トランプ大統領の2期目開始と主要政策発表
トランプ大統領の就任と人事刷新
2025年1月20日、ドナルド・トランプ大統領が2期目の大統領として就任しました。就任初日より、新政権の方針と一致しない政府職員らを解任すると表明し、人事刷新に着手しました。CNNテレビは、沿岸警備隊のトップであるフェーガン長官が人材の多様性などを促す政策を過度に進めたことなどを理由に解任されたと報じています。トランプ大統領は、自身の掲げる「アメリカ第一主義」に基づく公約実現に向けて、バイデン前政権からの政策転換に加え、人事刷新にも着手することで、2期目の政権運営を本格化させています。 これは、連邦議会乱入事件で起訴された約1500人に恩赦を与えたこととも関連しており、これらの行動は、トランプ大統領が自身の政策を徹底的に推し進める意思を示すものとして捉えられています。 さらに、新政権は政府を完全に掌握するまで、官僚が新たな規制を出せないようにする措置や、軍などを除くすべての連邦職員の雇用を凍結する措置なども講じています。
パリ協定離脱とエネルギー政策
トランプ大統領は就任初日、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」から離脱する大統領令に署名しました。「アメリカの製造業を制約する不公平な協定だ」と主張し、バイデン前政権の政策を転換しました。 同時に、自然の景観を損ないアメリカの消費者に奉仕しない大規模な風力発電所に対するリースを終了すると発表し、化石燃料の増産を強調しました。就任演説では、「我々はこれから、どんどん(化石燃料を)掘るぞ」と述べており、石油を燃料とする車両への規制撤廃、アメリカの自動車産業の救済を約束しました。 この離脱表明に対しては、国連のグテーレス事務総長はアメリカの州政府や企業レベルでの温暖化対策が続くことに期待を示しましたが、日本の浅尾環境大臣は残念だとしつつも、日本の脱炭素の方向性は揺るがないと述べています。 日本の若者団体「SWiTCH」代表の佐座槙苗さんは、パリ協定離脱は国際関係に大きなインパクトを与えると指摘し、他の国々の連携強化の必要性を訴えました。東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授は、アメリカの離脱が世界の気候変動対策に影響を与える可能性を指摘しつつも、企業や金融機関による気候変動対策の取り組みは続いていると述べています。
その他の大統領令と政策発表
トランプ大統領は就任初日、多数の大統領令に署名しました。その中には、2021年1月の連邦議会襲撃事件で有罪とされた約1600人に恩赦を与えるもの、メキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変更するもの、世界保健機関(WHO)からの脱脱退を開始するものなどが含まれます。 また、政府による検閲廃止、表現の自由の回復、政敵の迫害の防止、ジェンダーを「男性と女性」の2つとすること、南側国境に非常事態を宣言し違法入国者送還、アラスカ州デナリ山の名称を「マッキンリー山」に戻すこと、パナマ運河を中国から「取り戻す」こと、そして「星条旗を火星に立てる」という公約なども発表しました。 さらに、中国製品への10~60%の関税導入を検討していること、ウクライナでの戦争終結に向けた努力を継続することなども表明しています。 ソフトバンクグループや米オープンAIなどが、米国でAIインフラ整備に5000億ドル(約78兆円)を投資する計画も発表されました。これはバイデン前政権によるAI規制撤回に続く政策転換となります。
国際社会の反応
トランプ大統領の政策発表に対して、国際社会からは様々な反応が寄せられています。カナダは、米国が不公平な関税を課した場合、「断固とした対応」をとると表明しました。一方、メキシコ大統領は、自国の主権と在米メキシコ人を守ると述べています。 日本政府は、日米同盟強化のため、緊密に連携していくことを確認し、早期の日米首脳会談開催に向けて調整を加速させています。韓国は、トランプ大統領が北朝鮮を「核保有国」と表現したことについて、北朝鮮の非核化はゴールであり続けなければならないとコメントしています。 WHOはトランプ大統領の脱退表明に「遺憾」の意を表明し、再考を求めています。
国内世論
ヤフーニュースの世論調査(統計に基づく世論調査ではない)によると、トランプ大統領の就任について、不安が大きいと回答した人が47.1%と過半数を占めています。期待が大きいと回答した人は33.3%でした。 この結果から、トランプ大統領の政策に対して、国民の間に賛否両論が存在することがわかります。