「まあ、うちは大丈夫だろう」その油断が命取りに。他人事ではない災害と、今すぐできること

「地震や水害、ニュースで見るけど、正直どこか他人事…」「防災グッズは一応あるけど、避-難計画なんて考えたこともないな…」 もし、あなたが少しでもこう感じているなら、この記事はあなたのためのものです。

自然災害は、もはや「忘れた頃にやってくる」ものではありません。毎年のように日本のどこかで、私たちの日常を脅かす災害が発生しています。その時、「まさか自分が」と後悔しても、もう遅いのです。

多くの人が防災グッズの準備だけで満足してしまいがちですが、本当に重要なのは、いざという時に「どう行動するか」を具体的に定めた緊急時の避-難計画です。計画がなければ、高価な防災グッズも宝の持ち腐れになりかねません。

この記事を読めば、専門知識がなくても、誰でも簡単かつ確実に機能する、あなたとあなたの家族だけの「緊急時の避-難計画」を7つのステップで作成できるようになります。単なる情報の羅列ではありません。「多くの人がやりがちな失敗談」や「防災のプロの視点」を交えながら、今日からすぐに行動に移せる具体的な方法を、どこよりも分かりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、「何をすれば良いか分からない」という不安は、「これならできる！」という自信に変わっているはずです。大切な家族の未来を守るための、最も確実な一歩を、今すぐ踏み出しましょう。

【結論】生死を分ける避難計画の核心は「具体化」と「共有」、そして「見直し」にあり

時間がない方のために、まず結論からお伝えします。

緊急時の避-難計画で最も重要なのは、「誰が、いつ、どこへ、何を持って、どうやって」避-難するかを、具体的かつ現実的に決めることです。そして、その計画を家族や大切な人全員で「共有」し、定期的に訓練と「見直し」を行う「仕組み」を作ること。

この3つのサイクル（具体化→共有→見直し）を回し続けることこそが、計画を単なる“お守り”で終わらせず、いざという時に本当に命を救う“羅針盤”に変える唯一の方法なのです。この記事では、このサイクルを誰でも実践できる7つのステップに分解して、徹底的に解説していきます。

なぜ今、「緊急時の避-難計画」が“自分ごと”なのか？他人事では済まされない3つの理由

「避-難計画なんて、大げさだよ」と感じる方もいるかもしれません。しかし、その考えこそが、最も危険な落とし穴なのです。ここでは、なぜ今すぐ「緊急時の避-難計画」を立てるべきなのか、その理由を3つの視点から解説します。

【衝撃の事実】災害は「忘れた頃にやってくる」はもう古い！頻発化・激甚化する自然災害のリアル

かつて、災害は「忘れた頃にやってくる」と言われていました。しかし、気候変動などの影響により、その常識は完全に過去のものとなりました。毎年のように、数十年に一度、あるいは観測史上初と言われるような豪雨、大型台風、そして予測不能な地震が日本列島を襲っています。

このように、災害はもはや「非日常」ではなく、私たちの日常と隣り合わせの「現実」です。今日、この瞬間も、日本のどこかで災害のリスクは高まり続けています。この現実から目を背けず、自分と家族の身に起こりうることとして捉えることが、防災の第一歩なのです。

「うちは大丈夫」が一番危ない！多くの人が陥る「正常性バイアス」の罠

災害が迫っている時、なぜ多くの人が逃げ遅れてしまうのでしょうか。その大きな原因の一つに、人間の心理的な働きである「正常性バイアス」があります。

正常性バイアスとは、予期しない異常事態に直面した際に、「自分は大丈夫」「たいしたことにはならないだろう」と、事態を過小評価してしまう心の働きのことです。 これは、日常の小さな変化に過剰に反応してストレスを溜めないための、いわば自己防衛本能のようなものです。

しかし、この心理が災害時には命取りになります。サイレンが鳴り響き、避-難情報が発令されても、「前の台風でも大丈夫だったし」「周りの人もまだ避-難していないから」と考えてしまい、行動を起こすタイミングを逸してしまうのです。

> 【ありがちな失敗談：Aさんのケース】

> 川の近くに住むAさん。大雨で市から避-難指示が出ましたが、「この家に何十年も住んでいるけど、床上浸水なんて一度もなかった。今回も大丈夫だろう」と高を括っていました。しかし、雨は勢いを増し、気づいた時には家の周りは濁流に囲まれ、避-難することができなくなってしまいました。「まさか」が現実になった瞬間でした。

