【知らないと損】TSUTAYA大激変!渋谷が「IP聖地」に、レンタル終了後の新常識とは
はじめに
「TSUTAYA」というキーワードが今、日本のエンターテインメント業界、そして私たちのライフスタイルにおいて、かつてないほどの注目を集めています。その理由は、長らく親しまれてきたあの事業からの大転換、そして未来を見据えた驚くべき新戦略が次々と明らかになっているからです。特に、渋谷のランドマーク的存在である「SHIBUYA TSUTAYA」の劇的な変貌は、まさに時代の潮流を象徴する出来事として、多くの人々の関心を引きつけてやみません。かつてはCDやDVDのレンタルで一世を風靡したTSUTAYAが、なぜ今、新たな道を模索しているのか、そしてその先にどんな未来が描かれているのか、本記事では最新ニュースを軸に徹底解説していきます。
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SHIBUYA TSUTAYA、衝撃の「IP聖地」への大変貌!
2024年4月25日、渋谷スクランブル交差点の目の前にそびえ立つ「SHIBUYA TSUTAYA」が、実に約半年間の大規模改装を経て、華々しくリニューアルオープンしました。このリニューアルの最大のポイントは、長年その象徴であったCD・DVDのレンタルサービスを完全に終了し、「好きなもので、世界をつくれ。」という新しいテーマのもと、「IP(知的財産)コンテンツの聖地」へと劇的な業態転換を遂げたことです。
レンタル事業からの完全撤退、その背景と決断
ご存じの通り、近年、NetflixやAmazon Prime Video、Spotifyなどのサブスクリプション型動画・音楽配信サービスの爆発的な普及により、物理メディアのレンタル市場は急速に縮小の一途をたどっています。かつてはTSUTAYAの代名詞とも言える存在だったレンタル事業ですが、時代の変化とともにその役割を終えつつありました。実際、日本映像ソフト協会の調査によれば、映像ソフトレンタル市場は2007年の3604億円をピークに、2022年には572億円と、実に84%も減少しているのです。
こうした厳しい市場環境の中、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、SHIBUYA TSUTAYAという旗艦店において、従来のビジネスモデルからの抜本的な転換を決断しました。これは単なる収益性の問題に留まらず、変わりゆく消費者のニーズ、特にZ世代や訪日外国人観光客(インバウンド)の行動様式を深く洞察した結果と言えるでしょう。物理的な「モノ」を借りる場所から、体験と交流を「創造する」場所へと、その存在意義自体を大きく変える挑戦が始まったのです。
フロアごとに広がる「IP体験」の多様性
新生SHIBUYA TSUTAYAは、地下2階から地上8階までの全10フロアにわたり、それぞれがユニークなコンセプトを持つ「IP体験」の空間へと生まれ変わりました。その詳細を深掘りしてみましょう。
まず、**地下2階の「エンタメワンダーランド」と、地下1階・地上1階の「Shibuya IP Square」**は、「世界中のIPで好きをつくるフロア」と銘打たれています。ここでは、アニメや漫画、キャラクター、ゲームといった日本が世界に誇るIPコンテンツが主役です。期間限定のポップアップストアやイベントが頻繁に開催され、来場者は推しのグッズを購入したり、コラボレーション展示を楽しんだりすることができます。 実は、このフロアでは市場に流通しているパッケージ商品だけでなく、IP使用権の許諾を得て自社製作したオリジナルグッズも多数販売されており、ここでしか手に入らない限定品が消費者の購買意欲を強く刺激しているのです。購入したグッズをSNSに投稿する動きも活発で、これが新たな集客に繋がる好循環を生んでいます。
次に、**2階から4階は「インスパイアされるカフェ&ラウンジ」**として再構築されました。特に注目すべきは、CCCが展開する「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」が大幅に拡充された点です。 ここは、ビジネス書や雑誌、アートに囲まれながら仕事や読書ができるコワーキングスペースであり、カフェとしても利用できます。半個室ブースや会議室も完備され、クリエイティブワーカーにとって最適な環境が提供されています。 窓際のスタンディングエリアからは、あの有名な渋谷スクランブル交差点を一望でき、唯一無二のロケーション体験も提供しています。 単なるカフェではなく、本と親和性の高い空間で、利用者が「インスパイアされる」ことを目指しているのが特徴です。
そして、**5階から8階は「ここでしか出会えない体験でつながるフロア」**です。5階には、上質なオリジナル対戦席を備えた「POKÉMON CARD LOUNGE」が設置され、ポケモンカードゲームのファンが集い、対戦や交流を楽しめる場となっています。 6階には「IP書店」が誕生し、コミックやアニメ、VTuberなど、日本を代表するIPエンタテインメントコンテンツが結集。POP UP SHOP、IP100、ギャラリーの3つのエリアで構成され、ここでも「IP書店」オリジナル限定商品が多数販売され、IPホルダーとのコラボレーションイベントが実施されるなど、ファン同士が繋がり、コト体験ができる仕掛けが満載です。 7階にはコラボレーションカフェ、そして8階にはイベント配信機能を備えたスタジオが設けられ、屋上も屋外イベントスペースとして活用される予定です。
