【2025年最新】オーストラリア地震速報:内陸プレートの活動と高まるリスクに備える
はじめに
オーストラリアは「地震が少ない国」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。日本のようにプレートの境界に位置していないため、地震の発生頻度や津波のリスクは圧倒的に少ないのが事実です。しかし、「まったく地震がない」わけではありません。実は、オーストラリア大陸はインド・オーストラリアプレートの真ん中に位置しており、大陸内部にひずみがたまることで、ときおり内陸型の直下地震が発生しているのです。特に近年は、その活動が注目されており、最新の動向を把握し、適切な備えをすることが重要になってきています。本記事では、2025年におけるオーストラリアの地震に関する最新ニュースを網羅的に解説し、その背景にある地殻変動や、今後のリスク、そして私たちに求められる対策について深掘りしていきます。
2025年7月、マクオーリー島沖でM7.0の地震が発生
2025年7月29日、日本時間の午前7時11分頃、オーストラリア付近のマクオーリー島沖でマグニチュード7.0の規模の大きな地震が発生しました。この地震による日本への津波の影響はありませんでした。 また、その2日前の7月27日午前1時15分頃にも、同地域でマグニチュード6.6の地震が観測されています。 このマクオーリー島付近は、太平洋プレートとオーストラリアプレートの境界付近に位置しており、地震活動が比較的活発な領域とされています。 しかし、人が居住している島はなく、陸地からも離れているため、人的被害は報告されていません。 震源が浅い横ずれ断層型であったため、規模の割には津波の発生しにくいタイプだったと考えられています。
2025年4月、シドニーを揺るがしたM4.6の地震
2025年4月23日早朝、ニューサウスウェールズ州シングルトン近郊でマグニチュード4.6の地震が発生し、シドニーを含む広範囲で揺れが感じられました。 この地震は、前兆なく発生したもので、ジオサイエンス・オーストラリアには2,600件を超える通報が寄せられるほどの揺れでした。 当初はマグニチュード5.1と報じられましたが、後に4.6に修正されました。 震源の深さはわずか10kmと浅かったため、多くの住民が揺れを感じ、緊急時対応策の議論が巻き起こりました。 この地震により、ハンターバレーやニューサウスウェールズ州の観光業への影響が懸念されていますが、政府と業界は迅速に大きな構造的損傷や津波の脅威がないことを確認し、公共の建物やアトラクションのアップグレード、観光リスクフレームワークの見直し、啓発キャンペーンの開始といった長期的な政策対話を進めています。
オーストラリアにおける内陸地震のメカニズム
オーストラリア大陸は、インド・オーストラリアプレートの中央部に位置しており、日本のようにプレートの境界にないため、地震の発生頻度は少ないです。 しかし、このプレートは北に向かって移動しており、インド側部分はユーラシアプレートに激しく押しつけられ、一方、オーストラリア側部分は障害なく前進を続けているため、プレート内部に張力によるねじれが生じ、分裂しつつあると考えられています。 このような地質学的応力により、大陸内にひずみが蓄積され、活断層型の内陸直下地震が時折発生するのです。 オーストラリア地球科学局(Geoscience Australia)は、年間平均約100回のマグニチュード3以上の地震と、おおむね1~2年に1回のペースでマグニチュード5以上の地震が発生していると報告しています。 これらの地震の多くは人が居住していない遠隔地で発生するため、被害が出にくい傾向にあります。
過去の主な内陸地震と教訓
オーストラリアでは、過去にも内陸型の地震が都市部に被害をもたらした例があります。
2023年5月のメルボルン近郊M3.8地震
2023年5月28日、ビクトリア州サンベリーを震源とするマグニチュード3.8の地震がメルボルン近郊で発生しました。 この地震は、メルボルン都市圏で観測された地震としては過去100年で最大規模とされ、約120年ぶりの規模の揺れに住民は驚きましたが、大きな被害はほとんどありませんでした。 地球科学局の地震学者によると、通常マグニチュード4.5以上にならないと、壁にひびが入ったり棚が揺れたりするような軽微な損害は発生しないとのことです。
