知らないと損する!食品安全基準の国際標準7選|あなたの食卓とビジネスを10倍安全にする羅針盤
「海外のあの食品、本当に安全?」「うちの商品を海外に売りたいけど、何から始めれば…」そんな不安、一気に解消します!
「この輸入フルーツ、見た目は美味しそうだけど、どんな農薬が使われているんだろう…」 「最近、海外の食品工場での衛生問題がニュースになっていたけど、日本に入ってくるものは大丈夫なのかな?」 「うちの会社自慢のソース、海外でも絶対ウケるはず!でも、輸出するのにどんな許可が必要なんだろう…」
私たちの食卓は、今や世界中の食材で彩られています。食のグローバル化は、私たちの食生活を豊かにしてくれる一方で、このような漠然とした不安や疑問を生む原因にもなっていますよね。
特に、食品を扱うビジネスに携わっている方なら、「HACCP(ハサップ)」や「ISO」といった言葉を耳にする機会も多いはず。でも、「正直、種類が多すぎて何が何だか分からない」「認証を取るのは、お金も時間もかかりそう…」と、後回しにしてしまっていませんか?
もし、あなたが一つでも「うん、うん」と頷いたなら、この記事はあなたのためのものです。
この記事を読めば、まるで絡まった糸がスルスルと解けるように、複雑に見える「食品安全基準の国際標準」の全体像がスッキリと理解できます。
- なぜ今、国際標準がこんなにも重要なのか、その理由がわかります。
- HACCP、ISO22000、FSSC22000といった主要な規格の違いが、一目でわかるようになります。
- あなたのビジネスに最適な規格はどれか、選ぶための具体的なヒントが得られます。
- 認証取得までのリアルな道のりや費用感がつかめます。
- 消費者として、毎日の買い物で「本当に安全な食品」を見分ける目が養われます。
単なる専門用語の解説ではありません。具体的なエピソードやプロの視点を交えながら、あなたの日常やビジネスにすぐに役立つ「生きた知識」をお届けします。読み終わる頃には、食品安全に関するモヤモヤが晴れ、確かな自信が持てるようになっているはずです。さあ、一緒に食の安全を守る世界基準の旅に出かけましょう!
結論:食品安全の国際標準は、グローバル時代の「食のパスポート」です!
時間がない方のために、まず結論からお伝えします。
食品安全基準の国際標準とは、世界中のどこで、誰が作っても、「この食品は安全ですよ」ということを証明するための「世界共通のルールブック」であり、いわば「食のパスポート」です。
これさえあれば、世界中の企業や消費者が安心して食品を取引し、食べることができます。主なポイントは以下の3つです。
- . HACCP(ハサップ)がすべての基本: 危害を予測し、製造工程で管理する科学的な手法で、多くの国際規格の土台となっています。
- . 目的によって選ぶべき規格が違う: 国内外で幅広く信頼を得たいなら「ISO 22000」、特に欧米の大手小売と取引したいなら「FSSC 22000」や「BRCGS」など、GFSI(世界食品安全イニシアチブ)が承認した、より厳しい規格が求められます。
- . 認証取得はゴールではなくスタート: 認証は「安全な仕組みができていますよ」という証明。大切なのは、その仕組みを日々実践し、継続的に改善していくことです。
- HACCPに基づく衛生管理(旧:基準A): 大規模な事業者や、と畜場など。Codex委員会の7原則12手順に沿った、本格的なHACCPシステムの構築が求められます。
- HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(旧:基準B): 小規模な飲食店や小売店など。業界団体が作成した手引書を参考にして、簡略化された衛生管理を行うことが認められています。
- 経営者は「食品安全を最優先にするぞ!」という方針を明確にする
- その方針に基づいた具体的な目標を立てる(Plan)
- 計画通りに実行する(Do)
- ちゃんとできているかチェックする(Check)
- 問題があれば改善する(Act)
- HACCPの義務化に対応できる
- 会社全体の食品安全に対する意識が高まる
- 業務プロセスが整理され、効率化につながる
- 国内外の取引先に対して、食品安全への取り組みをアピールできる
- . キックオフと計画策定(1~2ヶ月)
- 経営層が「認証を取得するぞ!」という強い意志を表明(トップコミットメント)。
- HACCPチームなど、プロジェクトを推進するチームを結成。
- どの規格を取得するのか、いつまでに取得するのか、具体的な計画を立てる。
- . 現状把握と文書化(3~6ヶ月)
- 自社の衛生管理の現状を把握し、規格の要求事項とのギャップを洗い出す。
- 食品安全マニュアル、手順書、記録様式など、必要な文書を作成する。ここが一番大変な作業です!