この「正常性バイアス」という厄介な心の罠を乗り越えるために、「緊急時の避-難計画」が必要不可欠なのです。あらかじめ「この状況になったら、こう行動する」という具体的なルールを決めておくことで、いざという時に冷静な判断ができ、バイアスに打ち勝つことができるのです。

SNSの声：「あの時もっとちゃんと考えておけば…」後悔の声から学ぶ教訓

災害を経験した人々のリアルな声ほど、私たちに重く響くものはありません。SNSには、後悔や教訓が数多く投稿されています。

> X（旧Twitter）での投稿（創作）
> 「避-難勧告が出ても『まだ大丈夫』って親が言うのを聞いて家にいたら、あっという間に水が来た。計画なんて話したこともなかったから、何を持って逃げればいいかパニックに。幸い無事だったけど、あの時の恐怖は一生忘れない。

防災 #避-難計画」

> X（旧Twitter）での投稿（創作）
> 「地震の後、旦那と連絡が全然取れなくて生きた心地がしなかった。どこに避-難するかとか、連絡方法とか、何も決めてなかったのを心底後悔した。家族会議、絶対やるべき。

緊急時の避-難計画 #安否確認」

これらの声は、決して他人事ではありません。彼らの後悔を自分たちの教訓とし、「あの時、計画を立てておいて本当に良かった」と未来の自分が思えるように、今すぐ行動を起こすことが何よりも大切です。

【ステップ1：ハザードマップ確認】あなたの家の本当のリスク、知らないと命取りになる危険箇所

「緊急時の避-難計画」を立てる上で、全ての土台となるのが「ハザードマップ」の確認です。ハザードマップとは、自然災害による被害の予測範囲や程度、そして避-難場所などの情報を地図上に示したものです。 これを見ずに計画を立てるのは、地図を持たずに航海に出るようなもの。まずは自分の足元にあるリスクを正確に知ることから始めましょう。

超カンタン！ハザードマップポータルサイトの使い方とチェックすべき4つのポイント

「ハザードマップって、どこで見られるの？」「見方が難しそう…」と感じる方もご安心ください。国土交通省が提供している「ハザードマップポータルサイト」を使えば、誰でも簡単に自宅周辺のリスクを確認できます。

＜確認方法＞

1. . 「ハザードマップポータルサイト」にアクセスします。
2. . 「重ねるハザードマップ」または「わがまちハザードマップ」を選択します。
3. 重ねるハザードマップ: 洪水、土砂災害、津波など、様々な災害リスクを1つの地図上で重ねて見ることができます。
4. わがまちハザードマップ: 各市町村が作成した、より地域に特化した詳細なハザードマップを見ることができます。
5. . 住所を入力するか、地図上から自宅を探します。

ハザードマップを見る際に、最低限チェックすべきポイントは以下の4つです。

チェックポイント	確認すべき内容
① 災害の危険性	自宅やその周辺が、どのような災害（洪水、土砂災害、高潮、津波など）の危険エリアに含まれているかを確認します。 エリアごとに色分けされており、色が濃いほど危険度が高いことを示します。
② 被害の程度	洪水の場合は「浸水深（どれくらいの高さまで水に浸かるか）」、津波の場合は「津波の高さ」や「到達時間」など、具体的な被害の大きさを確認します。
③ 避-難先	指定された避-難場所や避-難所の位置を確認します。 災害の種類によって、安全な避-難先が異なる場合があるので注意が必要です。
④ 避-難経路	自宅から避-難先までの安全なルートを確認します。 途中に危険な場所（浸水しやすい低い土地、崖など）がないかを確認しましょう。

プロはここを見る！自宅だけじゃない、通勤・通学路や職場の隠れた危険

防災のプロは、自宅のリスクを確認するだけでは終わりません。家族が日中過ごす場所、例えば職場や学校、よく利用するスーパーや公園、そしてそこまでの通勤・通学路のリスクも必ずチェックします。

