9割が知らない!「新語・流行語大賞」の選考基準7つの裏側と、あなたが納得できない”あの言葉”が選ばれた本当の理由

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「なんであの言葉が流行語大賞なの?」そのモヤモヤ、この記事ですべて解消します!

毎年12月になると、テレビやネットを賑わす「新語・流行語大賞」。 今年はどんな言葉が選ばれるんだろうとワクワクする一方で、発表された大賞を見て「え、これってそんなに流行った?」「もっと他に流行った言葉があったんじゃない?」と、首をかしげた経験、あなたにもありませんか?

SNSを見れば、「選考基準が謎」「誰がどうやって決めてるの?」「なんか政治的な意図を感じる…」なんて声が飛び交うのが毎年の恒例行事。そのモヤモヤ、すごくよく分かります。私も以前は「どうせ一部の大人たちが決めてるんでしょ?」なんて、少し斜に構えて見ていました。

でも、コンテンツマーケターとして「言葉の力」を信じるプロの視点からこの「新語・流行語大賞」の裏側を徹底的に調べてみたら、そこには世間のイメージとは少し違う、奥深い世界が広がっていたんです。

この記事を読めば、あなたは次のことを手に入れられます。

  • ベールに包まれた「新語・流行語大賞」の具体的な選考基準とプロセスが手に取るようにわかる
  • 「なぜ、あの言葉が選ばれたのか?」という長年の疑問に、自分なりの答えが出せるようになる
  • 単なる年末イベントとしてではなく、時代を映す鏡として流行語大賞を10倍楽しめるようになる
  • 友人や同僚に「へぇ、そうなんだ!」と言われるウンチクを語れるようになる

もう「選考基準が謎」とモヤモヤするのは終わりにしましょう。この記事を読み終える頃には、あなたは「なるほど、そういうことだったのか!」とスッキリし、来年からはドヤ顔で流行語大賞を語れるようになっているはずです。

【結論】流行語大賞の選考基準は「数値」ではなく「世相を映す物語性」

いきなり結論からお伝えします。多くの人が誤解していますが、「新語・流行語大賞」の選考基準に「SNSでの言及数」や「検索ボリューム」といった明確な数値基準は存在しません。

では、何が基準なのか?それは、「その年の世相をどれだけ軽妙に、そして的確に表現しているか」という、極めて定性的な、物語性とも言える要素です。

主催する自由国民社の言葉を借りれば、「1年の間に発生したさまざまな『ことば』のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶ」ことが目的とされています。

つまり、単に多くの人が使った言葉というだけでなく、

  • その言葉が生まれた背景にどんな社会的な出来事があったのか?
  • その言葉が人々のどんな感情を代弁したのか?
  • その言葉が後世に「あの年はこんな年だった」と語り継ぐだけの力を持っているか?

といった点が、言語学者や文化人などから成る選考委員によって、熱い議論の末に判断されているのです。

ですから、「私の周りでは流行っていなかった」と感じる言葉が選ばれるのは、ある意味当然のこと。あなたの周りのミクロな流行よりも、日本という社会全体のマクロな動きを象徴する「記録」としての価値が重視されているからなのです。

この大前提を頭に入れた上で、さらに深掘りしていきましょう。きっと驚くような発見がありますよ。

そもそも「新語・流行語大賞」って何?基本のキをサクッと押さえよう

選考基準の核心に迫る前に、まずは「新語・流行語大賞」がどんな賞なのか、そのプロフィールを簡単におさらいしておきましょう。意外と知らないことが多いはずです。

主催はどこ?いつから始まった?

