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【徹底解説】いなば食品の一般職新入社員9割が入社辞退したのはなぜ?ボロ家の社宅と一族経営の闇

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缶詰の「ライトツナ」や猫用おやつ「CIAOちゅ~る」で有名ないなば食品ですが、

一般職で採用された新入社員の9割が入社を辞退したことが世間を騒がせています。

いなば食品で一体何か起きたのでしょうか?

この記事では、今回の一連の騒動を分かりやすくまとめました。

また記事の後半では、同族企業・一族経営の問題点についても解説しています。

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問題の概要

いなば食品株式会社の新入社員問題に関して、一連の報道がなされています。

  • 一般職採用の新入社員9割が入社辞退
  • 一族経営によるパワハラ
  • 共同生活の強制
  • 事前説明と異なるボロすぎる社宅
  • 募集要項と異なる給与額の提示

同社の今春の一般職採用の新入社員19人のうち、少なくとも17人、実に9割が入社を辞退したということです。この異常事態の理由として、一族経営によるパワハラ、事前説明と異なるボロ社宅での共同生活の強制、募集要項と異なる給与額の提示などが挙げられています。

特に社宅の問題は深刻で、雨漏りがするなど劣悪な環境だったと入社辞退者は証言しています。また、給与額についても募集要項との違いが指摘されており、入社直前になって下げられたというのです。これらの問題について、同社の現役社員は「社長夫人で現在は取締役の稲葉優子会長が、社員の待遇を指示しているんです」と語っており、一族経営ならではの弊害が浮き彫りになっています。

労働問題に詳しい佐々木亮弁護士は「入社前に会社が示していた条件と相違があれば労働者との契約違反となります」と指摘しています。いなば食品の対応が注目される中、同社の内部事情にも関心が集まっているのです。

いなば食品の対応

  • 公式サイトにて謝罪文を掲載
  • 「由比のボロ家報道について」と題した説明文を公開
  • シェアハウスの状況や経緯について説明
  • 副社長兼総務部長の死去により改修作業が遅れたことを明かす
  • 入社辞退者に対する再度の謝罪
  • シェアハウスの現状説明と今後の改修予定について言及

問題が報道されると、いなば食品は素早く反応しました。まず、公式サイトにて謝罪文を掲載。「この度は皆様方にマスコミ報道等にてのご心配をおかけ致し、衷心よりお詫び申し上げます」と述べ、続けて「今後とも社員一同、社業に邁進してまいりますので何卒引き続きご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます」と呼びかけました。

次に、「由比のボロ家報道について」と題した説明文を公開。シェアハウスの状況や経緯について説明し、「由比のボロ家・雨漏り住宅と指摘されたシェアハウス1件に関してですが、同地由比のシェアハウス対象物件は計6棟でございます。既に3棟に5名の一般職(転勤のない事務職・工場勤務職)入居者がおり毎日勤務しております。今回の対象は唯一の新規の1棟でした」と現状を報告しました。

また、副社長兼総務部長の死去により改修作業が遅れたことを明かし、「このたび、責任者の死亡により作業指示が大変に遅れ、皆さまに非常にご不快をおかけしています。早急に誠意をもって、早期の改修を完了いたします」と約束。あわせて、入社辞退者に対する再度の謝罪も行いました。

しかし、これらの対応についてネット上では「内容が不十分」「真摯さが感じられない」など厳しい声が上がっています。法的な問題についての言及がなかったことも物議を醸しています。

入社辞退者の証言

  • 労働条件に関する説明不足や勤務地の問題
  • 雨漏りのあるボロい社宅環境
  • 入社辞退後、交通費やホテル代の支払いとツナ缶を渡された

入社を辞退した者たちの証言からは、いなば食品の労働環境の問題点が浮かび上がります。

Aさんはこう語ります。「こちらは3月28日、社宅に入居したときに撮影したものです。いなば食品に内定をもらったものの、昨年11月末にあった懇親会の時点で、労働条件を聞いても『わからない』という返答ばかりだったので違和感はありました。ただ、『給料に関しては改定する』とのことだったので、あまり気に留めていませんでした。しかし、何度もお願いしていたにもかかわらず、労働条件通知書を渡されないまま研修が始まったので、入社辞退を決断しました」

勤務地に関しても「11月の懇親会では、『勤務地はほぼ100%希望通り』と聞いていましたが、実際は第3希望にすら入っていなかった勤務地で工場のライン作業となりました。しかも基本的に転勤がないので永住という話でした」とのこと。