- . システム運用と教育(3~6ヶ月)
- 作成したルール(文書)に基づいて、実際に現場で運用を開始する。
- 全従業員に対して、新しいルールの目的や具体的な作業方法について教育・訓練を行う。
- . 内部監査と見直し(1ヶ月)
- 自社のHACCPチームなどが、ルール通りに運用できているかをチェック(内部監査)。
- 見つかった問題点を改善する。
- . 審査機関による審査(1~2ヶ月)
- 外部の審査機関に依頼し、審査を受ける。審査は通常、文書審査と現場審査の2段階で行われる。
- 審査で不適合な点(是正事項)が指摘されれば、改善計画を提出し、是正処置を行う。
- . 認証取得と維持
- すべての是正処置が完了し、承認されれば、晴れて認証取得!
- ただし、認証は3年間有効で、毎年1回の維持審査(サーベイランス審査)と、3年後の更新審査を受ける必要があります。
- 世界基準の厳しい目で、食中毒や異物混入のリスクを管理していること
- 従業員の衛生教育が徹底されていること
- 万が一問題が起きても、原因を追跡し、再発を防止する仕組みを持っていること
- 国際標準は「食のパスポート」: 食のグローバル化が進む現代において、世界中のどこでも安全性を証明し、信頼を得るための必須アイテムです。
- すべての基本は「HACCP」: 事故を未然に防ぐ「未来予測型」の衛生管理手法であり、日本のすべての食品事業者に導入が義務付けられています。
- 目的によって選ぶべき規格が違う: 国内外で広くアピールしたいなら「ISO 22000」、大手小売などグローバル市場で戦うなら「FSSC 22000」などのGFSI承認規格が不可欠です。
- GFSIは「買い手」が作ったお墨付き機関: 世界の大手小売業者が「この基準をクリアしないと取引しませんよ」と定めたものだからこそ、絶大な影響力を持っています。
- 認証取得はゴールではなくスタート: 大切なのは、ルールを作ることではなく、現場でそのルールを運用し、継続的に改善していく文化を根付かせることです。
- 消費者にとっても「安心の目印」: パッケージの認証マークは、企業が食の安全に真摯に取り組んでいる証。私たちの選択が、より安全な食の未来を作ります。
つまり、どの国際標準を選ぶかは、「あなたがそのパスポートを持って、どこに行きたいのか(誰と取引したいのか)」によって決まるのです。これから、それぞれのパスポート(規格)の特徴を、一つひとつ詳しく見ていきましょう。
なぜ今、「食品安全基準の国際標準」がこれほどまでに重要なのか?背景をサクッと解説
「昔はそんなのなくても、ちゃんとしたものを作っていれば売れたのに…」と思われるかもしれません。しかし、時代は大きく変わりました。今、食品安全の国際標準がなぜこれほど重要視されるのか、その背景には3つの大きな波があります。
1. 食のグローバル化とサプライチェーンの複雑化
今や、スーパーに並ぶ商品の原材料がどこから来たのか、すべてを把握するのは至難の業です。例えば、一袋の「えびピラフ」。お米は国産、えびはベトナム産、ミックスベジタブルのコーンはアメリカ産、人参は中国産…といった具合に、世界中から食材が集まってきています。
このように、原材料の調達から加工、流通、販売までの連なり(サプライチェーン)が地球規模で複雑に絡み合っているため、どこか一つでも安全管理に穴があると、食中毒や異物混入といった大きな事故につながりかねません。だからこそ、サプライチェーンの各段階で「世界共通の安全基準」をクリアしていることが、信頼の証として不可欠になっているのです。
2. 消費者の安全意識の劇的な高まり
