日本遺産「古代日本の『西の都』」認定取り消しに関する報道
認定取り消しの発表と背景
2025年2月4日、文化庁は「日本遺産」の一つである「古代日本の『西の都』」(福岡県、佐賀県)の認定を取り消したと発表しました。これは、2015年の制度開始以来初めての認定取り消しです。 朝日新聞、共同通信、毎日新聞など複数の報道によると、取り消しの理由は、自治体など関係団体間の連携不足と、住民の認知度が低いことなどが挙げられています。文化庁は、地域における取り組みが不十分であると判断したため、認定を取り消し、新たな日本遺産として「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」を認定しました。 「古代日本の『西の都』」は、大宰府政庁跡などを中心とした遺産群で、大陸との交流を物語る歴史的価値を有しています。しかし、その価値を十分に活かしきれていない点や、関係機関の連携不足が指摘されていました。 この決定は、日本遺産制度における厳格な評価基準と、地域活性化に向けた取り組みの重要性を改めて示すものと言えるでしょう。
「古代日本の『西の都』」の評価と今後の対応
文化庁は、2021年度に条件付き認定となった4件と新規候補1件の計5件を、観光事業化や普及啓発など7つの指標で評価する点数評価を実施しました。「古代日本の『西の都』」は、42点満点中31点という最低評価となり、認定取り消しに至りました。 朝日新聞の報道では、具体的な指摘として「来場者が日本遺産のストーリーをどこまで認識・体感しているか不明瞭」「他の資産に誘導できていない」「住民からの認知度が低い」といった点が挙げられています。 西日本新聞meの記事では、基山町の担当者から「非常に残念」というコメントが寄せられており、今後の対応を検討していくとされています。 今後、「古代日本の『西の都』」は日本遺産の補助金申請ができなくなり、ロゴマークの使用もできなくなります。しかし、2026年度以降に再申請が可能であり、高評価を得られれば再認定される可能性も残されています。
新たな日本遺産「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」の認定
「古代日本の『西の都』」の認定取り消しに伴い、新たに「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」(北海道)が日本遺産に認定されました。 朝日新聞、共同通信、毎日新聞などの報道によると、小樽は、かつては衰退したものの、「民の力」でよみがえった商都というストーリーが評価され、42点満点中40点の高評価を得て認定されました。 この認定は、地域住民の積極的な取り組みと、独自のストーリーを効果的に活用した点が評価された結果と言えるでしょう。小樽の事例は、他の日本遺産認定を目指す地域にとって、成功事例として参考になる可能性があります。
日本遺産制度の今後
今回の「古代日本の『西の都』」の認定取り消しは、日本遺産制度の改善を促す契機となる可能性があります。 共同通信の報道では、文化庁は日本遺産の上限を100件程度としており、今回の取り消しによって地域を入れ替えることで、件数の増加を防ぐ狙いがあると説明しています。 今後、文化庁は、地域における日本遺産の取り組み状況を継続的に評価し、必要に応じて認定の更新や取り消しを行う方針を示しています。 これは、日本遺産制度が単なる認定制度ではなく、地域活性化のための継続的な取り組みを重視する制度へと進化していくことを意味すると言えるでしょう。