Bさんも「一般職採用されたときは事務だと聞いていましたが、入社後に一般職のほとんどが工場に配属されました。寮には洗濯機や炊飯器、電子レンジもなく、日常生活もままならない環境でした。また、”女性の制服採寸は男性社員がする”との話も聞きました」と明かしました。

そして、入社辞退後のエピソードも衝撃的です。「静岡までの交通費や前泊のホテル代を支払ってもらいました。会社を出ると、後ろから呼び止められて、『申し訳ございませんでした』と袋に入ったいなばのツナ缶を渡されました」(Bさん)。Bさんは「この会社のせいで、社会を信用できなくなった」と嘆きます。

入社を辞退した人たちの多くは、既卒として就職活動を再開せざるを得ない状況に追い込まれています。「時期も時期で苦戦しており、特に奨学金がある人などは心を病みそうになっています」とBさん。いなば食品の対応の悪さが、若者たちの人生を狂わせてしまったといっても過言ではありません。

同族企業としてのいなば食品

  • 社長夫人で取締役の稲葉優子会長が社員の待遇を指示
  • 社内で「逆らうと、どうなるかわからない」と恐れられる存在
  • 社長の稲葉敦央氏の独身寮経験が影響か
  • 謎ルールの存在や公私混同などの問題点

今回の問題の背景には、いなば食品が同族企業であることが大きく関係しているようです。

現役社員の証言によると、社長夫人で取締役の稲葉優子会長が社員の待遇を指示しているのだとか。「社内で『逆らうと、どうなるかわからない』と恐れられる存在」(現役社員)だといいます。

また、現社長の稲葉敦央氏は、いなば食品に入社する前に勤めていた東京海上の独身寮で8年間暮らし、寮長まで務めたとのこと。その経験から「家族の幸せはあまり大きな家には住まず、多めの家族が同じ場所で同じ時間に同じ『釜の飯』を食べる事が原点ではないかと思う」「その意味で会社には良い独身寮が必要だ」などと持論を展開していました。新入社員に共同生活を強いるのは、社長自身の価値観が色濃く反映された結果なのかもしれません。

さらに、同社では揚げ物を食べることが禁止されているという謎ルールの存在や、運転手の求人で「塾の送迎」まで求められるなど、公私混同とも取れる問題点も明らかになっています。

「やっぱり同族企業はヤバい」というのが、世間の偽らざる本音でしょう。ミツカンやビッグモーターといった企業の名前も挙がる中、同族経営の負の部分が色濃く出てしまったのが今回の騒動だといえます。

メディアの対応

  • 大スポンサーであるいなば食品への忖度か、テレビなどでは報じられない可能性
  • 同族企業に共通する精力的なメディアへの広告出稿

ただ、この問題に関するメディアの対応には疑問符がつきます。

いなば食品は各メディアの大スポンサーであり、通常はネガティブな報道をしづらい立場にあります。昨年、ビッグモーターの不正問題が発覚した際も、国交省がヒアリングを行う方針を示すまでは大手メディアは沈黙を守っていました。

「新入社員を古い一軒家に住まわせたり、社員に唐揚げ禁止を強いるのはともかくとして、入社直前になって給与額を下げるというのは、明らかに法に触れる問題行為だといえそうなのだが、やはり同様に大スポンサーであるゆえの忖度が働き、特にテレビなどでは恐らく報じられないのだろう……」(メディア関係者)

広告料収入を失いたくないがゆえに、問題の本質に踏み込めないメディアの姿勢は、読者や視聴者の不信を招くだけです。「スポンサーの顔色をうかがう」のではなく、真実を追究する本来の役割を果たしてほしいものです。

今後の展望

  • 真相究明と再発防止が求められる
  • 法に触れる可能性のある問題行為についての調査の必要性

いなば食品の新入社員問題は、同族企業の負の部分が極端に表れた事例だといえるでしょう。

まずは真相究明と再発防止が大前提です。入社辞退者の証言を丁寧に聞き取り、労働基準監督署などとも連携しながら、法令違反の有無を確認する必要があります。

加えて、社内の意思決定プロセスや企業風土についても改善が求められます。「トップの意向で全てが決まる」のではなく、現場の声に真摯に耳を傾ける組織づくりを目指すべきです。

また、メディア各社には、「スポンサーの意向」ではなく「社会正義の実現」を最優先に取材・報道してもらいたいものです。いなば食品の問題は対岸の火事ではありません。日本の雇用慣行のひずみを映し出す一事例として、注視し続ける必要があるでしょう。

