フジテレビ騒動:日枝久相談役の進退と、その影響
フジテレビ「やり直し会見」と日枝久相談役の不在
1月27日午後4時より、フジテレビは中居正広氏を巡る女性トラブルに関する「やり直し会見」を開催しました。この会見には、港浩一社長、嘉納修治会長、遠藤龍之介副会長、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長の4名が参加しましたが、同局で長年にわたり強い影響力を持つとされる日枝久相談役は出席しませんでした。 1月17日に行われた最初の会見が、参加メディアを限定し映像撮影も禁止するなど「閉鎖的」であったと批判されたことを受け、今回の会見はフルオープン形式、時間無制限で行われると発表されていました。ただし、プライバシー保護の観点から、会見中の生中継はNGとされ、10分遅れの放送・配信が各メディアに求められていました。会見直前に、冒頭部分の役員発言に関しては生中継・生配信が可能になったと発表されましたが、質疑応答は10分遅れの放送・配信となりました。日枝氏への説明責任を求める声が、社内外の両方から強く上がっていたにもかかわらず、その不在は大きな波紋を広げました。会見において、港社長と嘉納会長は辞任を発表し、清水賢治専務が新社長に就任することが発表されました。しかし、日枝氏の進退については発表がありませんでした。 複数の報道によると、フジテレビの労働組合は会見前に日枝氏を含む取締役全員の出席と、会見の場での取締役刷新の意向表明を求める意見書を提出していました。社員説明会では、日枝氏の退陣を要求する声が大きな拍手をもって迎えられたと報じられています。日枝氏の長期にわたる影響力、そしてその影響力故のガバナンスの問題が、今回の騒動の根本原因の一つとして認識されていることがうかがえます。
日枝久相談役のフジにおける影響力と責任
日枝久氏は、フジテレビにおいて社長、会長を歴任し、40年以上にわたって経営陣に留まり、フジサンケイグループ代表も務めています。 87歳という高齢ながら、現在も同局およびフジ・メディア・ホールディングスにおいて強い影響力を持つとされ、 「フジテレビのドン」と呼ばれる存在です。 週刊誌報道では、中居正広氏と被害女性との接点に編成幹部が関わっていた可能性や、女性社員をタレントらへの接待に利用する「上納接待」が常態化していた可能性などが指摘されており、日枝氏の在任期間中にこれらの問題が醸成された可能性も否定できません。 日枝氏と安倍晋三元首相との親交も知られており、政財界に広がる人脈も、その影響力の背景の一つとして挙げられます。2005年には、ライブドアによるフジテレビ買収を阻止したことで大きな注目を集めました。 今回の会見への欠席は、その影響力の大きさゆえに、説明責任を果たさず、批判を浴びることを避けているという見方もあります。 多くの社員が日枝氏の退任を求めている状況の中、その進退が今後のフジテレビの改革に大きな影響を与えることは間違いありません。
会見後の状況と今後の展望
会見後、港社長と嘉納会長は辞任を発表しました。 CMを差し止めた広告主に対しては、1月末までの広告料は請求せず、2月以降についてもキャンセルする場合は料金を請求しないと発表されました。 しかし、日枝氏の進退については依然として不明なままであり、 多くの社員が失望し、他局への転職を検討する動きも出ていると報じられています。 スポンサー離れも懸念されており、フジテレビの経営は深刻な状況にあると言えます。 今後の展開としては、第三者委員会による調査結果の発表、 そして日枝氏を含む経営陣の責任の明確化、 そして真摯な改革への取り組みが求められています。 それらがなければ、視聴者やスポンサーからの信頼回復は困難であり、 企業としての存続すら危ぶまれる可能性があります。