災害は、家族全員が家にいる時に起こるとは限りません。平日の昼間に大地震が発生した場合、子どもは学校、親は職場と、家族がバラバラの場所にいる可能性が高いのです。

> 【プロの視点】

> 「緊急時の避-難計画を立てる際、私たちは必ず『時間帯別・場所別シナリオ』を想定します。例えば、『平日午前10時に地震が発生した場合』『休日午後に家族で外出中に豪雨になった場合』など、複数のシナリオを考えるのです。それぞれのシナリオで、各家族がどこにいて、どのような危険に遭遇し、どう行動すべきかをシミュレーションすることで、計画の実効性が格段に高まります」

家族それぞれの行動範囲についてハザードマップを確認し、危険箇所を共有しておくことが、いざという時の冷静な判断につながります。

失敗談：「うちの地域は安全だと思ってた…」ハザードマップを軽視したBさんの悲劇

Bさんは、高台に家を建てたので水害の心配はないと信じ込んでいました。地域のハザードマップも、「うちは大丈夫」とちゃんと確認していませんでした。

ある年の秋、記録的な豪雨が地域を襲いました。Bさんの自宅は確かに浸水を免れましたが、一つ大きな見落としがありました。自宅の裏手には小さな崖があり、ハザードマップでは「土砂災害警戒区域（イエローゾーン）」に指定されていたのです。

激しい雨で地盤が緩み、崖が崩落。幸い、自宅への直撃は免れましたが、避-難しようにも唯一の道が土砂で塞がれ、数日間孤立してしまいました。「水害のことばかり気にしていて、土砂災害のリスクなんて全く考えていなかった…。ハザードマップをちゃんと見ていれば…」Bさんは恐怖と後悔で唇を噛みしめました。

このBさんの失敗談から学べるのは、思い込みでリスクを判断してはいけないということです。ハザードマップで客観的な事実を確認し、あらゆる可能性を想定することが、真の防災の第一歩なのです。

【ステップ2：避-難場所と経路の決定】“とりあえず避-難所”はNG！状況別「最適解」の見つけ方

ハザードマップでリスクを把握したら、次は「どこに、どうやって逃げるか」を具体的に決めます。多くの人が「災害が起きたら、近くの学校や公民館に行けばいいんでしょ？」と考えがちですが、その“とりあえず避-難所”という考えが、実は非常に危険なのです。

「避-難場所」と「避-難所」の違い、説明できますか？意外と知らない基本のキ

まず、絶対に知っておかなければならないのが、「避-難場所」と「避-難所」の違いです。この2つは似ているようで、目的が全く異なります。

名称	目的	具体例
指定緊急避-難場所	災害の危険から緊急的に命を守るための場所。	公園、グラウンド、高台など
指定避-難所	自宅に戻れなくなった被災者が、一時的に生活するための施設。	小中学校の体育館、公民館など

【重要なポイント】

東日本大震災では、避-難所と避-難場所が明確に区別されていなかったことが被害拡大の一因となりました。 その教訓から、現在では市町村が災害の種類ごとに指定緊急避-難場所を定めることが義務付けられています。

例えば、津波の危険がある場合は、体育館などの「避-難所」ではなく、高台などの「避-難場所」に逃げなければなりません。 この違いを理解していないと、安全なはずの場所に逃げた結果、かえって危険に晒される可能性があるのです。

災害の種類別（地震・水害・土砂災害）に考えるべき避-難場所リスト

あなたの地域で起こりうる災害の種類によって、選ぶべき避-難先は変わります。ハザードマップを見ながら、家族で最適な避-難先を複数リストアップしておきましょう。

災害の種類	避-難先の考え方	具体的な避-難先の例
地震・津波	津波や大規模火災の危険がない、広くて安全な場所へ。津波の危険がある場合は、とにかく高い場所へ。	広域避-難場所（大規模な公園など）、津波避-難タワー、高台、頑丈な高層ビル
洪水・高潮	自宅が浸水想定区域にある場合、より安全な場所へ。垂直避-難も選択肢に。	指定緊急避-難場所、親戚・知人宅、浸水しない高層階のある建物（垂直避-難）
土砂災害	土砂災害警戒区域の外にある、安全な場所へ。崖や急斜面から離れることが最優先。	指定緊急避-難場所、地域の安全な公民館、親戚・知人宅