若者たちが「まともに働ける」と感じられる社会を実現するには、私たち一人ひとりが問題意識を持つことが肝要です。いなば食品の事例を他山の石として、日本の雇用の在り方を見つめ直すきっかけになることを願ってやみません。

【会社概要】いなば食品株式会社

いなば食品株式会社は、静岡県静岡市葵区に本社を置く大手食品メーカーです。1948年に創業し、缶詰やペットフードを中心とした商品を製造・販売しています。従業員数は子会社などを含めると4,800人に上り、2021年の売上高は1,350億円を記録しました。

代表取締役社長は稲葉敦央氏が務めており、同社は非上場企業です。稲葉家による同族経営が行われ、創業家一族が経営に深く関与しているのが特徴です。

いなば食品は、国内市場でのシェアが高く、特にペットフード事業では「CIAOちゅ~る」が大ヒット商品となっています。また、海外展開にも力を入れており、米国や欧州に現地法人を設立するなど、グローバル化を推進しています。

主要事業

いなば食品の主要事業は、大きく分けて食品事業とペットフード事業の2つがあります。

食品事業では、缶詰、レトルト食品、冷凍食品などを製造・販売しています。主力商品である缶詰には、「いなば ライトツナ」や「いなば ホワイトタイ」、「いなば コーンビーフ」などがあり、これらは国内市場で高いシェアを誇っています。また、レトルト食品や冷凍食品においても、和風惣菜や介護食など幅広い商品を展開し、消費者のニーズに応えています。

ペットフード事業では、猫用ウェットフード「CIAO(チャオ)」シリーズや犬用ウェットフード「わんわん」シリーズを中心に、ペットの健康と栄養に配慮した高品質な商品を提供しています。特に、2012年に発売された猫用おやつ「CIAOちゅ~る」は、画期的な商品として大きな話題を呼び、同社の売上に大きく貢献しました。「CIAOちゅ~る」の成功を受けて、犬用おやつ「いなば 犬用ちゅ~る」も発売され、ペットオーナーから高い支持を得ています。

いなば食品は、これらの主力事業を通じて、人とペットの健康で豊かな生活に貢献することを目指しています。

特徴

いなば食品の大きな特徴は、同族企業であることです。創業家である稲葉家が経営に深く関与しており、現在の代表取締役社長である稲葉敦央氏をはじめ、一族が重要なポストを占めています。同族経営ならではの長期的視点に立った経営方針や、トップの強力なリーダーシップが同社の強みとなっています。

また、いなば食品は缶詰やペットフードを中心とした商品構成が特徴的です。創業以来、缶詰事業に注力してきた同社は、ツナ缶やコーンビーフ缶などの分野で国内トップクラスのシェアを誇っています。一方、ペットフード事業では、「CIAOちゅ~る」を筆頭に、猫用・犬用のウェットフードやおやつにおいて独自の地位を確立しています。

さらに、いなば食品は海外展開にも積極的に取り組んでいます。米国や欧州に現地法人を設立し、グローバル市場での販売網を強化しています。特に、ペットフード事業では、「CIAOちゅ~る」を中心に海外でも高い評価を受けており、今後の成長が期待されています。

いなば食品は、これらの特徴を生かしながら、同族企業ならではの強みと課題に向き合い、持続的な成長を目指しています。

近年の動向

いなば食品は、近年、着実な成長を遂げています。売上高は年々増加傾向にあり、2022年には初めて1,000億円の大台を突破しました。同社は、2024年までに売上高1,750億円を目指すなど、更なる成長に向けて積極的な目標を掲げています。

この成長を支えているのが、海外市場への展開です。いなば食品は「世界の猫を喜ばす」をスローガンに掲げ、ペットフード事業を中心に海外での販売を強化しています。特に、世界最大のペットフード市場である米国では、現地法人を通じて積極的なマーケティング活動を展開しています。

また、いなば食品は、大谷翔平選手が所属するロサンゼルス・ドジャースとのスポンサー契約を締結するなど、海外での知名度向上にも力を入れています。この契約により、同社の商品がドジャースのホームスタジアムで販売されるほか、大谷選手を起用した広告宣伝活動も行われる予定です。

国内市場においても、いなば食品は新商品の開発や販売チャネルの拡大に注力しています。高齢化社会の進展を背景に、介護食品市場への参入を強化しているほか、EC(電子商取引)での販売にも力を入れています。

