トランプ政権によるUSAID職員への行政休暇命令とそれに対する法的措置

連邦判事による行政休暇命令の差し止め

2025年2月7日、ワシントンD.C.の連邦地方裁判所判事カール・ニコルズ判事は、トランプ政権がUSAID（米国国際開発庁）の2,200人の職員を行政休暇にする計画を一時的に差し止めました。この命令は、アメリカ外交官協会とアメリカ政府職員組合が提起した訴訟に対する応答として出されました。訴訟では、政権の行動が憲法に違反し、職員に「回復不能な損害」を与える可能性があると主張されています。ニコルズ判事は、政府に短期的な停止による損害は「ゼロ」である一方、組合には損害があるとして、一時的な差し止め命令を2月14日深夜まで延長しました。すでに行政休暇となっていた500人の職員も復職し、海外に駐在するUSAID職員の米国への即時帰国命令も一時停止されました。判事は、2月12日にこの件に関する公聴会を開催する予定としています。訴訟では、職員の大量解雇、国外からの呼び戻し、職務と住居からの追放などが、権力の分立と議会の予算配分の違反であると主張されています。職員は医療へのアクセスを断たれ、住居や収入源を失う可能性があるとされています。政府側は、USAIDに不正が存在するというトランプ大統領の主張を裏付ける証拠を示すことができませんでした。

国務長官ルビオの発言とUSAID職員の帰国命令

国務長官マルコ・ルビオ氏は、グアテマラでの大使館職員との会合で、USAID職員の国外からの呼び戻しは「私たちの意図ではない」と述べました。しかし、政権は、USAID職員全員を30日以内に米国に帰国させるよう命じており、その期限は多くの職員にとって困難であるとされています。ルビオ氏は、USAIDの削減は「私たちが望んだやり方とは異なる方法で行われた」と認めつつも、妨害に対処するために余儀なくされたと述べています。ルビオ氏は、米国が海外援助から撤退するわけではないと強調し、米国目標と利益に合致するプログラムを維持するよう指示しました。しかし、一部のUSAID職員は、30日間の帰国期限は訴訟を避けるための策略である可能性があると指摘しています。

USAIDの職員削減計画と訴訟

トランプ政権は、USAIDの職員を大幅に削減する計画を発表しました。現行の8,000人の直接雇用職員と契約職員のうち、300人未満の職員を残す計画です。海外に駐在する約5,000人の現地の職員の状況はまだ不明です。この計画は、USAIDを事実上廃止し、残りのプログラムを国務省に移管するというものです。この計画は、連邦労働者団体からの反発を招き、連邦裁判所に提訴されています。訴状では、トランプ大統領には議会の立法によって確立された機関を閉鎖する権限がないと主張しています。訴訟では、USAID建物の再開、職員の復職、資金の復旧を求めています。

海外駐在USAID職員の不安と混乱

USAIDの職員削減計画により、海外に駐在する職員は大きな不安と混乱に陥っています。多くの職員は、上司からの情報が不足しており、帰国方法、所持品の移動方法、帰国後の住居など、多くの疑問を抱えています。また、USAIDプログラムの停止が、疾病、飢餓、紛争と闘う国々にどのような影響を与えるかについても懸念されています。職員らは、突然の帰国命令により、家族を連れて引っ越さなければならず、配偶者は仕事を辞め、子供は学校を離れなければならないと述べています。さらに、安全を確保するための緊急警報やパニックボタンにもアクセスできなくなっている職員もいます。

USAIDの削減に対する批判と支持

トランプ大統領とイーロン・マスク氏は、USAIDを無駄遣いの象徴として非難し、その廃止を主張しています。一方、民主党議員やその他の人々は、議会の承認なしにUSAIDを廃止することは違法であると主張しています。国務長官ルビオ氏は、USAIDの削減を擁護し、個人の生活を混乱させるつもりはないと述べましたが、職員からの協力を取り付けるにはこれしかないと述べています。しかし、USAID職員は、政権の対応に不満を表明しています。一部のNGO関係者やUSAID支持者からは、USAIDの運営と効率性を改善するための改革が必要であるという意見も出ています。しかし、機関を閉鎖することは解決策ではないとしています。

USAID削減の影響と今後の展開

USAIDの削減は、東南アジアを含む世界中のNGOや非営利団体に大きな影響を与えています。多くの団体は、米国からの資金提供が途絶えることで、活動を継続できなくなる可能性があります。特に、医療、経済開発、人道支援に依存している国々では、深刻な影響が懸念されています。裁判所の判決や今後の政権の対応次第では、USAIDの職員削減計画、そして世界規模での支援活動に大きな変化が生じる可能性があります。

雑談力向上委員会

編集部