ドミノ・ピザ、日本国内172店舗の閉鎖を発表
収益改善のための店舗閉鎖
オーストラリアに本社を置くドミノ・ピザ・エンタープライズは、2025年2月7日、収益改善のため、世界で205店舗、そのうち日本国内で172店舗を閉鎖すると発表しました。日本国内の閉鎖店舗数は、全店舗数の約2割に相当すると推測されます。 これは、新型コロナウイルス感染拡大期の宅配需要増加を受けて拡大した店舗網の見直しの一環であり、コロナ禍後の需要減とコスト上昇による不採算店舗の増加が背景にあります。 同社は投資家向けの文書で、競争力のある都道府県での収益拡大に注力すると明記しており、今後の事業戦略は収益性の高い地域への集中へとシフトしていくものと予想されます。 閉鎖対象となる店舗の具体的な所在地や名称は公表されていませんが、今後、収益性向上のための抜本的な対策が行われることが予想されます。
コロナ禍後の需要減少とコスト上昇
ドミノ・ピザは、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要の高まりを受け、日本国内で積極的に店舗拡大を進めていました。2020年から3年間で約400店舗を増やし、ピーク時には1000店舗を超える規模に達しました。しかし、感染拡大が落ち着き経済活動が再開すると、宅配ピザの需要は減少に転じました。同時に、原材料費や人件費などのコスト上昇も重なり、多くの店舗が不採算に陥ったとされています。この状況を打開するため、収益性の低い店舗を閉鎖し、経営の効率化を図ることが今回の発表に至った主な要因です。 既に2024年7月には80店舗の閉鎖を発表しており、今回の発表はその延長線上にあると言えるでしょう。
競争激化と今後の事業戦略
日本のピザ市場は、既存の宅配大手だけでなく、食品スーパーやコンビニエンスストアなどからの参入により、近年ますます競争が激化しています。ドン・キホーテやオーケー、ロピアといった小売業が店内調理ピザの販売に力を入れている他、2024年8月にはセブン-イレブン・ジャパンが宅配ピザ事業に参入するなど、市場環境は大きく変化しています。ドミノ・ピザは、こうした厳しい競争環境の中で、収益性の高い地域に経営資源を集中させることで、生き残りを図ろうとしていると推測されます。 今回の172店舗の閉鎖は、単なるリストラではなく、今後の事業再構築に向けた重要な転換点と言えるでしょう。
ドミノ・ピザジャパンの対応
ドミノ・ピザジャパンは、親会社であるドミノ・ピザ・エンタープライゼスの決定に従い、日本国内で172店舗の閉鎖を進めることになります。閉鎖店舗は、フランチャイズチェーン加盟店と直営店が混在すると考えられます。具体的な閉鎖スケジュールや従業員への対応などは、今後ドミノ・ピザジャパンから発表されることが期待されます。 今回の閉鎖によって、従業員への影響や地域経済への影響などが懸念されますが、ドミノ・ピザジャパンは、これらの問題についても適切な対応を行う必要があるでしょう。
その他の事業展開
ドミノ・ピザ・エンタープライズは、日本以外にもアジア、オセアニア、ヨーロッパなど世界各国で事業を展開しています。今回の発表では、日本以外でも不採算店舗の閉鎖が実施される可能性が示唆されています。具体的には、フランスで20~30店舗の閉鎖が検討されていると報じられています。 グローバル規模での事業再編を進めることで、企業全体の収益性を高め、持続的な成長を目指していくものと予想されます。