予想を上回る人気と新たな収益構造
リニューアルオープンからわずか4ヶ月で、SHIBUYA TSUTAYAは驚くべき好調ぶりを示しています。CCCの当初の予測では1日の来館者数を3万人と見込んでいましたが、実際には約4万人もの人々が訪れているとのこと。そのうち約4割が訪日外国人観光客であり、以前はスターバックスに集中していたインバウンド客が、リニューアル後は他のフロアにも足を運ぶようになっているのが特筆すべき点です。
収益構造にも変化が見られ、物販の比率が想定よりも高くなっていることが判明しました。これは、プロモーションイベントと連動して販売されるオリジナルグッズの売上が好調であるためです。例えば、L’Arc-en-Cielの特別展示では会場限定のアクリルコースターが最も売れ、THE FIRST SLAM DUNKのギャラリー&カフェの約8000席が発売からわずか30分で完売するなど、IPコンテンツと結びついた限定商品や体験が、消費者の大きな熱狂を呼んでいます。 この成功は、単に商品を販売するだけでなく、「ここでしか得られない体験」を提供することの重要性を示しています。
TSUTAYAが直面する時代の波と、多角化戦略の全貌
SHIBUYA TSUTAYAの大変貌は、TSUTAYA全体、ひいてはCCCグループが直面している大きな転換期の一部に過ぎません。レンタル事業の衰退は止まらず、全国のTSUTAYA店舗は「閉店ラッシュ」とも呼ばれる状況にあります。しかし、CCCは手をこまねいているわけではありません。彼らはこの逆境を乗り越えるべく、多角的な事業展開と「ライフスタイル提案企業」への転換を加速させているのです。
終わらない「閉店ラッシュ」と、その深層にある理由
J-CASTニュースBizの報道によれば、2024年に入ってもTSUTAYAの閉店は相次ぎ、1月には全国で15店舗もの閉店が予定されていました。 2024年の年間閉店数は約110店舗にも上るとされ、2022年以降、既に150店舗以上が閉店している状況です。 なぜこれほどのペースで閉店が続くのでしょうか。
最大の要因は、やはり「レンタルビデオ」というビジネスモデルの根本的な衰退です。 動画配信サービスや音楽配信サービスの普及により、わざわざ店舗に足を運んでCDやDVDを借りる必要性が激減しました。 さらに、かつてTSUTAYAの強みであったTポイントのメリット減少も一因とされています。 Tポイントは2024年4月22日よりVポイントと名称変更され、2025年9月1日にはファミマTカードのTSUTAYAレンタルサービスが終了するなど、そのエコシステム自体も大きく変化しています。
特に、フランチャイズ加盟店の中には、トップカルチャーのように2023年10月期までにレンタル事業から撤退すると発表した企業もありました。 しかし、実際に全ての店舗でレンタルが終了したわけではなく、閉店という形で店舗自体が姿を消すケースが目立っています。 「書店等の既存店舗内にTSUTAYAを導入する」形態のフランチャイジーの中には、「脱TSUTAYA」を加速させ、屋号を元の書店名に戻す動きも見られます。 これは、TSUTAYAの看板を外すことで、独自の事業戦略に集中しようとするフランチャイジーの意向の表れとも言えるでしょう。
「書店」を核とした新たな体験型店舗の創出
レンタル事業が苦境に立つ一方で、CCCは「地域に交流を生む体験型書店」をテーマに、書店事業への軸足を明確にしています。 彼らは、書籍の取り扱い点数やジャンルの多さで「紀伊國屋書店 新宿本店状態」と称されるほどの品揃えを目指し、知育玩具販売やイベント開催など、多岐にわたる取り組みを実施しています。
例えば、茨城県の「TSUTAYA BOOKSTORE常総インターチェンジ店」では、児童書売り場にお子様が遊べるスペースを併設し、これが好調な売上につながっています。 これは、本を売るだけでなく、本を通じて家族が楽しめる「体験」を提供することの重要性を示しています。
さらに、CCCは出版流通改革にも力を入れています。書店が利益を出しにくい構造を改善するため、紀伊國屋書店や日販と共同で「ブックセラーズ&カンパニー」を設立し、書店の粗利率を30%まで引き上げることを目標に掲げています。 これは、従来の委託販売制度に加え、買い切りなどの新しい仕入れスキームを導入することで、書店の収益性を向上させようとする画期的な取り組みです。 「書店ゼロの街をなくす」という構想も掲げ、地域の文化拠点としての書店の役割を再定義しようとしています。
広がる「ライフスタイル提案」の多様な事業展開
TSUTAYAは、もはや単なるレンタルショップでも書店でもありません。CCCは「カルチュア・インフラを、つくっていくカンパニー。」というミッションのもと、人々のライフスタイルを豊かにする多様な事業を展開しています。