「新語・流行語大賞」は、株式会社自由国民社という出版社が主催しています。 この会社は、毎年『現代用語の基礎知識』という新語・新知識年鑑を発行しており、このプロモーション事業として1984年(昭和59年)にスタートしました。 もう40年以上の歴史がある、年末の風物詩なんですね。

「ユーキャン新語・流行語大賞」という名称のイメージが強いかもしれませんが、通信教育で知られるユーキャンは2004年から2024年までスポンサーだった会社です。 そして、2025年からは新たにT&D保険グループがスポンサーとなり、正式名称は「『現代用語の基礎知識』選 T&D保険グループ 新語・流行語大賞」へと変わっています。 このスポンサーの変遷も、時代の流れを感じさせますね。

どうやって決まるの?選考プロセスの全体像

大賞が決まるまでの流れは、大きく分けて4つのステップがあります。 これを知るだけで、選考の透明性に対する見方が変わるかもしれません。

ステップ 内容 誰が関わる?
STEP 1 候補語の収集・選定 『現代用語の基礎知識』編集部、読者
STEP 2 ノミネート語の絞り込み 選考委員会
STEP 3 ノミネート30語の発表 主催者(自由国民社)
STEP 4 最終選考〜大賞・トップテン決定 選考委員会

多くの人が「一般投票で決まる」と勘違いしがちですが、実はそうではありません。 あくまでベースとなるのは『現代用語の基礎知識』の編集部が収集した言葉と、読者から寄せられたアンケート。 そこから、専門家である選考委員たちが議論を重ねて絞り込んでいく、というプロセスを取っています。

選考委員ってどんな人たち?

では、その重要な役割を担う選考委員とは、一体どんなメンバーなのでしょうか。まさに、ここが選考の「キモ」とも言える部分です。現在の主な選考委員はこちらの方々です。

  • 金田一秀穂氏(杏林大学 教授・言語学者)
  • 辛酸なめ子氏(漫画家・コラムニスト)
  • パトリック・ハーラン氏(お笑い芸人)
  • 室井滋氏(俳優・エッセイスト)
  • やくみつる氏(漫画家)
  • 神田伯山氏(講談師)
  • 大塚陽子氏(『現代用語の基礎知識』編集長)

いかがでしょうか。言語学の権威から、世相を独自の視点で切り取るコラムニスト、そして幅広い世代に知られるタレントまで、非常に多彩な顔ぶれが揃っていることがわかります。 この多様な視点を持つメンバーが議論を戦わせるからこそ、単なる流行り言葉ではない、深みのある言葉が選ばれる(時には物議を醸す)わけですね。

【本丸】9割が知らない「新語・流行語大賞」7つの選考基準を徹底解剖!

お待たせしました。いよいよ本題である「新語・流行語大賞の選考基準」の深層に迫っていきます。公式発表されている情報に加え、選考委員の過去の発言や歴代の受賞語の傾向から、プロの視点で7つの基準をあぶり出しました。これを読めば、あなたの「なぜ?」は「なるほど!」に変わります。

基準1:大衆性・認知度 ~「みんなが知ってる」は最低条件~

まず最も基本的な基準が、その言葉が広く大衆に認知され、使われたかどうかです。当たり前のようですが、これがなければ始まりません。特定の業界やコミュニティだけで使われている言葉は、いくら面白くてもノミネートすら難しいでしょう。

ただし、ここで言う「使われたか」は、必ずしも日常会話で頻繁に口にされたか、という意味ではありません。

【よくある勘違い】

「『神ってる』なんて、野球ファンしか使ってないじゃん!」

2016年に大賞を受賞した「神ってる」は、当時多くの人から「流行の実感がない」と指摘されました。しかし、選考委員会が評価したのは、野球に興味がない人でも「ああ、あの言葉ね」と認識できる認知度の高さと、その年の広島東洋カープの奇跡的な快進撃という物語性でした。

つまり、選考基準における「大衆性」とは、「日常会話での使用頻度」だけでなく、「メディアでの露出量」や「その言葉が持つニュースバリュー」も含まれる、より広い概念なのです。

基準2:時代性・世相反映度 ~その言葉は、202X年を象徴しているか?~

これこそが、流行語大賞の最も重要な選考基準と言っても過言ではありません。その言葉が、その年の政治、経済、社会、文化といった世相をどれだけ的確に切り取っているかが厳しく問われます。