【プロの視点：避-難先の多様化】

「避-難先は、市町村が指定する公的な避-難所だけではありません。安全な場所にある親戚や友人の家も、有力な選択肢です（縁故避-難）。 また、ペットがいる家庭や、プライバシーを重視したい場合は、ホテルなどへの避-難も検討しておくと良いでしょう。複数の選択肢を持っておくことで、状況に応じて最善の行動が取れるようになります」

家族がバラバラの時はどうする？「連絡が取れない」を前提とした集合場所の決め方

災害時、最も不安なのが家族の安否です。災害直後は電話回線がパンクし、携帯電話が繋がりにくくなることが想定されます。 そのため、「連絡が取れないこと」を前提に、家族が再会するためのルールを決めておくことが極めて重要です。

＜決めておくべき集合場所のルール＞

• 第1集合場所: 自宅が安全な場合に集まる場所（例：自宅）
• 第2集合場所: 自宅が危険な場合に集まる、近所の安全な場所（例：〇〇公園の時計台の前）
• 第3集合場所: 地域全体が危険な場合に集まる、少し離れた安全な場所（例：隣町の親戚の家）

このように、状況に応じて複数の集合場所を決めておくことで、「どこに行けば会えるか分からない」という最悪の事態を防ぐことができます。

実際に歩いてみよう！避-難経路の「ウォークスルー」でわかる危険箇所と所要時間

地図の上で避-難経路を決めたら、必ず家族全員で実際に歩いてみる（ウォークスルー）ことが大切です。 歩いてみることで、地図だけでは分からない多くの発見があります。

＜ウォークスルーでチェックするポイント＞

• 危険箇所: ブロック塀、自動販売機、狭い路地、看板、ガラス張りの建物など、地震で倒壊・落下する危険があるもの。
• 水害時の危険箇所: 冠水しやすいアンダーパス（線路や道路の下をくぐる道）、マンホール、側溝など。
• 夜間の状況: 街灯は十分にあるか？暗くて危険な場所はないか？
• 所要時間: 子どもやお年寄りの足で、実際にどれくらいの時間がかかるか計測する。

実際に歩いてみることで、「この道は夜だと暗くて危ないね」「川沿いの道は増水したら通れないから、こっちの道を使おう」といった具体的な改善点が見つかります。この一手間が、計画のリアリティを格段に向上させるのです。

【ステップ3：避-難のタイミング】「いつ逃げるか」が生死を分ける！“避-難スイッチ”の作り方

適切な避-難場所と経路を決めても、「逃げるタイミング」を間違えれば全てが水の泡です。特に水害や土砂災害では、避-難が少し遅れただけで命を落とす危険があります。ここでは、迷わず行動するための「避-難スイッチ」の作り方を解説します。

行政からの「避-難情報」、正しく理解していますか？警戒レベルと取るべき行動

国は、住民が避-難のタイミングを直感的に理解できるよう、5段階の「警戒レベル」を定めています。 このレベルが発表された時に、自分がどう行動すべきかを正確に理解しておくことが重要です。

警戒レベル	市町村が発令する避-難情報など	住民がとるべき行動
レベル1	早期注意情報（気象庁）	災害への心構えを高める
レベル2	大雨・洪水注意報など（気象庁）	ハザードマップなどで避-難行動を確認する
レベル3	高齢者等避-難	高齢者や障がいのある人など、避-難に時間のかかる人は危険な場所から避-難する
レベル4	避-難指示	危険な場所にいる人は全員避-難する
レベル5	緊急安全確保	既に災害が発生または切迫。命の危険があるため、直ちに身の安全を確保する（垂直避-難など）

【最重要ポイント】

2021年の法改正で「避-難勧告」は廃止され、「避-難指示」に一本化されました。 警戒レベル4「避-難指示」が発令されたら、危険な場所にいる人は全員が避-難しなければなりません。 「まだ大丈夫だろう」という油断は絶対に禁物です。「警戒レベル5を待ってから」では手遅れになる可能性が非常に高いことを肝に銘じておきましょう。

我が家だけの「避-難開始のトリガー」を設定しよう

行政からの情報だけに頼るのではなく、自分たち家族だけの「避-難開始の合図（トリガー）」を決めておくと、より迅速な行動が可能になります。これは、いわば「我が家の避-難スイッチ」です。