SNSの普及は、私たちの生活を便利にした一方で、食品に関するネガティブな情報を一瞬で拡散させる力も持っています。
> 【SNSの声(創作)】
> 「近所のスーパーで買ったお惣菜に髪の毛が…。お店に電話したけど対応がイマイチだったから、写真付きでX(旧Twitter)に投稿したら、すごい勢いで拡散されてビックリ!やっぱり衛生管理、ちゃんとしてほしいよね。
異物混入」
このような投稿一つで、企業の信頼は一気に失墜し、経営に大打撃を与えることも少なくありません。消費者は、単に「美味しい」だけでなく、「安全・安心」という付加価値を強く求めるようになっています。国際標準の認証マークは、そんな消費者の厳しい目に「私たちは世界基準の安全管理をしています」とアピールできる、強力な武器になるのです。
3. 法規制と取引条件の厳格化
世界各国で、食品の安全性を確保するための法律が強化されています。特に日本でも、2021年6月から原則としてすべての食品事業者に「HACCP(ハサップ)」に沿った衛生管理が完全義務化されました。
これは、「もう国内だけの“俺のやり方”は通用しませんよ。国際基準のHACCPをベースにした衛生管理をしてくださいね」という国からのメッセージです。
さらに、大手スーパーや食品メーカーは、取引先にFSSC 22000などの国際認証の取得を求めるケースが増えています。これは、自社のブランドイメージを守り、万が一の事故の際に「取引先の管理体制は万全だった」と証明するためです。
> 【プロならこうする、という視点】
> 食品メーカーの品質保証部長Aさんの話(創作) > 「うちが新しい仕入れ先を選ぶとき、まず見るのが国際認証を持っているかどうかです。正直、認証がない会社を一から調査するのは時間もコストもかかります。FSSC 22000やSQFのようなGFSI承認規格を持っていれば、『ああ、この会社は食品安全の“共通言語”が話せるんだな』と、安心して商談のテーブルにつけるんです。これはもう、ビジネスの前提条件ですよ」
このように、国際標準はもはや「あれば有利」というレベルではなく、「なければ土俵にすら上がれない」という、ビジネスに必須のインフラになりつつあるのです。
これだけは押さえたい!代表的な食品安全基準の国際標準を徹底比較
「国際標準が大事なのはわかったけど、種類が多すぎて…」という方のために、ここでは特に重要な国際標準をピックアップし、その違いがひと目でわかるように比較表にまとめました。まずは全体像を掴んでみてください。
| 規格名 | 主な特徴・目的 | 対象範囲 | 認証の性格 | 特にこんな企業におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| Codex HACCP | 食品の安全性を確保する衛生管理の「手法」。すべての規格の基礎となる考え方。 | フードチェーン全体 | 認証制度というよりはガイドライン。日本のHACCP制度化のベース。 | すべての食品事業者(特に小規模事業者) |
| ISO 22000 | HACCPをベースに、品質管理のISO 9001の考え方(PDCAサイクル)を取り入れたマネジメントシステムの国際規格。 | フードチェーン全体(間接的な関連業者も含む) | 国際標準化機構(ISO)が定めた国際規格。GFSIには承認されていない。 | 国内外で幅広く食品安全への取り組みを示したい企業 |
| FSSC 22000 | ISO 22000をさらに強化し、GFSIが承認した規格。大手小売業からの要求が高い。 | 食品製造、包装材製造、畜産など(範囲が限定的) | GFSI承認規格。国際的な信頼性が非常に高い。 | 大手小売やグローバル企業と取引したい食品メーカー |