いなば食品は、これらの取り組みを通じて、国内外でのプレゼンス向上と持続的な成長を目指しています。

同族企業、一族経営のメリット

1. 長期的視点に立った経営が可能

同族企業の大きな強みの一つは、長期的な視点に立った経営が可能だということです。上場企業の場合、株主からの短期的な利益圧力にさらされるため、四半期ごとの業績にとらわれがちです。しかし、同族企業では、オーナー一族の意向が強く反映されるため、将来を見据えた投資や戦略の実行がしやすくなります。

例えば、トヨタ自動車は、創業者の豊田家が今なお大きな影響力を持っています。トヨタは、「トヨタウェイ」と呼ばれる独自の経営哲学を持ち、長期的な視点に立った研究開発や人材育成に力を注いでいます。この姿勢が、トヨタの安定的な成長を支えているのです。

2. スピーディーな意思決定

同族企業のもう一つの強みは、意思決定のスピードです。一族経営の場合、意思決定に関わる人数が限られているため、迅速な判断が可能になります。市場の変化に素早く対応し、ビジネスチャンスを逃さずに済むのです。

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、社長の柳井正氏の強力なリーダーシップの下、スピーディーな経営判断を行うことで知られています。例えば、海外展開や新業態の開発など、大胆な意思決定を素早く実行に移すことで、競合他社との差別化を図っているのです。

3. 強いリーダーシップと一体感

同族企業では、トップの強力なリーダーシップが発揮されやすい傾向にあります。オーナー一族の目標や価値観が組織全体に浸透し、従業員の結束力やモチベーションを高める効果が期待できます。

例えば、パナソニックでは、創業者の松下幸之助氏の経営理念が今なお受け継がれています。「事業活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与する」という理念の下、従業員が一丸となって働く姿勢が、パナソニックの強みとなっているのです。

4. ブランドイメージの構築

同族企業の中には、家族の名前を冠したブランドを展開している企業も少なくありません。創業家一族への憧れや親近感が、ブランドイメージの構築に役立つことがあるのです。

例えば、「マツモトキヨシ」の名前で知られる、ドラッグストアチェーンのマツモトキヨシホールディングスは、創業者の松本清氏の名前をブランドに冠しています。松本家への信頼や親しみが、マツモトキヨシのブランドイメージを支える一因となっているのです。

5. 人材の長期的な育成

同族企業では、幹部候補の計画的な育成が行いやすい環境にあります。オーナー一族の次世代を担う人材を、長期的な視点に立って育成することができるのです。また、同族内での技術やノウハウの継承も、スムーズに行うことができます。

例えば、味の素グループでは、創業家一族の人材育成に力を注いでいます。同族内での技術やノウハウの継承を重視し、長期的な視点に立った人材投資を行うことで、安定的な経営基盤の構築を目指しているのです。

同族企業、一族経営のデメリット

1. ガバナンスの問題

同族企業の最大の弱点は、ガバナンスの問題だと言えるでしょう。オーナー一族への権力集中が起こりやすく、牽制機能が働きにくい環境になりがちです。また、意思決定プロセスが不透明になることで、リスクが高まる恐れもあります。

実際に、一部の同族企業では、オーナー一族の専横やコンプライアンス違反などが問題視されるケースがあります。ガバナンスの欠如が、企業の信頼を損ねる要因になりかねないのです。

2. 後継者問題

同族企業にとって、事業継承は大きな課題の一つです。後継者の能力不足や資質の欠如、親族内の相続争いなどが、企業の存続を脅かすリスクになります。

例えば、2000年代に一時期経営危機に陥ったダイエーは、創業者の中内功氏の後継者問題が原因の一つと言われています。後継者の経営手腕の未熟さが、ダイエーの業績悪化を招いたのです。

3. 非合理的な経営判断

同族企業では、オーナー一族の感情や主観に左右された経営判断が行われるリスクがあります。客観的なデータや意見が軽視され、時代に合わない経営手法へのこだわりが強くなる傾向にあるのです。

例えば、かつての松下電器産業(現・パナソニック)では、創業者の松下幸之助氏の意向が強く反映された経営が行われていました。しかし、時代の変化に対応できず、業績悪化を招いた時期もあったのです。

4. 人材の流出と硬直化

同族企業では、一族以外の優秀な人材が離反するリスクがあります。出世の機会が限られていると感じた社員が、他社に転職するケースが少なくないのです。また、同族経営への依存が強くなると、組織の新陳代謝が滞り、変化に対する柔軟性が失われる恐れもあります。