＜避-難開始トリガーの設定例（水害の場合）＞

• 気象情報: 「〇〇川の氾濫危険水位到達」のニュースが出たら、避-難準備を開始する。
• 周辺環境の変化: 家の前の側溝から水が溢れ始めたら、垂直避-難を開始する。
• 近所の動き: 近所で自主的に避-難を始める人が出始めたら、我が家も避-難を開始する。
• 時間: 「夜間に警戒レベル4が出たら、状況が悪化する前に明るいうちに避-難する」と決めておく。

このように、客観的で分かりやすいトリガーを設定しておくことで、「どうしようか…」と迷う時間をなくし、スムーズに行動に移すことができます。

高齢者や子ども、ペットがいる家庭の「タイムリミット」を意識した計画作り

避-難にかかる時間は、家族構成によって大きく異なります。高齢者や小さな子ども、障がいのある方、そしてペットがいる家庭では、健康な大人だけの世帯よりも避-難に時間がかかることを想定し、早め早めの行動を徹底する必要があります。

> 【プロの視点】

> 「私たちは、要配慮者（避-難に手助けが必要な方）がいるご家庭には、『マイ・タイムライン』の作成をおすすめしています。マイ・タイムラインとは、台風の接近などに合わせて、『いつ』『誰が』『何をするか』を時系列で整理した、自分だけの防災行動計画です。例えば、『台風接近の24時間前には、おじいちゃんの常備薬をまとめておく』『12時間前には、ペットをケージに慣れさせておく』といった具体的な行動をあらかじめ決めておくことで、慌てずに行動できます」

特にペット連れの避-難（同行避-難）は、事前の準備が不可欠です。 環境省のガイドラインでも同行避-難が原則とされていますが、避-難所での受け入れ体制は自治体によって様々です。 事前に自治体に確認し、ケージに慣れさせておく、必要なグッズを準備しておくなどの対策が求められます。

【ステップ4：非常用持ち出し袋】本当に必要なモノ、全部言えますか？“お守り”で終わらせない中身の全貌

避-難計画が決まったら、次は「何を持って逃げるか」の準備です。非常用持ち出し袋は、ただ必要なものを詰め込めば良いというわけではありません。いざという時に本当に役立つ、“使える”持ち出し袋にするための秘訣を解説します。

「1次持ち出し品」と「2次持ち出し品（備蓄）」の賢い分け方

防災グッズは、大きく2種類に分けて考えると整理しやすくなります。

種類	タイミング	目的・中身
1次持ち出し品	避-難時にすぐに持ち出すもの	命を守り、避-難先で最低限（1〜3日程度）生活するために必要なもの。軽量・コンパクトさが重要。
2次持ち出し品（備蓄）	ライフラインが止まった状態で在宅避-難する場合や、避-難生活が長引く場合に使うもの	自宅で数日〜1週間程度生活するための食料、水、生活用品など。

多くの人が、この2つを混同してしまい、持ち出し袋にあれもこれもと詰め込みすぎて、重くていざという時に持ち出せない…という失敗を犯しがちです。まずは、命を守るための「1次持ち出し品」を最優先で準備しましょう。

【保存版】プロが厳選！本当に役立つ非常用持ち出し袋チェックリスト

防災士が厳選した、本当に必要な「1次持ち出し品」のリストです。これをベースに、ご自身の家族構成に合わせてカスタマイズしてください。

カテゴリ	品目	ポイント
必需品	□ 飲料水（500ml×2〜3本） □ 非常食（調理不要で食べられるもの、最低3食分） □ 貴重品（現金、預金通帳、印鑑、健康保険証・運転免許証のコピー） □ モバイルバッテリー（フル充電しておく） □ 携帯ラジオ（小型で手回し充電式がベスト） □ ライト（ヘッドライトが両手があくのでおすすめ） □ 笛・ホイッスル（助けを呼ぶために）	食料はアレルギー対応も忘れずに。現金は公衆電話用に10円玉も多めに。
衛生・医療品	□ 救急セット（絆創膏、消毒液、常備薬、お薬手帳） □ マスク、アルコール消毒液 □ 携帯トイレ、トイレットペーパー □ 生理用品、ウェットティッシュ □ 歯ブラシ、タオル	持病のある方は、薬を多めに。女性や乳幼児がいる家庭は、専用品を忘れずに。
衣類・その他	□ 下着、靴下、動きやすい服 □ 軍手、レインコート □ アルミ製ブランケット（防寒・保温用） □ ビニール袋（大小数枚、防水やゴミ袋に） □ 筆記用具、油性マジック	衣類は季節に合わせて入れ替える。マジックは伝言を残す際に役立つ。
家族に合わせたもの	□ 乳幼児: 粉ミルク、液体ミルク、哺乳瓶、おむつ、おしりふき □ 高齢者: 入れ歯、補聴器（予備電池も）、杖、介護用品 □ ペット: フードと水（最低5日分）、常備薬、リード、トイレ用品、ケージ □ 女性: 生理用品、防犯ブザー	これらは忘れがちだが、ないと非常に困るもの。必ず準備しておくこと。

