上田幹雄、2025年夏のRIZINヘビー級トーナメント準決勝へ!空手世界王者の最新動向と進化の軌跡

はじめに
日本の格闘技界において、その一挙手一投足が注目されるファイター、上田幹雄選手。彼はかつて極真空手の世界王者として名を馳せ、その後総合格闘技(MMA)の舞台であるRIZINへと転身しました。その挑戦は常に大きな話題を呼び、2025年もまた、彼の動向から目が離せません。特に、現在進行中の「RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント」において、上田選手は日本人として唯一、準決勝に駒を進めており、その存在感は増すばかりです。今回は、直近の彼の活躍を中心に、その格闘家としての深遠なる進化と、今後の展望について詳しく解説してまいります。
RIZINヘビー級トーナメント2回戦!運命のソルダトキン戦が迫る
上田幹雄選手は、2025年7月27日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催される「超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り」にて、「RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント 2回戦」に出場します。 このトーナメントの準決勝で、彼はアレクサンダー・ソルダトキン選手(ドイツ/ロシア)と対戦することになっており、多くの格闘技ファンがこの注目の一戦に熱い視線を送っています。
この試合は、RIZINの公式SNSでも注目選手として紹介され、7月25日にはRIZIN公式インスタグラムで上田選手の撮影風景が公開されました。 ペンを手にサインをする彼の姿からは、身体の厚みと眼差しの鋭さが際立ち、重量級ならではの迫力を持ちながらも、無駄な力みのない落ち着いた様子が伺えます。 これは、彼がこれまでの経験と自信を培ってきた証とも言えるでしょう。
対戦相手であるアレクサンダー・ソルダトキン選手は、32歳のロシア人ファイターで、スピットファイヤージム・ベルリンに所属しています。 彼はクロアチアのFNCから推薦されており、RIZINのヘビー級トーナメントに参戦してきました。 ソルダトキン選手は、上田選手について「若いのでそれほど試合の回数をこなしていない」と分析しつつも、空手家としての経歴に触れ、「チャンピオンであることは知っていた」と語っています。 さらに、「足、頭、胴体、あらゆるところを狙う自分のスタイルと空手は似ている。非常に見所のあるいい試合になると思う」と、打撃戦に対する自信をのぞかせています。
一方、上田選手は今回の準決勝に向けて、「覚悟は決まってて、あとはやるだけ。絶対に優勝しなければならないという気持ちでこの2か月は過ごせたので、選手としてすごく成長できた」と強い決意を表明しています。 彼は「死んでもベイダーまで辿り着きたい」と語り、決勝への切符を手に入れるために、全力を尽くすことを誓っています。 7月26日に行われた計量では、上田選手が111.50kg、ソルダトキン選手が112.95kgと、両者ともにクリアしました。 上田選手は身長187cm、リーチ188cm、対するソルダトキン選手も身長188cm、リーチ191cmと、ほぼ互角の巨体同士の激突となります。 この威圧感あふれるフェイスオフは、両者の緊張感が空気を震わせるほどでした。
この大一番は、ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN 100 CLUB、スカパー! など、複数のプラットフォームでPPV配信されますので、ぜひリアルタイムで彼の雄姿を目撃していただきたいですね。
RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント1回戦での圧巻のKO劇
上田選手は、今回の準決勝に進出するまでに、2025年5月4日(日)に東京ドームで開催された「RIZIN男祭り」にて行われた「RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメント一回戦」で、シビサイ頌真選手と対戦しました。 この試合で上田選手は、空手仕込みの下段蹴り、いわゆるインローでシビサイ頌真選手を1ラウンドでKOするという、圧巻のパフォーマンスを披露し、準決勝進出を決めました。 この勝利は、彼のMMAファイターとしての成長と、極真空手で培った打撃技術が総合格闘技の舞台でも通用することを証明するものでした。