2021年9月のメルボルン近郊M5.9地震
2021年9月22日、ビクトリア州マンスフィールドの南南東約53km地点でマグニチュード5.9の地震が発生しました。 この地震はメルボルン市街地でも建物の壁が崩れるなどの軽微な損害をもたらし、1人の負傷者が出ました。 揺れは900km離れたシドニーでも感じられるほど広範囲に及び、オーストラリア南東部でこの規模の地震が発生するのは10~20年に一度の稀な現象でした。
1989年のニューカッスル地震
オーストラリアで最も記憶に残る大地震として挙げられるのが、1989年12月にシドニーの北にあるニューカッスルで発生したマグニチュード5.6の地震です。 この地震は、都市直下で発生したため、建物が倒壊し、13人が死亡、160人以上が負傷するという甚大な被害をもたらしました。 「地震なんてないと思っていたのに…」と、オーストラリア全体に大きな衝撃を与えた出来事であり、この地震を教訓に、震源域に近いエリアでは新築建物に対する耐震基準が強化されました。
オーストラリアの建築基準と地震対策
オーストラリアは連邦国家であり、建築規則は8つの州・準州の責任下にあります。 各州・準州は独自の建築法または基本的な建築法規を持ち、管轄区域内の建築規制制度を構築しています。 その中で、国家建設コード(National Construction Code)の一部であるオーストラリア建築コード(Building Code of Australia: BCA)が技術的建築基準として採用されています。
地震のリスクが低いとされる地域では比較的緩やかな設計基準となっている一方で、ニューカッスル地震の教訓を受けて、震源域に近いエリアでは新築建物に対する耐震基準が強化されるなど、地域によって想定される地震リスクに応じた耐震規定が含まれています。 しかし、地震学の専門家の中には、オーストラリアの多くの都市が断層上に位置しているにもかかわらず、当局が大規模な地震による壊滅的な被害を想定した対策を講じるべきだと指摘する声もあります。
日常的な備えと危機管理
オーストラリアは地震が比較的少ない国とはいえ、自然災害への備えは非常に重要です。在オーストラリア日本国大使館も、日頃から関連情報に注意し、備えることの重要性を強調しています。
個人レベルでの備え
* **非常持ち出し袋の準備**: 最低でも3日分から1週間分の飲料水や食料、懐中電灯、ホイッスル、救急セット、貴重品(パスポート、クレジットカード、現金、重要書類のコピー)などをリュックに詰めて、いつでも持ち出せるようにしておきましょう。
* **緊急連絡先の確認**: スマートフォンだけでなく、緊急連絡先を記した別のノートなども用意しておくと安心です。
* **地域の情報把握**: 各州政府やジオサイエンス・オーストラリアのウェブサイト、アプリなどを活用し、地域の災害情報や警戒レベルを常に確認する習慣をつけましょう。
政府・機関の取り組み
オーストラリアの地震観測やリスク評価は、政府機関であるGeoscience Australia(ジオサイエンス・オーストラリア)が担当しています。 ここが全国の地震データを集め、モニタリングを行っています。 また、各州政府は、災害対策組織を構築し、防災、災害対策、災害対応・復旧のすべてを管理するユニークな機関も存在します。 これらの取り組みにより、迅速な情報伝達と対応が可能となるよう努めています。
まとめ
オーストラリアは「地震が少ない」という認識が一般的ですが、近年は内陸型地震の発生が確認されており、特に2025年にはマクオーリー島沖での大規模な地震や、シドニーでも揺れを感じる地震が発生しました。インド・オーストラリアプレートの内部で進行している地質学的応力により、今後も内陸地震が発生する可能性は十分にあります。
過去のメルボルン地震やニューカッスル地震の教訓を活かし、オーストラリア政府および各州は建築基準の整備や地震モニタリング、危機管理体制の強化を進めていますが、私たち一人ひとりも、万が一に備えて非常持ち出し袋の準備や緊急連絡先の確認、そして最新の地震情報を常に把握しておくことが大切です。地震は予測が難しい自然現象ですが、適切な知識と備えがあれば、そのリスクを軽減することができます。安全なオーストラリアでの生活のためにも、日頃から防災意識を高めていきましょう。