主催者も「軽妙に世相を衝いた表現」を重視していると明言しています。

【プロの視点】

歴代の大賞を振り返ると、その年がどんな年だったかが見事に浮かび上がってきます。

  • 2013年「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」
  • アベノミクスへの期待感、東京五輪招致の熱狂、社会現象となったドラマや朝ドラ。日本全体が明るいムードに包まれていたことがわかります。
  • 2016年「神ってる」と同時にトップテン入りした「保育園落ちた日本死ね」
  • スポーツの明るい話題の一方で、待機児童問題という深刻な社会問題が顕在化した年でした。この両極端な言葉が並ぶことで、2016年という年の光と影を浮き彫りにしています。
  • 2023年「アレ(A.R.E.)」
  • 38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガースの快進撃を象徴する言葉。 長引くコロナ禍や物価高など、どこか閉塞感が漂う中で、多くの人がスポーツの力に熱狂し、明るい希望を見出したことを示しています。

このように、後から見返したときに「ああ、あの年はこんなことがあったな」と思い出させてくれる「記録性」。これが選考において極めて重視されるポイントなのです。

基準3:言語的なインパクト ~表現としての「発明」があったか?~

単に流行っただけでなく、その言葉が日本語として新しい発見や面白さを持っているかも評価の対象となります。言語学の専門家である金田一秀穂氏が選考委員に入っていることからも、この視点が重視されていることがうかがえますね。

【意外な発見】

例えば、こんな言葉が言語的なインパクトを評価された例です。

  • 「じぇじぇじぇ」(2013年大賞): 単なる驚きの言葉ですが、その独特な響きと方言ならではの温かみが新鮮でした。
  • 「そだねー」(2018年大賞): こちらも方言ですが、緊迫した試合の中で交わされるこの言葉が持つ、独特の優しさやチームの一体感が多くの人の心を掴みました。
  • 「ONE TEAM」(2019年大賞): ラグビーW杯での日本代表の活躍を象徴する言葉。多様なバックグラウンドを持つ選手たちが一つになる、というコンセプトをシンプルかつ力強く表現した点が評価されました。

新しい造語だけでなく、既存の言葉の新しい使い方や、方言が持つ独特のニュアンスに光を当てるなど、表現としての「発明」があったかどうかも、実は重要な選考基準なのです。

基準4:物語性・背景 ~その言葉の裏に「ドラマ」はあるか?~

SNSで瞬間的にバズった言葉が、意外と大賞に選ばれないのはなぜでしょうか?それは、その言葉の背景にある「物語」の深さが足りないからです。選考委員は、言葉の表面的な流行だけでなく、その裏側にある人間ドラマや社会的な文脈を重視します。

【人間味あふれる創作エピソード】

ある年の選考委員会(という設定の創作です)。会議室のテーブルには、その年を賑わせた言葉が書かれた紙が何枚も並んでいます。

やくみつる氏: 「うーん、今年はネット発の瞬間的な言葉が多いなあ。面白いけど、年末には忘れられてそうだ。」
辛酸なめ子氏: 「この『〇〇しか勝たん』とか、確かに若者は使ってますけど、背景にある物語が見えにくいですよね。消費されて終わり、というか。」
金田一秀穂氏: 「一方で、このスポーツ選手の言葉は、彼のこれまでの苦労や努力を知っていると、一言の重みが全く違う。言葉そのものに、彼の人生という物語が乗っているんだよ。」
室井滋氏: 「そうよね!人々が感動したのは、言葉そのものじゃなくて、その言葉が生まれるまでのドラマ。それこそが、記録として残すべき価値があるんじゃないかしら。」

このように、選考の場では、単なる流行度調査では見えてこない「言葉の深み」が議論されているのです。大賞に選ばれる言葉には、必ずと言っていいほど、人々の心を動かすストーリーが存在します。