このRIZIN男祭りには、株式会社SANKYOが協賛しており、上田選手が入場時に着用するガウンとTシャツ、そして試合中に着用するトランクスにはSANKYOの企業ロゴが掲出されることが発表されています。 SANKYOは、上田選手の輝かしい実績とこれまでの活躍に注目し、彼への協賛を決定したとのことです。
上田選手は、このトーナメントにかける思いを強く語っており、1回戦での勝利後も、ヘビー級全体を盛り上げていきたいという意気込みを語っています。 また、5月のRIZIN男祭りから開幕したヘビー級GPは、重量級ならではの迫力が伝わらない判定決着が続き、ファンの間でも否定的な声が少なくなかった中で、上田選手は「決勝が終わった時にやっぱりヘビー級はすげえなと思ってもらえればいい」と静かに闘志を燃やしています。 これは、彼がヘビー級戦線の“救世主”となる可能性を示唆しているとも言えるでしょう。 彼は「もう一度、ヘビー級を信用してください」と異例の意気込みを語り、その言葉に、現状への不満と、自身がヘビー級の魅力を再び引き出すという強い責任感が込められています。
極真空手世界王者からMMAへの転身:上田幹雄の挑戦の歴史
上田幹雄選手は1995年5月1日生まれ、東京都大田区出身のプロ総合格闘家、キックボクサー、空手家です。 彼は5歳から極真空手を始め、約20年間もの厳しい修練を積んできました。 極真空手では数々の輝かしい実績を残しており、2012年には極真会館全日本高校選抜大会無差別級で優勝。 2013年には第30回全日本ウェイト制空手道選手権大会軽重量級で優勝し、その実力を国内外に示しました。 そして、2018年には第50回全日本空手道選手権大会で優勝、さらに2019年11月には、武蔵野の森総合スポーツプラザで開催された第12回全世界空手道選手権大会で、日本人として16年ぶりに世界王者の座に輝きました。 この功績は、彼の空手家としての圧倒的な強さと技術を物語っています。
しかし、上田選手の挑戦はここで終わりませんでした。彼はさらなる強さを求めて、2021年8月31日をもって国際空手道連盟極真会館(松井派)を退会し、新たな挑戦として総合格闘技の世界に足を踏み入れることを発表しました。 この転身は、格闘技界に大きな衝撃を与えました。
彼のMMA転向の背景には、強い信念がありました。上田選手は総合格闘技を選んだ理由について、「今どこで戦えば、空手の地位と存在を本当に上げられるかをずっと考え続けたが、K-1・ONE・GLORYなどではなく、やっぱり総合格闘技しかなかった。つまり『RIZIN』だと」と語っています。 彼はさらに、「今の時代に28歳の極真・大山倍達総裁がいらしたら、絶対にRIZINに殴り込んでるんだろうなと思うから」と、極真空手の創始者である大山倍達氏の精神を現代に投影し、総合格闘技に挑む意義を強調しました。 「(世界のどこでも、誰に聞いても『総合格闘技が全ての格闘技の中で一番強い』と言われるので、)ルール上で何でもありの総合格闘技をやることに意味がある」とも述べており、自身の挑戦が空手界全体の地位向上につながることを願っています。
MMA転向後、上田選手はレスリング日本代表でもあった総合格闘家・宮田和幸氏が主催するBRAVEに所属することを2021年10月25日に発表しました。 宮田氏は、上田選手が過去に相撲と柔道を経験していたことから、「上田選手は過去に相撲と柔道をやっていたので、すでに下地を持っている。総合格闘技をやるべくしてやるのだと思う」と、彼の潜在能力に大きな期待を寄せています。
また、極真時代の彼の挑戦として特筆すべきは、2021年4月25日に行われた「百人組手」への挑戦です。 これは極真最大の荒行として知られ、上田選手はその強さを希求する飽くなき姿勢、美しい組手、華麗なステップワークと心技体を兼ね備え「極真で一番強い男」と評されました。 残念ながら、60人目でドクターストップにより完遂はできませんでしたが、この挑戦は彼の精神力の強さと、格闘家としての飽くなき探求心を示すものとなりました。
MMAキャリアの浮き沈みと現在の成長
上田幹雄選手のRIZINでのキャリアは、決して平坦なものではありませんでした。2022年4月17日、RIZIN.35でRIZINデビュー戦および総合格闘技デビュー戦に臨みましたが、この試合が引退試合となる元PANCRASEスーパーヘビー級王者の高阪剛選手と対戦し、1ラウンドKO負けを喫するという苦い経験をしました。
しかし、彼はこの挫折から立ち直り、着実にMMAファイターとしての経験を積んでいきました。2022年12月4日には、GRACHAN 58でソン・ムジェ選手と対戦し、1ラウンドに左ハイキックでダウンを奪った後、パウンドによるKO勝ちを収め、総合格闘技での初勝利を飾りました。