| SQF | HACCPをベースにし、「食品安全」と「品質」の両面を管理できるのが特徴。レベルが3段階に分かれている。 | 一次生産から流通までフードチェーン全体をカバー。 | GFSI承認規格。特にアメリカやオーストラリアで強い。 | 品質面も同時にアピールしたい企業、米国向け輸出を考えている企業 |
| BRCGS | 英国小売業協会が策定。HACCP、品質管理、サイト基準、製品管理など包括的な要求事項が特徴。 | 主に食品加工工場 | GFSI承認規格。英国をはじめ欧州で絶大な信頼性を持つ。 | 英国や欧州の小売業者と取引したい食品メーカー |
| JFS規格 | 日本発の食品安全規格。A、B、Cの3段階があり、日本の食品事業者の実態に合わせてステップアップしやすい。 | フードチェーン全体 | JFS-C規格がGFSIに承認されている。 | まずは国内でステップを踏んで国際レベルを目指したい企業 |
| GFSI | GFSI自体は規格ではない。世界の大手小売業者などが集まり、「この規格なら信頼できる」とお墨付きを与える組織(イニシアチブ)。 | – | GFSIが承認した規格(FSSC 22000, SQF, BRCGSなど)は、一度認証を取れば多くの取引先に通用する。 | – |
いかがでしょうか? なんとなく、それぞれの規格の立ち位置や特徴が見えてきたかと思います。 次からは、これらの規格の中でも特に重要な「HACCP」「ISO 22000」「FSSC 22000」「GFSI」について、さらに深掘りして解説していきます。
すべてはここから始まる!「HACCP(ハサップ)」を世界一わかりやすく解説します
食品安全の世界では、すべての道が「HACCP」に通じていると言っても過言ではありません。HACCPは、数ある国際標準の「土台」となる、最も基本的な考え方です。
HACCPは「未来予測型」の衛生管理手法
HACCPは、”Hazard Analysis and Critical Control Point”の頭文字を取ったもので、日本語では「危害要因分析・重要管理点」と訳されます。
…と言われても、ピンと来ないですよね。 一言でいうと、「食中毒や異物混入が起きそうなポイントをあらかじめ予測して、そこを重点的に見張ることで事故を未然に防ぐ」 という考え方です。
従来の衛生管理は、主に「抜き取り検査」でした。完成した製品をいくつか抜き取って検査し、「問題ありませんでした」と判断する方法です。しかし、この方法では、たまたま抜き取った製品が大丈夫だっただけで、他の製品に問題がないとは言い切れません。火事が起きてから消火するような「事後対応型」でした。
それに対し、HACCPは製造工程のすべてをチェックし、「ここが危ないぞ」というポイント(CCP:重要管理点)を特定します。そして、そのポイントが常に安全な状態にあるかを継続的に監視・記録するのです。 これは、火事が起きそうな場所を常に見張って、火種が小さいうちに消してしまう「未来予測・予防型」のアプローチと言えます。
> 【HACCPを料理に例えると…】
> > テーマ: 美味しくて安全なハンバーグを作る! > > * 危害要因分析(HA): 何が危ないかな? > * ひき肉に食中毒菌(O-157など)がいるかも…(生物学的危害) > * 玉ねぎを切った包丁に洗剤が残っているかも…(化学的危害) > * 調理中に指輪が落ちて入っちゃうかも…(物理的危害) > * 重要管理点(CCP)の決定: ここが一番ヤバい!
> * やっぱり、ひき肉の加熱が不十分だと食中毒になるリスクが一番高い! →「中心部の加熱」をCCPにしよう!