基準5:将来性・定着度 ~辞書に載る可能性はあるか?~

「流行語は一過性のもの」と思われがちですが、選考委員の中には、その言葉が日本語として将来的に定着していくかという視点を持っている人もいます。 もちろん、これが絶対条件ではありませんが、一過性のブームで終わらない普遍性を持つ言葉は、高く評価される傾向にあります。

【プロの視点】

実際に、過去の受賞語には、今や当たり前のように使われている言葉がたくさんあります。

受賞年 受賞語 現在の定着度
1996年 チョベリバ ほぼ死語
2006年 イナバウアー 固有名詞として定着
2008年 アラフォー 世代を表す言葉として完全に定着
2010年 イクメン 育児をする男性を指す言葉として定着
2021年 親ガチャ 格差社会を象徴する言葉として定着

「チョベリバ」のように完全に時代を感じさせる言葉もあれば、「アラフォー」や「イクメン」のように、もはや流行語だったことすら忘れられるほど社会に溶け込んだ言葉もあります。この「定着する力」も、選考における一つの隠れた加点ポイントなのです。

基準6:健全性・ポジティブさ ~ネガティブすぎる言葉は避けられる?~

流行語大賞は、その年を振り返るお祭りであり、授賞式は華やかなセレモニーです。そのため、あまりにネガティブ、非倫理的、あるいは特定の個人を過度に攻撃するような言葉は、たとえ流行したとしても大賞には選ばれにくい傾向があります。

【多くの人がやりがちな失敗談】

「『ゲス不倫』なんて、あれだけ流行ったのになんで大賞じゃないんだ!」

2016年にトップテン入りした「ゲス不倫」は、まさにその年の象徴的な言葉でした。しかし、大賞に選ばれたのは、明るい話題である「神ってる」でした。これは、大賞という最も栄誉ある賞を、スキャンダラスな言葉に与えることへの抵抗感があったと推測されます。

ただし、例外もあります。 「保育園落ちた日本死ね」(2016年トップテン)や「#MeToo」(2018年トップテン)のように、社会問題を告発する強い言葉が選ばれることもあります。 これらは、単なるネガティブな言葉ではなく、社会をより良い方向に変えようとする「建設的な批判」として評価された結果でしょう。

このバランス感覚こそ、選考委員会の腕の見せ所なのです。

基準7:選考委員の「主観」と「バランス感覚」

最後にして、最も人間的な要素がこれです。どれだけ客観的な基準を並べても、最終的に決めるのは生身の人間である選考委員たちです。彼らの知識、経験、価値観、そして「この言葉を後世に残したい」という情熱が、選考に大きく影響します。

選考委員の一人である辛酸なめ子氏は、過去のインタビューで、まず『現代用語の基礎知識』編集部が選んだ約60語があり、そこから選考委員が「他にもこの言葉が流行ってるんじゃない?」と足していく、と語っています。 このプロセスからも、選考委員の主観が初期段階から反映されていることがわかります。

また、年間大賞の決定については、「選考委員は大賞までは決めずに10語までは決める」「大賞は編集部の方がバランスを考えて、決められるのかなと」とも述べており、最終的には主催者側の編集部が全体のバランスを見て決定している可能性も示唆されています。

【SNSでのリアルな声】

流行語大賞 の選考委員の顔ぶれ見てると、なんとなく選ばれそうな言葉の系統がわかる気がするw やくみつるさんがいるから野球ネタは強いよね、やっぱり。」

「辛酸なめ子さんがいるから、ちょっとサブカル寄りというか、皮肉の効いた言葉が拾われやすいのかも。」

このように、選考委員の個性を分析することで、選考の傾向を予測する楽しみ方もあるのです。そこには、AIには決して真似できない、人間ならではの「揺らぎ」や「面白み」があります。

「なんでコレが?」歴代大賞から見る、物議を醸した選考と納得の選考

これまで解説してきた7つの選考基準を踏まえて、過去に物議を醸した選考と、多くの人が納得した選考を比較してみましょう。なぜ評価が分かれたのか、その理由が見えてくるはずです。

ケーススタディ1:「トリプルスリー」(2015年大賞)はなぜ物議を醸したか?

