分(いりゅうぶん)」といいます。
遺言書によってこの遺留分が侵害された場合、遺留分を侵害された相続人は、財産を多く受け取った人に対して「私の最低保証分を返してください!」と金銭で請求することができます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。
【遺留分は誰に、どれくらい認められる?】
【プロの視点:円満な遺贈のための遺留分対策】
遺言書を作成する際は、この遺留分に配慮することが、後のトラブルを防ぐ最大のポイントです。「長男に全財産を」といった極端な内容は避け、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で財産の分け方を考えるのがプロのやり方です。もし遺留分を侵害する内容にする場合は、なぜそうするのかという「付言事項」を遺言書に書き添えたり、生前にしっかりと家族に説明して理解を得ておいたりすることが、あなたの想いを円満に実現させる秘訣です。
2. 遺言執行者——あなたの”想い”を実現する代理人
前述の通り、遺言執行者は、遺言書の内容をスムーズに実現するために非常に重要な役割を担います。 遺言書で遺言執行者を指定しておけば、その人が中心となって、金融機関での手続きや不動産の名義変更などを進めてくれます。
もし遺言執行者がいないと、手続きのたびに相続人全員の署名や実印が必要になるなど、非常に手間がかかります。特に、遺言の内容に不満を持つ相続人がいる場合、協力してくれずに手続きがストップしてしまう恐れがあります。
【誰を遺言執行者に指定すればいい?】
遺言執行者は、未成年者や破産者でなければ誰でもなることができます。信頼できる家族や友人、あるいは手続きに詳しい弁護士や司法書士、信託銀行などの専門家を指定することも可能です。 相続関係が複雑な場合や、相続人同士が不仲な場合は、中立的な立場の専門家を指定しておくと、よりスムーズに手続きが進むでしょう。
まとめ:あなたの想いを未来につなぐために
今回は、「相続と遺贈の違い」というテーマを、様々な角度から深掘りしてきました。最後に、この記事の最も重要なポイントを振り返ってみましょう。
「相続」も「遺贈」も、単なる手続きではありません。それは、亡くなった人が生涯をかけて築いてきた財産と、そこに込められた「想い」を、次の世代へとつなぐための大切なバトンです。
この記事を読んで、「うちはどうなんだろう?」と少しでも気になったなら、それが第一歩です。ぜひ、ご家族と財産について話し合うきっかけにしてみてください。そして、もし具体的な悩みや不安があれば、一人で抱え込まずに専門家に相談することも考えてみてください。
あなたの、そしてあなたの大切な家族の未来が、より豊かで幸せなものになることを心から願っています。