【プロの視点：ローリングストック法をマスターしよう！】

非常食や飲料水を「特別なもの」としてしまい込み、気づいたら賞味期限が切れていた…という経験はありませんか？そこでおすすめなのが「ローリングストック」という備蓄方法です。

ローリングストックとは、普段から使う缶詰やレトルト食品、ミネラルウォーターなどを少し多めに買っておき、古いものから消費し、使った分だけ買い足していく方法です。 これにより、常に一定量の食料が備蓄され、賞味期限切れを防ぐことができます。 「もしもの時のため」と気負わず、日常生活の中に防災を無理なく取り入れることができる、非常に賢い方法です。

「これも必要だった…」被災経験者が語る、意外と忘れがちな便利グッズ10選

教科書通りのリストには載っていないけれど、実際に被災した方々が「あって助かった！」と口を揃えるアイテムがあります。あなたの持ち出し袋に、ぜひ加えてみてください。

1. . 大きめのゴミ袋（45L）: レインコート代わり、荷物の防水、敷物、簡易トイレなど万能。
2. . サランラップ: 食器に巻けば洗わずに済み、止血や包帯代わりにもなる。
3. . 新聞紙: 防寒着や布団代わり、着火剤、簡易トイレの吸水材になる。
4. . ガムテープ（布製）: メモを貼る、ケガの固定、物の補修など、用途は無限大。
5. . S字フック: 避-難所で荷物を吊るすなど、限られたスペースを有効活用できる。
6. . 耳栓・アイマスク: プライバシーのない避-難所で安眠を確保するための必需品。
7. . お菓子（飴やチョコレート）: 手軽な糖分補給になり、不安な気持ちを和らげる効果も。
8. . 使い捨てカイロ: 冬場の避-難生活では命綱になる。
9. . 小分けの現金: 自販機や公衆電話を使う際に小銭が必要。千円札も多めに。
10. 0. 家族の写真: はぐれてしまった家族を探す際に役立つ。スマホが使えない状況を想定。

【ステップ5：情報収集と連絡方法】デマに惑わされない！命を守る情報入手の鉄則

災害時には、正確な情報が命を守ります。しかし、大規模な災害が発生すると、停電や通信障害が起こり、普段使っているスマホやテレビが使えなくなる可能性があります。また、SNSでは不正確な情報やデマが拡散されやすく、パニックを引き起こす原因にもなります。

停電・通信障害時でも使える！最強の情報収集ツールは「ラジオ」

停電時でも乾電池で動き、広範囲の情報を得られる携帯ラジオは、災害時の最も信頼できる情報源の一つです。特に、地域の災害情報をきめ細かく放送してくれるコミュニティFMは非常に役立ちます。スマホのアプリでもラジオは聞けますが、バッテリーを消耗するため、専用のラジオを一つ用意しておくことを強く推奨します。

災害用伝言ダイヤル（171）と災害用伝言板（web171）の使い方をマスターしよう

災害発生時、被災地への電話が殺到し、通信規制が行われることがあります。 そのような状況で家族の安否を確認するために設けられているのが、NTTが提供する「災害用伝言ダイヤル（171）」と「災害用伝言板（web171）」です。

＜災害用伝言ダイヤル（171）の使い方＞

1. . 局番なしの「171」にダイヤルする。
2. . 音声ガイダンスに従って、伝言を録音する場合は「1」、再生する場合は「2」を押す。
3. . ガイダンスに従い、連絡を取りたい相手の電話番号（自宅の固定電話など、事前に決めておいた番号）を入力する。
4. . 30秒以内でメッセージを録音、または録音されたメッセージを再生する。