2015年の大賞は、当時プロ野球で2人の選手が達成した「トリプルスリー」(打率3割、30本塁打、30盗塁)でした。しかし、この受賞には多くの野球ファン以外から「知らない」「流行ってない」という声が上がりました。

  • 敗因分析(なぜ物議を醸したか)
  • 大衆性の欠如: 野球ファン以外には馴染みが薄く、日常会話で使われる言葉ではなかった。
  • 限定的な文脈: プロ野球という非常に限定された領域での出来事だった。
  • 競合の存在: 同年には、ラグビーW杯の「五郎丸(ポーズ)」や、ピース又吉氏の芥川賞受賞作「火花」、訪日外国人の「爆買い」など、より広い層に認知された言葉が多数存在した。

選考委員会は、2人同時達成という「記録性」や「物語性」を評価したと思われますが、結果として多くの国民の「流行実感」との間に大きな乖離が生まれてしまいました。これは、基準1「大衆性」をやや軽視した結果と言えるかもしれません。

ケーススタディ2:「そだねー」(2018年大賞)はなぜ万人に受け入れられたか?

対照的に、2018年の「そだねー」は、多くの人が納得する受賞となりました。 平昌オリンピックのカーリング女子日本代表チームが使っていたこの言葉は、日本中に温かい気持ちを届けました。

  • 勝因分析(なぜ納得されたか)
  • 圧倒的な大衆性: オリンピックという国民的関心事の中で、連日メディアで流され、多くの人が真似をした。
  • 強い物語性: 銅メダル獲得という快挙を成し遂げたチームの、和やかで親しみやすい雰囲気を象徴していた。
  • 言語的なインパクト: 北海道弁の持つ独特の響きと優しさが、ギスギスしがちな現代社会において人々の心を癒した。
  • ポジティブさ: 明るく、前向きで、誰も傷つけない言葉だった。

まさに、これまで挙げてきた選考基準の多くを高次元で満たしていたのが「そだねー」だったのです。流行の実感と、選考委員会が重視する価値観が、見事に一致した好例と言えるでしょう。

選考の裏側!候補語リストから大賞決定までの全ステップを覗き見

「新語・流行語大賞」が、いかに複雑で人間的なプロセスを経て決定されるか、その舞台裏をもう少し詳しく見ていきましょう。ここでは、私が業界関係者から聞いた話(という設定の創作ストーリー)を交えながら、リアルな選考過程を再現してみます。

ステップ1:言葉の種まきと収集(1月~8月)

すべての始まりは、『現代用語の基礎知識』編集部にあります。編集部員たちは、年間を通じて新聞、雑誌、テレビ、インターネットなど、あらゆるメディアにアンテナを張り巡らせ、新しい言葉や気になる表現を地道に収集しています。

【中の人の声(創作)】

「新人編集者のA君は、毎日SNSのトレンドをチェックするのが日課だ。『今年は“蛙化現象”がよく使われてるな…』『このネットミームは一過性で終わりそうだな』なんてメモを取りながら、来るべき選考に向けてデータを蓄積していく。ベテラン編集長のBさんは、新聞の社説やコラムに出てくる政治家の新しい言い回しや、経済評論家の造語に目を光らせている。こうした日々の地道な作業が、流行語大賞の土台を作っているんだ。」

さらに、夏頃には『現代用語の基礎知識』の読者アンケートが実施され、一般からの声も集められます。 これら膨大な言葉の種の中から、次のステップに進むものが選別されていくのです。

ステップ2:編集部による一次選考と候補語リスト作成(9月~10月)

夏が終わり、秋風が吹く頃、編集部では一次選考会議が白熱します。収集された数百の言葉の中から、今年の世相を反映しているか、話題性があったか、などの観点でふるいにかけられ、約60語の候補語リストが作成されます。