> * 管理基準(CL)の設定: どうなれば安全? > * 菌をしっかりやっつけるために、「中心温度が75℃で1分間以上」 になればOKと決めよう! > * モニタリング方法の設定: どうやって見張る? > * 焼いているハンバーグに、「中心温度計を刺して、毎回温度と時間を測る」 ことにしよう! > * 改善措置の設定: もしダメだったらどうする? > * もし温度が足りなかったら、「もう一度、基準をクリアするまで加熱し直す」 ことにしよう! > * 検証方法の設定: このやり方で本当に大丈夫? > * 「月に一回、責任者が記録をチェックして、ちゃんとルール通りできているか確認する」 ことにしよう! > * 記録の維持管理: やったことをちゃんと記録しよう! > * 「いつ、誰が、何度で何分加熱したか」を毎日ノートに記録して、保管しておこう!
これがHACCPの基本的な考え方、「7原則12手順」の流れです。 難しく聞こえますが、やっていることは「危険を予測して、対策を決め、実行し、記録する」というシンプルなことなのです。
日本でもHACCPは「義務」です!
前述の通り、日本では2021年6月1日から、原則すべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務付けられました。
ただし、事業者の規模によって求められるレベルが異なります。
「うちは小さい店だから関係ない」はもう通用しません。あなたの事業がどちらに当てはまるかを確認し、必ず対応する必要があります。
ISO 22000とFSSC 22000、何が違うの?自社に合うのはどっち?
HACCPの基礎を理解したところで、次はいよいよ国際的な「認証規格」の世界です。特に食品業界でよく聞くのが「ISO 22000」と「FSSC 22000」。名前は似ていますが、その役割と信頼性には大きな違いがあります。
ISO 22000:食品安全の「仕組み」を作る国際規格
ISO 22000は、HACCPの考え方をベースに、組織全体で食品安全を管理するための「仕組み(マネジメントシステム)」を定めた国際規格です。
ポイントは、「マネジメントシステム」という点です。これは、単に製造現場の衛生管理だけを頑張るのではなく、
という、PDCAサイクルを会社全体で回していくことを要求しています。 これにより、継続的に食品安全のレベルを高めていくことができるのです。
ISO 22000のメリット
しかし、ISO 22000には一つ、大きな弱点があります。それは、後述するGFSI(世界食品安全イニシアチブ)に承認されていないことです。
FSSC 22000:GFSIお墨付きの「最強クラス」の規格
FSSC 22000は、一言でいうと「ISO 22000の強化版」です。 その構成は、
FSSC 22000 = ISO 22000 + PRP(前提条件プログラム)の技術仕様書 + FSSC追加要求事項
となっています。
「PRP…?追加要求事項…?」と、また新しい言葉が出てきましたね。簡単に言うと、ISO 22000では「衛生管理のやり方は、ある程度それぞれの会社に任せますよ」とされていた部分を、「いや、こういう場合は、こういう風にもっと具体的に厳しく管理してくださいね」と、より詳細なルールを追加したものです。
例えば、フードディフェンス(意図的な毒物混入などを防ぐ取り組み)やフードフラウド(食品偽装の防止)といった、より高度なリスク管理も求められます。
そして、FSSC 22000の最大の強みは、GFSIに承認されていることです。
> 【SNSの声(創作)】
> 「食品商社の営業マンです。最近、海外の大手スーパーとの商談で『FSSC 22000の認証はありますか?』って真っ先に聞かれた。ISO 22000だけじゃダメで、GFSI承認が必須条件だって。うちの取引先の工場、急いでFSSCに切り替えてもらってる。世界で売るにはこれがないと始まらない…
FSSC22000 #食品輸出」
このSNSの声が、二つの規格の違いを端的に表しています。
【結論】自社に合うのはどっち?
