住宅ローン金利動向に関するニュース
日本の住宅ローン金利上昇と対応策
日本の住宅ローン金利は上昇傾向にあり、特に変動金利型住宅ローンを契約した人々の間で不安が広がっています。日銀は1月24日の金融政策決定会合で政策金利を0.25%程度から0.5%程度に引き上げ、2008年以来17年ぶりの高水準となりました。住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営するMFSの塩澤崇取締役CMO(住宅ローンアナリスト)は、年内にもう一度利上げが行われ、政策金利が0.75%に上昇する可能性を指摘しています。さらに、日銀審議委員の田村直樹氏は2025年度後半に少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げる必要性を示唆しており、金利上昇は今後も続く見込みです。住宅金融支援機構の調査(2024年4月~9月に住宅ローンを組んだ人が対象)によると、変動金利型住宅ローンの割合は77.4%に上っており、多くの借り入れ者が金利上昇の影響を受けることになります。
繰り上げ返済の是非と資産運用
金利上昇への対策として繰り上げ返済を検討する人がいますが、塩澤氏は「繰り上げ返済は一番やってはいけない」と述べています。現在の住宅ローン金利は依然として低く、住宅ローン減税の適用を受ける人であれば、金利上昇分を差し引いても実質的な金利負担は低い状態が続くと説明しています。資金に余裕がある場合は、繰り上げ返済よりも資産運用を検討すべきだと主張し、具体例として、残債500万円、金利0.5%、返済期間10年のローンを例に、金利上昇による負担増加額と、同額を年率2%で運用した場合のリターンを比較しています。資産運用を選択した場合、繰り上げ返済よりも明らかに大きなリターンが得られると結論づけています。
超長期住宅ローンと老後破綻リスク
近年、40年~50年といった超長期の返済期間が設定できる住宅ローンが増えています。金利上昇によって住宅ローンの返済額が増加する中、毎月返済額を抑えるために超長期ローンを選択する人が増えているようです。しかし、住宅ジャーナリストの山本久美子は、終身雇用制度の崩壊や収入の不安定化を背景に、超長期ローンは老後破綻リスクを高める可能性があると指摘しています。超長期ローンを利用する際は、教育費などの将来的な支出や定年後の収入などを考慮した上で、返済可能な範囲で借り入れを行う必要があると警告しています。
銀行による住宅ローン金利の引き上げ
大手銀行は2月に適用する住宅ローンの固定金利を引き上げました。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などでは、10年固定の優遇金利がそれぞれ上昇しています。また、日銀の追加利上げを受け、変動金利型住宅ローンについても今後金利が引き上げられる可能性があります。八十二銀行は、7月の金融政策決定会合での日銀の追加利上げを受け、変動型住宅ローンの金利を17年ぶりに引き上げています。これは、短期プライムレートの引き上げにともなう措置であり、他の銀行でも同様の動きが見られます。ソニー銀行は2024年8月以降、住宅ローンの基準金利を引き上げ、新規借り入れの適用金利も改定しました。すでに変動金利でお借り入れ中のお客さまについては、2024年11月1日を基準日として適用金利の見直しが行われ、返済額も変更されます。
米国における住宅ローン金利と住宅市場の動向
米国では、11月の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げにもかかわらず、ドナルド・トランプ次期大統領の当選を受けて国債利回りが高止まりし、30年物固定住宅ローン金利は上昇しました。11月の住宅ローン金利は上昇傾向にありましたが、住宅建設事業者の信頼感は安定しているとの報告もあります。10月の新築住宅販売は金利上昇の影響を受けて大幅に減少しましたが、中古住宅販売は増加に転じています。住宅着工件数と住宅着工許可件数は減少傾向にありますが、全米住宅建設業者協会(NAHB)の住宅マーケット指数は3カ月連続で改善しており、6カ月先の住宅販売見込みは上昇しています。6月の米住宅ローン金利は7%弱で推移しましたが、新築住宅販売、中古住宅販売、住宅着工件数は低調でした。住宅価格の高騰と金利の高止まりが住宅市場の低調の要因と指摘されています。バイデン政権は住宅コスト低減策を発表していますが、連邦最高裁判所の判決が住宅価格に影響を与える可能性も指摘されています。
住宅ローン金利改定に関する銀行からの情報提供
百五銀行は、変動金利型住宅ローンの基準金利見直しに伴い、電話相談窓口を開設しています。SBI新生銀行は、2023年8月1日から新規借入限定の住宅ローンキャンペーンを実施していました(融資実行期限は2024年6月28日)。滋賀銀行は、2016年3月1日から預金金利と住宅ローン金利を引き下げています。これらの情報は、各銀行の発表に基づいており、最新の金利情報は各銀行の公式ウェブサイトでご確認ください。