その代表例が「SHARE LOUNGE」です。これは、コワーキングスペースとカフェが融合した空間で、電源やWi-Fiはもちろん、ドリンクや軽食も提供されます。 SHIBUYA TSUTAYAでの成功を受けて、今後も「本と親和性の高い新業態の開発」として、併設だけでなく単独店での展開も増やす方針です。
また、健康への意識が高まる中で注目されているのが、フィットネスジムの「TSUTAYA Conditioning」です。 最近では、ピラティス専門店「TSUTAYA Conditioning PILATES」も2025年7月にオープンするなど、積極的に事業を拡大しています。 本に囲まれた空間で運動ができるなど、ここでも「本」との親和性を意識したコンセプトが見られます。
さらに、トレーディングカードの需要増加に対応し、カード対戦席を併設した店舗も急増しています。2024年3月末時点で178店舗に設置されており、直近1年間で純増57店と好調です。 「TSUTAYA 西友町田店」では月に100回以上のイベントが開催され、地域コミュニティの場としても機能しているとのことです。
子供向けのエンターテインメント施設「Muchu Planet TSUTAYAレイクタウン」も2024年4月にオープン。 書店と遊び場が融合したこの施設は、雨の日でも安心して遊べる屋内テーマパークとして、家族連れに人気を集めています。 これもまた、単なる物販ではなく「体験」に重きを置いた新しいビジネスモデルと言えるでしょう。
2024年9月には、「Baby&Kids」や「Food」といったジャンルで、新しい雑貨の販売形態を開始することも発表されました。 これは、様々なメーカーやリテール各社と協業し、各ブランドを融合して展開することで、”家族で楽しむ”といったテーマに沿った新たな提案を行うものです。 こうした動きは、CCCが「衣・食・住」に加え、「楽・学・遊」といったエンターテインメントを通して、一人ひとりの暮らしをより豊かにすることに貢献しようとしている姿勢の表れです。
TポイントからVポイントへ:決済・データ戦略の再構築
TSUTAYAの根幹を支えてきたTポイントは、2024年4月22日より三井住友カードのVポイントと統合され、「Vポイント」として新たなスタートを切りました。 この統合は、Tポイントが持つ「多種多様な加盟店」とVポイントの「キャッシュレス決済」というそれぞれの強みを組み合わせることで、より利便性の高いポイント経済圏を構築することを目的としています。
流通ジャーナリストの西川立一氏によると、Tポイント事業はCCCの重要な収益の柱となっており、加盟店料や情報提供サービスが主な売上源だといいます。 Vポイントへの統合は、このデータベースマーケティング事業をさらに強化し、顧客データの活用を深めることで、新たなビジネスチャンスを創出することを目指しています。 ファミマTカードのレンタルサービス終了などの影響はありますが、CCCはこれにより、より強固な顧客基盤とデータ分析能力を獲得し、個々人のライフスタイルに合わせた提案をさらに進化させるでしょう。
今後の展望・まとめ
TSUTAYAは今、かつてのレンタル事業中心のビジネスモデルから大きく舵を切り、書籍を核としたライフスタイル提案、IPコンテンツの聖地化、そして多様な体験型サービスの提供へと進化を遂げつつあります。この変革は、単なる市場の変化への対応に留まらず、デジタル時代におけるリアル店舗の新たな価値を創造しようとするCCCの強い意志の表れと言えるでしょう。
「SHIBUYA TSUTAYA」の成功は、その象徴です。IPコンテンツを軸にした店舗展開は、Z世代やインバウンド層といった新たな顧客層を強力に引きつけ、デジタルでは得られない「リアルな体験」への需要を明確に示しました。今後も、このような体験型店舗の拡大や、書籍を入り口とした様々なカルチャー提案が、TSUTAYAの成長を牽引していくと考えられます。
同時に、全国で続くレンタル事業の終了や店舗の閉店は、時代が大きく移り変わっている現実を突きつけています。しかし、その一方で、SHARE LOUNGEやTSUTAYA Conditioning、トレーディングカード対戦スペース、そして子供向け施設など、多角的な事業展開によって新たな収益源を確保し、「持続可能な書店」の創出を目指すCCCの戦略は、まさに「知らないと損する」未来の店舗像を示唆しています。
TポイントからVポイントへの統合も、彼らのデータ戦略をさらに強化するものであり、今後、私たちの消費行動やライフスタイルにどのような影響を与えていくのか、注目されるところです。TSUTAYAは、過去の栄光に固執することなく、常に変化を受け入れ、新たな価値を創造し続けることで、私たちの生活に寄り添う「カルチャー・インフラ」としての存在感を確立しようとしています。その進化のスピードは今後も加速するでしょう。これからのTSUTAYAが、私たちの「好き」をどのように広げ、豊かな暮らしを提案してくれるのか、その動向から目が離せません。