どちらの規格を選ぶべきか、目的別に整理してみましょう。
| こんな企業におすすめ | 選ぶべき規格 | 理由 |
|---|---|---|
| まずはHACCP義務化に対応し、社内の食品安全体制を国際基準で整えたい | ISO 22000 | FSSC 22000に比べて、比較的取り組みやすい。まずは社内の仕組み作りから始めたい場合に最適。 |
| 国内外の大手小売業者、グローバル企業、食品メーカーと取引したい | FSSC 22000 | GFSI承認規格であることが取引の必須条件となるケースが非常に多いため。 国際的な信頼性が高く、ビジネスチャンスが広がる。 |
| 将来的に海外輸出を本格化させたい | FSSC 22000 | グローバル市場での「パスポート」として機能する。ISO 22000からステップアップすることも可能。 |
GFSIって何者?食品安全の世界的な「お墨付き」を与える黒幕
ここまで何度も登場した「GFSI」。これは一体何なのでしょうか?
GFSIは “Global Food Safety Initiative” の略で、日本語では「世界食品安全イニシアチブ」と呼ばれます。
実はGFSIは、特定の企業や団体ではなく、世界中の大手小売業者、メーカー、食品サービス企業などが集まって結成された非営利団体です。 イオン、ウォルマート、マクドナルド、ネスレといった、誰もが知るグローバル企業が名を連ねています。
なぜGFSIは生まれたのか?
2000年頃、世界中で大規模な食品事故が相次ぎ、消費者の信頼が大きく揺らぎました。そこで、食品業界のリーダーたちが「このままではいけない。サプライチェーン全体の安全性を高めるために、業界全体で協力しよう!」と立ち上がったのが始まりです。
彼らが目指したのは、「一度の認証で、どこでも通用する(Once certified, accepted everywhere)」 という世界の実現です。
それまでは、取引先の小売業者ごとに独自の監査基準があり、食品メーカーはA社用の監査、B社用の監査…と、何度も同じような審査を受けなければならず、非効率でコストもかさんでいました。
そこでGFSIは、「ベンチマーキング要求事項」という、いわば「食品安全規格の審査基準」を策定しました。そして、世界中に存在する様々な食品安全規格(FSSC 22000やSQF、BRCGSなど)をこの基準で評価し、「この規格は、我々が求めるレベルをクリアしている」と認めたものを「GFSI承認スキーム」としてお墨付きを与えているのです。
> 【意外な発見】
> GFSIは、行政機関や認証機関ではなく、食品を買って売る側の「顧客(小売業者など)」が中心となって作った組織である、という点が非常に重要です。つまり、GFSI承認スキームは、「売り手側が作った基準」ではなく、「買い手側が『この基準をクリアしていないと買いませんよ』と突きつけている基準」なのです。だからこそ、これほどまでに強い影響力を持っているわけです。
GFSI承認スキームの認証を取得するということは、世界中の主要な買い手(小売業者など)から「あなたの工場の安全管理は信頼できます」というお墨付きをもらうことと同じ意味を持ちます。これが、グローバルな取引においてGFSI承認が極めて重要視される理由です。
【実践編】国際標準の認証取得、リアルな道のりと費用は?
「よし、うちも国際認証を取得しよう!」と決意したものの、何から手をつけて、どれくらいの費用と時間がかかるのか、気になりますよね。ここでは、認証取得のリアルな道のりを、よくある失敗談を交えながらご紹介します。
認証取得までの基本的なステップ
認証取得は、大きく分けて以下の6つのステップで進みます。期間は企業の規模や準備状況によりますが、一般的には約1年~1年半が一つの目安です。
多くの人がやりがちな失敗談
> 食品工場の工場長Bさんの失敗談(創作)
> 「FSSC 22000を取ろうと決めて、コンサルタントに立派なマニュアルを作ってもらったんだ。分厚くて、見るからに完璧なやつをね。でも、それが失敗の始まりだった。現場のパートさんたちに『これを読んで、この通りにやってください』って渡したんだけど、専門用語だらけで誰も理解できない。『ただでさえ忙しいのに、こんな記録までつけるのか』って不満が爆発して、結局マニュアルは棚の飾り物。審査の時だけ取り繕うような状態になっちゃったんだ。ルールを作るだけじゃダメなんだよね。なぜそれが必要なのか、どうすれば楽にできるのか、現場の目線で一緒に考えないと、システムは“死んで”しまうんだって痛感したよ」
このBさんのように、「立派な文書を作って満足してしまう」のが、最も多い失敗パターンです。大切なのは、現場の従業員一人ひとりが「なぜこの作業が必要なのか」を理解し、納得して実践すること。そのためには、地道なコミュニケーションと教育が不可欠です。
気になる費用はどれくらい?