このリストが、選考委員会に渡される最初の「たたき台」となります。

ステップ3:選考委員会によるノミネート語選定会議(10月下旬)

都内某所の会議室に、金田一氏や辛酸なめ子氏をはじめとする選考委員たちが集結します。 編集部が作成したリストを元に、いよいよ本格的な議論がスタートします。

【会議の様子(創作)】

「『この言葉は確かに流行ったけど、品がないな』『こちらの言葉は地味だけど、今年の社会の空気をよく表している』といった意見が飛び交う。辛酸なめ子氏が『私、個人的にはこのネットスラングが面白いと思うんですけど、おじさまたちにはピンとこないかしら?』と問題提起すれば、金田一氏が『いや、言語学的に見るとこの省略の仕方は非常に興味深いですよ』と応じる。やくみつる氏は、その年のスポーツ界を象徴する言葉を熱弁する。時には激しい意見の対立もありますが、それは皆、真剣にその年の“言葉”と向き合っている証拠。この熱い議論を経て、最終的にノミネートされる30語が絞り込まれていくのです。」

そして、11月上旬にノミネート30語が発表され、世間の注目が一気に高まります。

ステップ4:最終選考、そして大賞発表へ(11月下旬~12月1日)

ノミネート発表後、世間の反応も参考にしつつ、選考委員会は再び集まり、トップテンと年間大賞を決定する最終選考に臨みます。

ここで重要なのは、「受賞者が授賞式に来てくれるか」という現実的な問題です。選考委員の一人は「できることなら、全員に授賞式には出席していただきたい」と語っていますが、出席自体が受賞の絶対条件ではない、とも述べています。

しかし、やはり大賞受賞者が誰も授賞式に来ない、というのはセレモニーとして寂しいもの。そのため、言葉の価値だけでなく、受賞者側の意向なども水面下で調整されることがある、と言われています。

そして、すべての選考が終わり、12月1日に年間大賞とトップテンが華々しく発表されるのです。

よくある誤解とQ&A!「新語・流行語大賞」のウソ?ホント?

ここでは、多くの人が抱きがちな「新語・流行語大賞」に関する疑問や誤解について、Q&A形式でスッキリお答えします!

Q1. 賞を辞退することってできるの?

A1. はい、できます。実際に過去に何度も辞退した例があります。

これは意外と知られていませんが、受賞候補者として選ばれながらも、自らの意思で辞退するケースは少なくありません。

  • 2008年「あなたとは違うんです」: 当時の福田康夫首相が受賞を辞退。 辞任会見での発言であり、ポジティブなイメージではなかったためと思われます。
  • 2014年「集団的自衛権」: 当時の安倍晋三首相が受賞を辞退。 政治的に対立のあるテーマだったことが理由と考えられます。
  • 2018年「スーパーボランティア」: 行方不明の男児を発見した尾畠春夫さんが受賞を辞退。「自分は特別な人間ではない」という謙虚な姿勢が、かえって多くの人の感動を呼びました。

このように、言葉の背景や受賞者の考え方によって、辞退という選択がなされることもあるのです。

Q2. 政治的な意図で選ばれるって本当?

A2. 意図的ではありませんが、結果として政治色が強くなることはあります。

「アベ政治を許さない」(2015年トップテン)や「保育園落ちた日本死ね」(2016年トップテン)などが選ばれた際には、「選考が左翼的だ」といった批判が一部から上がりました。

しかし、これは選考委員会が特定の政治思想を広めようと「意図」したというよりは、「その年に、そうした言葉が生まれるほど大きな社会の動きや国民の感情のうねりがあった」という事実を「記録」した結果と捉えるべきでしょう。

流行語大賞は、あくまで社会を映す鏡。鏡に映った姿が、見る人によっては心地よくない、ということは当然あり得るのです。

Q3. 自分の好きな言葉をノミネートさせるにはどうすればいいの?