このサービスは、毎月1日と15日などに体験利用ができます。いざという時に慌てないよう、家族で一度使い方を練習しておきましょう。

家族で決めておくべき安否確認のルール（誰がどこに連絡するか）

災害用伝言サービスをスムーズに利用するためには、事前に家族でルールを決めておくことが不可欠です。

＜決めておくべきルール＞

• キーとなる電話番号: 安否情報を登録・確認する中心となる電話番号を一つ決めておく（例：自宅の固定電話、おばあちゃんの家の電話番号など）。
• 連絡の優先順位: 誰が最初にどこに連絡するかを決めておく（例：父はまず災害用伝言ダイヤルに登録、母は遠方の親戚に連絡するなど）。
• 三角連絡法: 被災地から離れた場所に住む親戚や知人を中継点として決め、そこへ各々が連絡を入れる方法も有効です。

これらのルールを紙に書き出し、非常用持ち出し袋に入れておくと、パニック状態でも確認することができます。

【ステップ6：ペットや要配慮者がいる家庭の特別計画】見落としがちな重要ポイント

すべての家庭が同じ避-難計画で良いわけではありません。ペットや高齢者、乳幼児、障がいのある方、外国籍の方など、特別な配慮が必要な家族がいる場合は、その特性に合わせた計画作りが不可欠です。

ペットは家族！「同行避-難」を前提とした準備リスト

前述の通り、災害時のペットとの避-難は「同行避-難」が原則です。 しかし、そのためには飼い主が万全の準備をしておく必要があります。

＜ペットのための準備リスト＞

• 健康管理としつけ: 狂犬病予防接種や混合ワクチンの接種、ノミ・ダニの駆除は必須です。また、「待て」「お座り」などの基本的なしつけや、ケージやキャリーバッグに慣れさせておくことが、避-難所でのトラブルを防ぎます。
• 迷子対策: 首輪に迷子札をつけるほか、マイクロチップを装着しておくと、万が一はぐれた際に見つかる可能性が高まります。
• 専用の非常用持ち出し袋:
• 療法食、薬、水（最低5日分以上）
• 食器、予備の首輪やリード
• ペットシーツ、排泄物処理用の袋
• ペットの写真やワクチン接種証明書のコピー
• 避-難先の確認: お住まいの自治体の避-難所がペットの受け入れに対応しているか、どのようなルール（屋内、屋外など）になっているかを事前に必ず確認しておきましょう。

> SNSの声：「ペットOKの避-難所、事前に調べてて本当に良かった…」
> 「地震の時、パニックだったけど『あそこの小学校はペットと一緒に入れる』って事前に調べてたから迷わずそこに向かえた。何も知らなかったら、ペットを置いていくか、車中泊するかで途方に暮れてたと思う。ペット飼ってる人は絶対調べておくべき！

ペット防災 #同行避-難」

高齢者や乳幼児、障がいのある家族を守るための＋α

避-難に時間や手助けが必要な家族がいる場合、計画はより慎重かつ具体的に立てる必要があります。

＜要配慮者のための計画ポイント＞

• 情報伝達: 耳が不自由な方には筆談や光で、目が不自由な方には声で情報を伝えるなど、その人に合った伝達方法を確認しておきます。
• 避-難のタイミング: 警戒レベル3「高齢者等避-難」が発令された段階で、早めに避-難を開始する計画を立てます。
• 必要な物品: 常備薬（お薬手帳も）、介護用品（おむつなど）、アレルギー対応食、液体ミルク、使い慣れた食器や毛布など、その人がないと困るものをリストアップし、非常用持ち出し袋に加えておきます。
• 地域の支援: 自治体の避-難行動要支援者名簿への登録や、日頃から近所の方に「いざという時はお願いします」と声をかけておくなど、地域社会との連携も重要です。

【ステップ7：計画を“生きもの”にする！見直しと訓練で万全を期す方法】

緊急時の避-難計画は、一度作ったら終わりではありません。家族の状況や地域の変化に合わせて、定期的に見直し、訓練を繰り返すことで、初めて“生きている”計画になります。