認証取得にかかる費用は、企業の規模、製品の種類、現在の管理レベル、コンサルタントを利用するかどうかなどで大きく変動しますが、主な内訳は以下の通りです。
| 費用の種類 | 内容 | 目安(中小企業の場合) | 備考 |
|---|---|---|---|
| コンサルティング費用 | 認証取得の専門家による支援(文書作成、教育、内部監査支援など) | 100万円~300万円 | 自社だけで進める場合は不要だが、専門知識がないと時間と労力がかかる。 |
| 審査費用 | 審査機関に支払う費用(初回審査、維持審査、更新審査) | 初回:50万円~150万円 維持:30万円~100万円 |
審査機関や審査日数によって変動。複数の機関から見積もりを取ることが重要。 |
| 設備改修費用 | 手洗い設備の増設、防虫対策、ゾーニング(区域分け)など、ハード面の改善費用 | 数十万円~数百万円以上 | 現状の設備状況による。最も大きな投資が必要になる場合も。 |
| その他 | 検査機器の購入費用、従業員の教育費用など | 数万円~ | 必要に応じて発生。 |
| 合計 | 200万円~500万円以上 |
決して安い投資ではありませんが、国や自治体によってはHACCP導入や認証取得に関する補助金・助成金制度を用意している場合があります。 これらを活用することで、負担を大幅に軽減できる可能性があるので、ぜひ調べてみてください。
消費者目線で考える!国際標準は私たちの食卓にどう関係する?
ここまでビジネス視点での話が中心でしたが、最後に、私たち消費者の立場から国際標準がどう関わってくるのかを考えてみましょう。
スーパーで買い物かごに入れる食品。そのパッケージに、もし「FSSC 22000」や「SQF」といった認証マークが付いていたら、それは何を意味するのでしょうか?
それは、その製品を作っている工場が、
を、第三者の専門機関によって証明されている、ということです。
もちろん、認証マークがなくても安全で美味しい食品はたくさんあります。しかし、特に小さな子供や高齢の家族に食べさせるものを選ぶとき、このマークは一つの大きな「安心の目印」になります。
> 【SNSの声(創作)】
> 「最近、離乳食を選ぶときはパッケージの裏をめっちゃ見るようになった。FSSC 22000とか、よく分からないけど国際的な認証マークが付いてるやつを選ぶようにしてる。企業がそれだけお金と手間をかけて安全に取り組んでるってことだもんね。ちょっと高くても、子供の口に入るものだから安心が一番!
ママの知恵 #食品安全」
国際標準への取り組みは、企業の「食の安全に対する姿勢」そのものです。私たち消費者が、こうした認証マークの意味を理解し、商品選択の一つの基準とすることが、食品業界全体の安全レベルをさらに高めていく力になるのです。
まとめ
今回は、複雑で難しく思われがちな「食品安全基準の国際標準」について、できるだけわかりやすく解説してきました。最後に、今日の要点を振り返ってみましょう。
食品安全基準の国際標準は、決して遠い世界の話ではありません。それは、あなたのビジネスを次のステージへと引き上げるための強力なエンジンであり、同時に、あなたとあなたの大切な人の食卓を守るための盾でもあります。
この記事が、あなたが食の安全について考え、次の一歩を踏み出すきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。まずは自社の現状を知り、小さな改善から始めてみませんか?その一歩が、未来の大きな信頼へとつながっていくはずです。