A3. 唯一の方法は、主催者である自由国民社『現代用語の基礎知識』の読者アンケートに投稿することです。

SNSでハッシュタグをつけて拡散したり、友達同士で盛り上がったりするだけでは、残念ながら選考の土俵には上がりません。選考プロセスで述べた通り、公式なルートは読者アンケートのみです。

〇〇を流行語大賞に」とSNSで頑張っている人を見かけることがありますが、本当にその言葉を推したいのであれば、地道にアンケートに投稿することが最も確実な道なのです。これは「多くの人がやりがちな失敗談」かもしれませんね。

【プロの視点】SEOと流行語大賞の意外な関係性とは?

最後に、コンテンツマーケターというプロの視点から、この「新語・流行語大賞」が私たちのビジネス、特にWebマーケティングやSEOにどのような影響を与えるか、その意外な関係性についてお話しします。

流行語は「検索需要の爆発」を生む

新語・流行語大賞にノミネートされたり、大賞を受賞したりした言葉は、爆発的な検索需要を生み出します。人々は「〇〇ってどういう意味?」「元ネタは何?」と、一斉に検索エンジンで調べ始めるからです。

このタイミングを逃さず、関連するキーワードで質の高い解説記事を公開できれば、短期間で大量のアクセスを集めることが可能です。これは、ブログやオウンドメディアを運営している企業や個人にとって、非常に大きなチャンスとなります。

「流行語に乗っかる」際の注意点

ただし、流行語をビジネスに利用する際には、注意すべき点があります。

  1. . 文脈を理解する: 言葉の表面的な意味だけでなく、生まれた背景やニュアンスを正確に理解せずに使うと、思わぬ誤解を招いたり、「流行りに乗っかってるだけ」とユーザーから見透かされたりします。
  2. . 権利関係に注意: アニメや漫画のキャラクター名、特定の企業のキャッチコピーなどが流行語になった場合、商用利用には権利者の許諾が必要になることがあります。安易に使用すると、トラブルに発展する可能性もあるので注意が必要です。
  3. . 炎上リスクを考慮する: 特に政治的・社会的にデリケートな言葉を扱う際は、細心の注意が求められます。自社のスタンスを明確にし、多方面に配慮した表現を心がけないと、炎上の火種になりかねません。
  4. 流行語は、うまく使えば強力な武器になりますが、扱いを間違えれば大きなリスクも伴う諸刃の剣。その特性を理解した上で、賢く活用していく視点が大切です。

    まとめ

    さて、長旅にお付き合いいただきありがとうございました。「新語・流行語大賞」の裏側に迫る旅、いかがだったでしょうか。最後に、この記事の重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

    • 流行語大賞の選考基準は、検索数などの数値ではなく、「その年の世相をどう表現したか」という物語性が最重要視される。
    • 選考は一般投票ではなく、言語学者や文化人など多様な専門家で構成される選考委員会の議論によって行われる。
    • 選考には、「大衆性」「時代性」「言語的インパクト」「物語性」「将来性」「健全性」「選考委員の主観」という7つの複合的な基準が存在する。
    • 世間の流行実感とズレが生じることがあるのは、個人のミクロな流行よりも、社会全体の動きを記録するというマクロな視点が優先されるため。
    • 受賞を辞退するケースも存在するなど、選考の裏側には様々な人間ドラマがある。

    もう、あなたは「選考基準が謎」とモヤモヤすることはないはずです。むしろ、発表されたトップテンの言葉を見ながら、「なるほど、この言葉は時代性を評価されたんだな」「こっちは物語性が決め手か」と、選考委員の意図を読み解くという、新しい楽しみ方ができるようになったのではないでしょうか。

    言葉は、時代を映す鏡です。そして「新語・流行語大賞」は、その年に日本という社会がどんな顔をしていたのかを後世に伝える、大切なアルバムのようなもの。

    ぜひ、今年の年末は、この記事で得た知識を武器に、友人や家族と「今年の流行語大賞」を熱く語り合ってみてください。きっと、いつもより何倍も深く、面白く、言葉の世界を楽しめるはずですよ。

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