「作っただけ」で満足しない！年に一度の「防災会議」のススメ

少なくとも年に一度、例えば「防災の日（9月1日）」などに、家族全員で「防災会議」を開くことを習慣にしましょう。

＜防災会議の議題例＞

• 計画の確認: 決めた避-難場所や連絡方法を全員で再確認する。
• 持ち出し袋の点検: 非常食の賞味期限は切れていないか？薬は古くなっていないか？衣類は季節に合っているか？などをチェックし、必要なら入れ替える。
• 家族状況の変化: 子どもが成長して行動範囲が変わった、親が高齢になり手助けが必要になったなど、家族の変化を計画に反映させる。
• 地域の変化: 新しい建物ができて避-難経路が変わっていないか、近所のハザード情報が更新されていないかなどを確認する。

この会議を通じて、家族の防災意識を常に高いレベルで維持することができます。

ゲーム感覚で楽しく！子どもと一緒にできる防災訓練アイデア集

特に小さなお子さんがいる家庭では、「訓練」と聞くと怖がってしまうかもしれません。そんな時は、ゲーム感覚で楽しみながら防災スキルを身につけられる工夫が有効です。

• 防災クイズ大会: 「地震が来たら、まずどこに隠れる？」「火事の時に一番怖い煙の色は？」など、クイズ形式で知識を確認する。
• 持ち出し袋の中身当てゲーム: 目隠しをして、袋の中身を触って何かを当てるゲーム。何が入っているか自然に覚えられる。
• 避-難場所までのかくれんぼ競争: 避-難経路を使いながら、途中の目標地点まで競争したり、隠れている家族を探したりする。
• おうちキャンプ（在宅避-難訓練）: 週末に一日、電気やガスを使わずに過ごしてみる。 ランタンの灯りで非常食を食べたり、寝袋で寝てみたりする体験は、子どもにとって特別なイベントになり、災害時の生活をイメージする良い機会になります。

楽しみながら繰り返し体験することで、いざという時にも体が自然に動くようになります。

「緊急時の避-難計画」をカード化して、いつでも見られるように工夫しよう

せっかく立てた計画も、いざという時に思い出せなければ意味がありません。計画の要点をまとめた「防災カード」を作成し、家族それぞれがお財布や定期入れ、非常用持ち出し袋などに入れて携帯することをおすすめします。

＜防災カードに記載する項目例＞

• 氏名、血液型、アレルギー情報
• 緊急連絡先（家族、親戚など）
• 災害用伝言ダイヤル（171）の使い方
• 集合場所（第1〜第3）
• 避-難場所の地図
• その他、特記事項（持病など）

この小さなカード一枚が、パニックになった時のあなたと家族を助ける、強力なガイドになるはずです。

まとめ：その一歩が、未来を守る。今日から始める「我が家の避-難計画」

ここまで、「緊急時の避-難計画」を立てるための具体的な7つのステップを解説してきました。非常に多くの情報があったと思いますが、最も大切なことは、完璧を目指すあまり行動しないことです。

• まずはリスクを知る: ハザードマップで、自宅や職場、学校の災害リスクを正確に把握することから始めましょう。
• 具体的な行動を決める: 「どこへ」「どうやって」逃げるのか、「いつ」逃げるのか、そして「何を」持って逃げるのか。家族で話し合い、具体的なルールを決めましょう。
• 安否確認の方法を共有する: 災害時には連絡が取れなくなることを前提に、災害用伝言ダイヤル（171）の使い方や集合場所のルールを家族全員で共有しておくことが重要です。
• 弱者に合わせた計画を: 高齢者や子ども、ペットなど、特別な配慮が必要な家族がいる場合は、その特性に合わせた計画をプラスアルファで考えましょう。
• 計画を育て続ける: 計画は一度作って終わりではありません。年に一度の「防災会議」や、楽しみながらの「防災訓練」を通じて、計画を常に見直し、進化させ続けましょう。

災害は待ってくれません。この記事を読み終えた「今」が、行動を起こす絶好のタイミングです。 まずは今日、家族と「もしも」の話をすることから始めてみませんか？「うちのハザードマップ、見たことある？」その一言が、あなたと、あなたの愛する人の未来を守る、最も確実で、最も力強い一歩になるはずです。

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