実際に、一部の同族企業では、古い体質や慣習が残っていることが指摘されています。優秀な人材の確保や組織の活性化が課題となっているのです。

5. イノベーションの阻害

同族企業では、既存の事業や価値観への固執が強くなる傾向があります。新しいアイデアや挑戦が抑制され、同族の常識に縛られた発想に陥りがちです。その結果、イノベーションが阻害され、競争力の低下を招く恐れがあるのです。

例えば、かつての日立製作所では、同族経営への依存が強く、新事業への進出や改革が進まない時期がありました。同族の意向に反する提案が受け入れられにくい風土が、イノベーションの妨げになっていたのです。

同族企業の課題と対策

1. ガバナンス体制の強化

同族企業がガバナンスの問題を克服するためには、チェック機能の充実が不可欠です。社外取締役の登用などにより、経営の透明性を高めることが求められます。また、コンプライアンス意識の徹底や内部統制の強化も重要です。

例えば、トヨタ自動車では、社外取締役を複数名選任し、経営の監督機能を強化しています。また、コンプライアンスの徹底を図るため、「トヨタ行動指針」を定め、全社的な取り組みを進めているのです。

2. 事業継承プランの策定

同族企業が後継者問題を乗り越えるためには、計画的な事業継承プランの策定が欠かせません。後継者の育成方針を明確にし、親族内の合意形成を図ることが重要です。また、第三者への事業譲渡など、様々な選択肢を視野に入れておくことも必要でしょう。

例えば、ヤマト運輸では、創業家出身の社長が60歳で退任し、プロ経営者にバトンタッチする「60歳定年制」を導入しています。計画的な事業継承により、経営の安定性を確保しているのです。

3. 経営の客観性と合理性の確保

同族企業が非合理的な経営判断に陥るのを防ぐには、外部の知見を積極的に取り入れることが有効です。経営コンサルタントや専門家の助言を求め、客観的なデータに基づく意思決定を心がけましょう。また、社内の多様な意見に耳を傾け、活発な議論を促すことも大切です。

例えば、資生堂では、経営の意思決定プロセスに外部の視点を取り入れるため、社外取締役を複数名選任しています。また、経営会議などの場で、社員の意見を積極的に聴取し、合理的な判断を心がけているのです。

4. 人材マネジメントの改革

同族企業が優秀な人材を確保し、組織の活性化を図るためには、人材マネジメントの改革が不可欠です。能力主義の徹底や公正な評価制度の導入により、一族以外の社員のモチベーションを高めることが求められます。また、風通しの良い企業文化を醸成し、社員の意欲を引き出すことも重要です。

例えば、帝人グループでは、「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進し、多様な人材の活躍を支援しています。公正な評価制度や教育機会の提供により、社員の能力開発を図っているのです。

5. イノベーションの促進

同族企業がイノベーションを促進するには、新しい発想や挑戦を奨励する組織風土の醸成が欠かせません。研究開発への投資を増やし、社内ベンチャーや外部との協業を推進することが求められます。また、失敗を恐れずにチャレンジできる環境を整えることも重要です。

例えば、スズキでは、「チャレンジ」を企業理念の一つに掲げ、社員の自由な発想を尊重しています。また、他社との共同開発にも積極的に取り組み、オープンイノベーションを推進しているのです。

同族企業の将来展望

同族企業は、今後、様々な変革に迫られることになるでしょう。グローバル化やデジタル化の進展により、競争環境が大きく変化しているからです。同族企業が生き残りをかけて変革を進めるには、オープンイノベーションやM&Aなどの手法を取り入れることが有効です。

また、同族企業には、一族の強みを生かした新たなビジネスモデルの創出も期待されます。長期的な視点や強いリーダーシップ、ブランド力などの同族企業ならではの特性を活用し、他社にはない価値を提供することが求められるのです。

まとめ

同族企業や一族経営には、長所と短所が混在しています。メリットを最大限に生かしつつ、デメリットを克服することが、同族企業の発展にとって欠かせません。ガバナンスの強化、事業継承の計画的な実行、人材マネジメントの改革など、様々な課題に真摯に向き合うことが求められるのです。

同族企業は、日本経済の重要な担い手の一つです。その存在意義を再認識し、時代に合った同族経営のあり方を模索していくことが、同族企業の未来を切り拓くカギとなるでしょう。

私たち一人ひとりが、同族企業の可能性と課題について理解を深め、その発展を支えていくことが大切なのです。皆さんも、身近な同族企業の動向に注目してみてはいかがでしょうか。

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