そして、2023年6月24日にはRIZIN.43で関根“シュレック”秀樹選手と対戦し、1ラウンド序盤に膝蹴りとパンチを当てた後、左ハイキックによるTKO勝ちを収め、待望のRIZIN初勝利を挙げました。 さらに、大晦日にはスダリオ剛選手を2ラウンドにグラウンドパンチで沈めるなど、連勝を飾りました。
2連勝の勢いで迎えた2024年6月には、KSWが推薦するポーランドの新鋭コバルチェク選手と対戦しましたが、1ラウンド早々に蹴り足を掴まれテイクダウンを許し、腕十字によるタップアウト負けを喫しました。 しかし、彼はこの敗戦を糧に、さらに自身のMMAスキルを磨き続けています。
上田選手は、MMAに転向してから7戦を戦い、MMAの技術はもちろん、MMA仕様の調整・練習方法やラウンド制の戦い方を学び、あらゆる面でMMAファイターとして変貌を遂げています。 彼はRIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級トーナメントに向け、今年に入ってからもトレーニング複合施設である「トータル・ワークアウト」で、下山英明トレーナー、小木曽翔洋トレーナーによるカウンセリングを受け、今後の目標とプロセスをしっかりと目線合わせし、さらなるカラダのキレと爆発的なパワーの出力を磨くべくトレーニングを実施しています。 トータル・ワークアウトは、彼のさらなる進化をパーソナル・トレーニングでサポートし続けているとのことです。
彼はまた、大会前のインタビューで、自身の練習について「試合1週間前までは動きますね。昨日(日曜日)がオフだったので、今週いっぱいがラストの追い込み期間です」と語り、空手時代とは異なるMMAに特化した調整法を確立していることを示唆しています。 空手では数日間のトーナメントを戦うために、徐々にコンディションを上げていくイメージで作り上げていたのに対し、MMAでは1日1試合に100パーセントを出し切るため、感覚が全く違うと説明しています。
期待される今後の活躍とヘビー級の未来
上田幹雄選手は、RIZINのヘビー級トーナメントにおいて、日本人として唯一の準決勝進出者という立場にあります。 これは彼にとって大きなプレッシャーであると同時に、日本のヘビー級を牽引する存在としての期待も高まっています。彼は「PRIDE神話」と比較される現在の格闘技界について、「あの時代が良くも悪くも神格化されてる。昔の素晴らしい選手たちを、僕たちがどこまで追い越せるかというのが競技選手としての1つの目標」と語り、自らがその歴史を塗り替える存在となることを目指しています。 この発言からは、彼が単なる勝利だけでなく、日本の格闘技界、特にヘビー級の地位向上に貢献しようとする強い意志が見て取れます。
彼は自身のSNS(YouTubeチャンネル「総合格闘家 上田幹雄 チャンネル」、X(旧Twitter)「@mikiomma」、Instagram「@mikiouedaueda」)も積極的に更新しており、ファンとの交流を深めています。 YouTubeでは、自身の練習風景や試合の振り返りだけでなく、極真空手に関する解説や、他の空手大会(例えばWFKOの世界フルコンタクト空手道選手権大会)の注目選手について語るなど、多角的な情報発信を行っています。 これにより、格闘家としての顔だけでなく、彼の人間性や、格闘技に対する深い知見をファンに届けています。
上田選手は、自身の試合を通じて「ヘビー級はすごい」と思ってもらえるようにしたいと語っており、停滞気味だったヘビー級戦線に、再び熱狂をもたらす役割を担おうとしています。 彼のフィニッシュ必至の戦い方は、トーナメントの命運を左右する重要な一戦となるでしょう。
まとめ
極真空手世界王者として輝かしいキャリアを築き、その後総合格闘技RIZINの舞台で新たな挑戦を続ける上田幹雄選手。彼は2025年7月27日に開催される「超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り」でのアレクサンダー・ソルダトキン選手とのヘビー級トーナメント準決勝を控え、その決意は固いです。 5月の1回戦では圧巻のKO勝利を飾り、彼のMMAファイターとしての進化と、極真仕込みの強烈な打撃が再び注目されています。
極真会館を退会し、MMAに転身するという彼の選択は、常に「空手の地位と存在を上げる」という強い信念に裏打ちされてきました。 若くして極真の世界を制した彼は、今、RIZINのヘビー級という新たな戦場で、自身の強さを証明し、日本の格闘技界に新たな歴史を刻もうとしています。 彼の闘志溢れる姿と、ヘビー級にかける情熱は、多くのファンに勇気と感動を与えることでしょう。今後の上田幹雄選手の活躍から、ますます目が離せませんね。